百工商売とともに負けて勝つ、を知ることが重要である。損を前にして利益を後から出す計画が重要であるという。ここに富裕な人、甲乙の二つの家がいる。ともに先祖代々伝わる宝がある。互いにその宝を比べてみようと約束した。乙の手代は負けて勝つ、の理屈で考えて、主人に計画を提案した。二つの家はともに優劣で上中下の三品に分類し、互いに宝を持ち出して比べるときになって、甲が上の宝をだした。乙はわざと下の宝を出して負けた。また、甲が中の宝をだすときに、乙は上の宝を出して勝った。さらに甲が下の宝を出すとき、乙は中の宝を出してまた勝った。これは、一度目は負けて後から二度の勝となる策略であった。宝を上中下に分類するまでは同じだが、使い方による優劣の勝負があった。

 

西国で餅を売って生計を立てている夫婦がいた。近所に餅屋が新たに店を出してきたので、新しい物好きの人たちがこの店に行く人が多く、夫婦の餅はぱったりと売れなくなった。こんな状態になり、閑散としてしまい、今となってはどうしようもない。夫婦は相談して家財を売払って、西国巡礼に行き、旅の途中で死んでも構わないと、一人の甥のところに挨拶に行き、経緯を話した。

 

すると甥は

 

「家財を売ったお金はどのくらいあるのでしょうか。」

 

「二十貫文[1]あります。」

 

「その金を無駄に西国でまき散らすよりは、十貫文を餅にしてみなさい。銭ほどの大きさにして、大仏餅の看板を出して売ってみてください。始めは儲からなくても後で勝てるようになるでしょう。」

 

その通りにして売ってみると、他の餅よりも大きい事が評判になって、買いに来る人が止まることはなかった。そこから再び繁昌した。利益はどのようにして得たのかと言うと、人が気付かないように少しずつ餅を小さくしたが、客は疑わなかった。疑わない事を、俗に老舗が大事ということだ。

 

ここにおいてその生産方法を伝えて、子孫永久の基礎を作った。建久通宝である。

 

 


[1] 一貫は一文銭1000枚分なので、ここでは10万円ほどか。

 

 

ネットで売買した経験のある人ならわかるでしょうが、固定客がつくまでが結構大変のようです。それと同じように店を構えても、これはこの位で売れるはずだと思っても、なかなか売れるものではありません。

 

ネットにupする時間帯、説明文の煽り文句、そして値段。顔が見えないだけに値切りは大変なようです。

 

私の要らないものをネットで売却したことがありますが、まあ値切りが厳しい事。ライバルより安くしても売れない。

 

半年近く部屋を占拠して仕方なかったので、結局チェーンの古物商に持っていきました。これで飯を食うとなると相当大変でしょう。まあ、楽な商売はないということで。