7月16日(火) 14:00開演 サントリーホール
東京都交響楽団
指揮 アラン・ギルバート
ヴァイオリン 樫本大進
ヴィオラ アミハイ・グロス
コンサートマスター 矢部達哉
平日の昼間のコンサートでした。
それなのになかなか満員の盛況でした。15日、16日とこのアランさん指揮の同じ曲目なのですが、きっと休日の15日は定期演奏会でもありますし、一回券でもきっとかなりお客様がいらっしゃったのだと思います。
16日は連休が終わったばかりの平日で、しかも昼間ですから、集客に少し工夫が必要だったのだと思います
まあ私もそのお知らせに誘われてチケットを求めました。
同じ演奏者、同じ曲目なのですから、この会場を満員にするべく集客の工夫をされたのだと思います。
その点都響さんは集客がお上手だと感じました。
私もお知らせをいただいたその日に、すぐに申し込んだのですから。
2階の通路の後ろではありましたが、指揮者の位置の遠い真後ろというど真ん中での席でした。
上からステージを俯瞰する座席でしたので、音も美しかったですし、かなり視覚的にも楽しめる要素もありました。
このアラン・ギルバートさんの指揮は、確かN響で聴かせていただいたことがあるようにも 思います。
しかし本日ほど印象に残らなかったのか、お顔や身体つきや、指揮の振り方は記憶にあるのですが、どんな曲をどう振られたのかの記憶がないのです。
アイブスの曲の木管の音の組み合わせが面白かったですし、モーツアルトの協奏交響曲も全体から醸し出される雰囲気が素晴らしかったのです。
ヴァイオリンとヴィオラが、寄り添うように、ある部分では際立つように、演奏される様子がとても楽しそうで、しかも際立つテクニックで奏でられるのですから、指揮者も本当に楽しそうに独奏の2人とその喜びを分かち合っている感じでした。モーツアルトの持ち味を充分に生かして演奏されていました。
そしてびっくりしたことに、その独奏の2人とアンコールに出てこられた時にアランさんがヴァイオリンを持っていらっしゃるのです。
あれ?
この方は自分の専門楽器はヴァイオリンだったのですね。
そして、3人でドボルザークのテルツェット Op.74の2楽章を演奏されたのです。
樫本さんという超一流のヴァイオリニストと第2ヴァイオリンで合奏してしまうのですから……
指揮者も交えたこんな形のアンコールにお目にかかったことがありませんでした。
そしてその演奏がモーツアルトの時と同じに、本当に楽しそうに演奏されるのですから……
こんな指揮者が日本にいるでしょうか?
もちろんヴァイオリンの卓越したテクニックも持っていなければ成り立たない演奏です。
この指揮者はこういう方なのですね。
認識を新たにいたしました。
ベートーヴェンの交響曲第5番〈運命〉の指揮はまたまた超早いテンポで軽快に飛ばしていく演奏でした。スポーティーな感じとでも言いましょうか。
その速さにコントラバスや低音の弦楽器がかなり苦労していたようにも感じましたが。
実はここで視覚的に気になった方々がいらっしゃいました。
トロンボーンの3人と、ファゴットの隣に座っている方、フルートの隣に座っている方。
この5人に目がいってしまいました。
トロンボーンはベートーヴェンが初めて自分の交響曲の中でオーケストラに取り入れた楽器ですから、まだ活躍の場面が限られていたのですね。それまで何も演奏せずじっとしていた彼らが全員参加し華々しく活躍した第4楽章。
フルートの隣に座っていた方はピッコロ、ファゴットのとなりにすわっていた方はコントラファゴット、そしてもちろん3人のトロンボーン奏者。
ここに備えて、1楽章から、3楽章までじっとしていらっしゃったわけですから………
ピッコロは音程を保つことが難しいと言われている楽器ですし、コントラファゴットも、私の耳に間違いがなければ、終楽章のカデンツァ近くにその音が単独で出てくる場所があると思うのですが、その箇所もしっかりと聴くことができました。
全体をしっかりと見ることができ、音もしっかりと立ち上がってくる座席のおかげでしょうか。
なぜか幸せな気分に包まれたコンサートでした。
ちょうどコンサートが終わって外に出ましたらザーザー降りの雨でしたけれど……