昨日は無事二つのコンサートに行って参りました。

まずは3時間半のマタイ受難曲。

この春、3回目のマタイ受難曲です。
一回めは、クイケン率いるラ プティットバンド。
二回めは、聖トーマス教会の合唱団とゲバントハウス オーケストラでした。

プティットバンドはソリスト全員が歌うという形の合唱なので、基本ソリストしかいないのです。合唱団がいないので、どうかな?と思いましたが、「なるほどこういう形もありだなあ」と思える演奏でした。バッハが作曲した時代、いろいろな記録から、大合唱団を雇える費用はなかったそうで、このくらいの規模の合唱だったのではないかという研究に基づいた形のようです。ソロの部分もアンサンブルになる部分も1人ワンパートのようなものですからかなりの能力の高さが要求されます。

聖トーマス教会合唱団の方は、少年合唱団のボーイソプラノの声が美しく、合唱の響きもあり、全く違うものの様に聴こえました。

どちらもピリオド楽器(古楽器)の入っている編成でしたが、含まれている楽器が違うので、またオーケストラの響きも変わって聴こえました。
オーソドックスな響きを求めるならば、後者の方でしょうが、短期間に二つを聴き比べることができたので、それぞれの良さを感じることができました。

そして一ヶ月半が経ち、昨日のオール日本人によるマタイの演奏会でした。
横浜マタイ研究会合唱団演奏会でした。
開場の10分前に着きましたら長蛇の列。かなり年齢層が高い方が多いなと感じました。

演奏で違和感を感じたのは発声の違いでした。
演奏そのものは、68曲目の終曲に向かってだんだんと演奏が高まって行くのが感じられましたし、オーケストラも、合唱団も、ソリストも熱演でした。
9名の少年少女合唱団も出演しましたが、やはり聖トーマス教会少年合唱団との違いが前面に出てきました。残響の多い教会の中で歌っている合唱団は美しく響く声をひたすら求め、そんなに力まないで歌うことを知っているように思いました。
ドイツ人のある先生が言っていました。
「僕たちは、どこのホールよりも残響の長い教会で歌っているので、喉を無理やり締めたり、声を押し出したりしなくても歌えることを身につけることが出来るんだよ」
「小さい頃から教会で歌っているいるからね。バッハを練習しない歌手がいるなんてありえないでしょう?」
「ヨーロッパでは、オペラを歌う歌手と、宗教曲(オラトリオ)を歌う歌手は分かれているんだよ。どちらも歌える歌手というのは、世界のほんの一握りの歌手だけなんだよ。」
微妙にソリストの中で、バッハではない歌い方と感じる方とバッハの歌い方に近い方とあったように思われるのですが、どうでしょう。


その後歩いて、みなとみらい小ホールに行きました。

こちらは、新人演奏会ですので、若い方の船出の演奏会です。残念だったのは観客数があまり多くなく、少し寂しい感じがしたことです。出来れば、ステージに出ただけでわあーと包まれるような反応があるコンサートで、それこそ一生忘れられないものであって欲しかったです。
2部の9人を聴かせていただいたのですが、ピアノ2人、バイオリン2人、歌4人、サクソフォン1人でした。若さ溢れる、ショスタコーヴィチのバイオリンと現代曲のサクソフォーンの演奏は、ハツラツとまた思いきって演奏していたのが、いかにも新人演奏会らしいと思いました。横浜市長賞はメゾソプラノの方で日本歌曲、イタリアオペラ、ドイツリートと3つのものを、それぞれの特徴を歌い分けるべく工夫していらっしゃいました。

賞に入らなかった方どなたも熱演でした。最後に表彰式も行われました。
ホール一杯の拍手で祝福してあげたかったと思います。