「なんとなく見えにくい」「まぶしい」「ぼけてみえる」等の訴えは、視力・両眼視機能が正常に評価され、眼疾患が無い場合に於いては「感覚の差」として片付けられがちで、その人の見え方を可視化して理解・共有しようとすることはされていません。
下の5枚の画像は、眼鏡をかけた状態での対象者5名の見え方を収差測定装置でシュミレーションしたものです。
他機関では「視力1.0だから問題ない」と言われた5人の方々の「見え方」ですが、確かに数値としては問題が無いように聞こえますが、それぞれの見え方のシュミレーションを見ると、この方々が訴える「見え方の不快感」は視力の問題だけでないことが分かります。
しかしながら、現在日本で行われている一般的で従来的な視力測定では対象者の見え方を理解することは非常に難しく、見え方の困り感を深く理解して共有することが困難です。
また、見え方に困り感を持つ当事者の家族においては、家族間で見え方の困り感を持つ者が一人しかいない場合、どのように見えにくく、どのように困っているかの理解が非常に難しく、より有効な方策を立てにくいのが現状だと言えます。
例えば、よくあるケースとして、
‟子どもが眼鏡を掛けているが見えにくいと訴えている。眼科では視力1.0見えているから問題ないと言われた”
‟夫婦ともに同じ視力であるが、同じ物を見ても同じように見えていると思えない”
‟最近メガネを新調したが、運転時(特に夜間)の見え方に不満がある。光を眩しく感じるが理解してもらえない”
・・・等があります。
人の見え方、他者の見え方を理解しようとしたとき、その人の見てる映像を他者が見る為には、網膜に形成される映像の可視化を検討する必要がありますが、網膜上に直接カメラを置くことは出来ないので、眼の光学系(角膜・水晶体・硝子体)において、眼底上からの光がどのような経路を辿り、眼の光学系でどのような収差を受けているかを検査することによって、その人の見え方を可視化することが可能になります。
この、個々によって違う「見え方」「ぼやけて見える感覚」「眩しさの感覚」を可視化して、テスター(検査者)や家族が当事者の「見え方の困り感」を理解・共有することは、眼鏡による補正の可能性だけでなく、当事者が感じる「不快感」「困り感」を他者に伝えることができる等の多様なメリットがあります。