英語教育やソリューション開発の分野の二人の専門家、安河内哲也(やすこうち・てつや、以下Y)と加賀美晃(かがみ・あきら、以下K)が、日本人の英語力向上の課題と具体的なアプローチについて熱く語り合いました。加賀美氏は理系のバックグラウンドを持ち、海外での豊富なビジネス経験を経て英語教育に転身。一方、安河内氏は長年の英語教育の現場で学生の指導をしてきました。二人の対談は、日本人が直面する英語教育の現状を再考し、今後の方向性を示す貴重な内容となりました。
Y: 現在は英語学習の教材を提供していらっしゃいますが、もともとは理系のご出身で色々なキャリアをお持ちだと伺っています。
K: そうですね。大学では東京大学の工学部に進み、ロボットの視覚情報処理やAI、画像処理の研究をしていました。その後、日立製作所のシステム開発研究所に入社して研究開発に携わりました。
Y: 理系のキャリアの中でも、海外での経験も豊富だったと聞きました。
K: はい、アメリカに4回住んだことがあります。合計で約10年ほどですね。その間、ボストンのMITビジネススクールへの社費留学や、ストレージエリアネットワークの研究、さらにはベンチャーキャピタル業務など、様々な分野で経験を積んできました。
Y: その後、60歳で日立をご定年されてから、なぜ英語教育の分野に転身されたのですか?
K: 危機感がありました。最後のニューヨーク駐在時(2013年から2016年)に、「日本?聞いたことあるけど、中国のどの辺り?」と複数の人に聞かれました。日本のプレゼンスが下がり、それを支える日本人の英語力が落ちていると感じたのです。
Y: 確かに、英語教育の重要性を感じますね。では、現在どのような教材やソリューションを提供されているのでしょうか?
K: TOEFLなどの試験対策を通じて、短期間で大幅にスコアを向上させるプログラムを開発しました。例えば、TOEFLのスコア80点台で伸び悩んでいる人を、2~3ヶ月で100点以上に引き上げるようなプログラムです。
Y: 短期間での大幅なスコアアップはすごいですね。具体的にはどのような方法論に基づいているのでしょう?
K: 英文法の基本ルールを7つに集約して、そのルールに基づき英文を「頭から読んでいく」練習を集中的に行います。この方法論で、読む力だけでなく聞く力も向上させます。
Y: 確かに日本人は文法の理屈を理解するのは得意ですが、それを実用に結びつけるのが苦手ですよね。そこをどう克服されていますか?
K: 文法の知識を使って、「英文を読む」「聞く」という実践的な練習を繰り返すことで、使えるスキルに変えていきます。そして、文法を整理して短期間で習得できるようにした上で、リスニングやスピーキングに繋げていきます。
Y: 日本の英語教育では「インプット(読む・聞く)」に偏りがちで、「アウトプット(話す・書く)」が不足しているのが課題ですよね。その点、加賀美さんのアプローチはどうですか?
K: インプットを徹底的に強化し、その後、アウトプットの練習を重ねます。たとえば、「英文を読んで理解する」力を徹底的に鍛え、それを「相手に伝える」スキルに転換するステップを意識しています。
Y: 面白いですね。インプットとアウトプットを効果的に結びつける方法論は、日本の教育現場でも求められているところです。
加賀美氏の理系キャリアと海外経験に裏打ちされた英語教育の取り組みは、日本人の英語力を短期間で飛躍的に向上させる可能性を秘めています。対談を通じて、日本の英語教育の課題として「文法の知識を実用に活かす力の不足」や「インプットとアウトプットのバランスの欠如」が浮き彫りになりました。今後、英語教育において「構造的アプローチ」と「音声的アプローチ」を融合させることが鍵となるでしょう。


