今朝ヒゲを剃りながらふと思った。
なぜ俺は毎朝ヒゲを剃っているのか。
毎日ヒゲを剃るのは正直めんどい。
それなのになぜ、大半の人類(の男)はヒゲのない人生を選んでいるのか。
たぶん何万年も昔のホモサピエンスは、その時代にはカミソリもシェーバーもないのでヒゲを剃りたくても剃れなかった。
そしてヒゲを剃るカミソリの発明とともに、ヒゲのない人生は幕を開けたに違いない。
ネットで検索してみると、最初にヒゲ剃りが流行した記録としてアレキサンダー大王のエピソードが出てきた。
戦闘中にヒゲを掴まれにくくするために、みんなヒゲを剃ろうぜ、と剃ったのだという。
確かに、現代に伝わるアレキサンダー大王の肖像には、カッコ良いもみあげは残っているが鼻下や顎のヒゲはない。
しかし一方でソクラテスやプラトンの肖像には、ヒゲが盛大に、もじゃもじゃ生えている。
ギリシャの哲学者とか、毎日難しいことを考えたり他人と議論するのに忙しくて、また戦闘でヒゲを掴まれる心配もなくわざわざヒゲを剃る必要とか無かったのだろう。
ヒゲ剃りをめぐっては、近世ヨーロッパで医学的衛生観念が発達するに従い、ヒゲは不衛生だというのでこれを剃る習慣が流行ったりもしたらしい。
あるいは、日本の江戸時代。
ひとつ前の室町・戦国時代の武将とかは生やしたヒゲをビシッと整えている人が多かった印象がある。
しかし徳川政権による泰平の世を迎え、ヒゲは武威の象徴であり刀狩り的な意味もあってヒゲ禁止の令が出されたりしたらしい。
現代日本ではヒゲは圧倒的少数派になっている。
昔、付き合いのあった会社にヒゲの人が3人いて、その3人と一緒になんかの打ち合わせ会議に出たら「ヒゲが3人も並んで面白い」と会議冒頭でひとしきり盛り上がったりした。
そういう思い出もあるくらいヒゲは希少種である。
わたしはヒゲを伸ばしたことがないので実感としてよく分からないが、口の周りにヒゲが伸びていると、アイスクリームがこびりついたりしてちょっと面倒くさそうだなと思う。
だから今後もヒゲを毎日剃る生活を続けようと思う。
しかしだからといって、人類がヒゲを剃るようになった理由についてちゃんと納得したわけでもない。
まあなんとなくヒゲを剃りたいと思うので、他のヒゲなし人類もそう思っているだけなのかもしれない、とか思ったりしている。