節分を過ぎて、聞こえてくる春の足音が、少し大きくなったように思います。✨
今の時期は、受験のピーク。
学生の皆さんは、最後の追い込みに頑張っていらっしゃいます。
私の生徒さんの中で最年少の方は、14歳です。その彼女は、1年前の13歳から研究所に通われています。
現在、歌のレッスンではなく、エネルギーのコントロールと可能性の開花のために、私のメソードを学ばれています。
最初にお母さまは、
「ものすごく大きなエネルギーを秘めているのか、それとも問題を抱えているのか…
この子が幼い頃から、周りのお子さんとは違ったエネルギーを持っているのは感じていたけれど、それが親のひいき目なのか…
でも、この子が小学生の頃から担任の先生だけは、うるさく言わないで待ってあげてください。見守ってあげてください、そのうち開花するから、と言われ続けていました」
と話されました。
彼女は、3人兄弟の末っ子さん。お姉さんとお兄さんは学力優秀で、学校内で注目を集めている存在です。
当の本人は、毎朝、遅刻が続き、時には先生が迎えに来てくれることも。でも、強く注意をされる訳でもなく。学力も学年で最下位のグループ。
それでも焦ることなく、いつもドーンと落ち着いていて。
反対に好きな世界観ははっきりしていて、下町文化や昭和レトロの文化の作品には強く惹かれる。そして、何故か皆んなには好かれて、たくさんの友だちに囲まれて楽しく生きている。
そんなお子さんだったそうです。
そのお話を聞いた時、あー、彼女は特殊な芽を持っているお子さんなんだな。周りの大人たちに、その芽を摘まれなくてよかったー。むしろ、大切にされて育って来たんだ、と思いました。
私が最初に彼女にお会いした時、規格外の大きな魂が眠っている、と感じました。そして、目覚めはこれからと。
1番印象深かったのは、レッスン室に入る時に、
「おじゃまします」
と言って入ってきたことです。その言葉の使い方に、私は驚きました。普通、失礼しますとか、こんにちは、と言って入る方ばかりなので、13歳の若い彼女の言葉がとても新鮮でした。
この言葉から、彼女の未来がとても楽しみになりました。彼女は、本当に規格外の素晴らしい感性とエネルギーを持っていて、誰もがなし得ない彼女独特の世界を作り、世界に発信していく人になるのかもしれないと感じました。
レッスンでは、彼女にも、大人の生徒さんと同じメソードをお伝えしています。呼吸法の体操と、発声練習です。
呼吸法の体操で、身体の外側と内側から刺激を与えます。そして、徐々に身体の奥の眠っている筋肉まで、刺激を与えていきます。
さらに発声練習で、体操以上に複雑な筋肉のコントロールの仕方を学びます。
すると、面白いように筋肉は目覚め、重心は落ち着き、身体が開いていきます。それに伴い心の奥の蓋も開き、眠っていた本当の自分が出てきます。可能性も広がり、予想もしていなかった才能も飛び出してきます。
魂の目覚めです。✨
生徒さんには、平行して、その都度私が感じ取ることもお伝えしていきます。時には、カウンセリングを入れることもあります。
また、生徒さんの感じている感覚も、言葉で表現していただきます。
彼女は、あっという間に体操を習得しました。さらに、発声練習も種類を増やし、どんどん声が変わっていきました。
そして、
「えっ、こんなに目が大きかったのね⁈」
目がパッチリと開きました。
また、顔の表情筋が動き出したので、唇を使ってはっきりとした口調で話すようになりました。
その変化と共に、とても興味深い話を聞かせてくれるようになりました。
「今まで自分は何も考えず、何もやっていなかったんだ、ということに気がついたんです」
「勉強しないとまずいぞ、と感じるようになりました」
それからの彼女はスイッチがポンと入ったようで、成績がみるみる向上し始めたそうです。
さらに、自分がイラストやデザイン画を描くことが好き!ということに気がついたそうです。
その話から、私は東京芸大の見学を勧めました。美術学部の方は、入場無料の作品展示の建物もあるので、部外者が自由に出入りできる所があります。
色々な作品を観るのもよし。学食や喫茶で、学生と一緒にお茶をするのもよし。そんな軽い気持ちで今まで触れたことのない環境に身を置くことで、多分、彼女の眠った才能が刺激されるかもしれないと感じたのです。
本当に彼女は、ご家族全員で東京芸大に行ってくれました。
それからは、あれよあれよという間に、
「東京芸大に入りたいんです。できれば、高校は飛ばして、芸大にすぐ入りたいんです!」
そんな言葉が飛び出してきました。
日本は飛び級の制度がないので、高校は行きましょうということで、では、なるべく専門の高校へと進路が決まりました。その準備のために、絵の塾へも通い始めました。
現在、中学2年生の彼女は、もっと技術のレベルを上げたいと自ら志願して、塾の高校生のクラスで学んでいます。
1年経った今も、彼女は響きのよい声で、
「おじゃまします!」
と言ってレッスン室に入って来ます。