フェラーリ (映画) 2024年 アメリカ | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督・脚本 マイケル・マン

キャスト
エンツォ・フェラーリ      アダム・ドライバー
ラウラ・フェラーリ       ペネロペ・クルス
リナ・ラルディ         シェイリーン・ウッドリー
ピエロ・タルッフィ       パトリック・デンプシー
ピーター・コリンズ         ジャック・オコンネル
アルフォンソ・デ・ポルターゴ  ガブリエル・レオーネ
オリビエ・ジャンドビアン    不明
ヴォルフガング・フォン・トリップス 不明
リンダ・クリスチャン    サラ・ガドン ポルターゴの恋人
 

予告編

新海外版予告編

 

 
感想
フォードvsフェラーリ」を観ているので、楽しみにしていた。
「レースをするために車を売った男」としてのストイックな姿が、抑制しながらも伝わって来る。
アダム・ドライバーは「スカイウォーカーの夜明け」の時は妙にのっぺりした顔で、どうにも気に入らなかったが「ハウス・オブ・グッチ」でかなり見直した。
そして今回のエンツォでは実年齢より20歳近くも老けた役に挑んだ。あののっぺりとしたイメージは払拭され、別人の様。

エンツォ自身の最も激動の半年余りを描いた映画で、前年に愛息のディーノを亡くし、傷心の妻ラウラと愛人リナ、そしてもう一人の息子ピエロとの関係に腐心しながらも、伝統のレース「ミッレミリア」に打ち込んで行く。

ラウラを演じるペネロペ・クルスの迫力がスゴい。体重を前のめりにして「カツ、カツ」と歩く姿にあの色っぽい面影はない。
ただ、いがみ合いながらも権利譲渡の交渉成立後、激しく愛し合う姿にビックリ。この辺りはさすがペネロペ。

動画から5名のドライバーが分かったが、キャストとして確認出来たのは3人まで(タルッフィ、コリンズ、ポルターゴ)
残りの二人はサイトを探しても、キャストを特定できず。

何といっても迫力だったのは「ミッレミリア」のレース状況。
フェラーリとマセラティの一騎打ちだがどっちも赤で、仲間内で争っている様にしか見えない。(ボンネットの白丸がマセラティ)空気取り入れ口にマセラティのマークが付いているが、映画観ている時には気付かず・・・



そして最大のショッキング場面はあの事故。左前タイヤに異物を引っ掛けてバースト。宙を舞う車が観客をなぎ倒す。

ドライバーの目玉が露出していたのにはショックを受けた。
最初映倫でPG12指定だったのに「アレ?」と思ったが納得。
オマケ
息子の名「ピエロ」に違和感を持ったが、それは名ドライバー ピエロ・タルッフィにあやかっての事だろう。またピエロは「ペトロ」の意味らしい(英語圏では「ピーター」)
アダム・ドライバーはエンツォに自分を重ねていた様だ。監督のマイケル・マンもそれに触れている。

 



あらすじ
1957年。イタリア モデナ。
愛人のリナ・ラルディ宅。そっとベッドを出て、息子の顔を見てから出掛けた。車を惰力で走らせ、押し掛けで始動するエンツォ・フェラーリ。車はプジョー503。

銃を持ち、戻ったエンツォの元に向かう妻のラウラ。隣は義母。

銃を向け、いきなり壁を撃つ。驚愕のエンツォ。

外泊など構わないが、朝のコーヒーには間に合わせてと言い放つ(実は、共に亡き息子の墓参をするのが日課だった)
いずれは本当に殺されるかも・・・
「彼女に銃を渡すのはドイツに再軍備させる様なもの」と母親。
息子ディーノの墓参をするエンツォ。昨年24歳で亡くなった。


エンツォと入違いにラウラが来て墓参した。

街の皆がエンツォの事を敬意を込め「コメンダトーレ」と呼ぶ。
会社の状況は悪い。経理担当が昨年売れた車は98台だと告げる。
「198台じゃなく?」とエンツォ。「収入より支出が多い・・」
年400台売らなければ破産だと言う経理担当。
「ジャガーは売るために走る。私は走るために売る」
だが会社の経営に関与しているラウラは、権利書も握っていた。
経理の言う他社との交渉は、エンツォ自身に決定権がないと進められない。相手はフォードやフィアット。

リナ宅でのひととき。エンツォに「パパ」と懐くピエロは12歳。

リナとの付き合いは長い。

 


同じモデナで競合するマセラティが、常設コースで新記録を出した。その同じ日に逆転するエンツォ。

ドライバーとは旧い付き合い。だが彼は後日事故で死ぬ。
相前後して、ドライバーとして自分を売り込むデ・ポルターゴ。

レースメンバーとして起用されたポルターゴだが、その試合中の競り合いで敵より先にブレーキをかけて負けた。即座に電話をかけてポルターゴを交替させる。試合後のミーティングで、レースへの思いを語るエンツォ。死と背中合わせの情熱恐るべき喜び。カーブの競り合いで勝つ覚悟のない者は不要、と言い切る。

リナはエンツォに、ピエロをフェラーリと名乗らせるか、彼女の実家なのかを問う。堅信式までには決めなくてはならず、友達はみな済ませていると言った。煮え切らないエンツォ。

財務担当と話すエンツォ。

やはり他社との交渉のためには彼自身が社の権利を掌握している必要がある。その折りに息子のことを聞かれるエンツォ。表向きは素知らぬ態度だが、その事はラウラを除いた街の者みなが知っている。

ラルディという家への出費を訝しむラウラは、相手の住所を突き止める。その玄関にあったレースカーのオモチャ。


リナとピエロのことがラウラに知られた。口論となる二人。
ディーノを死なせた上に、次の息子を隠していたと責めるラウラ。ディーノの病気はジストロフィーと腎臓病。
「思い上がっていた。エンジニアだからな」
車以上に調べたが結局救えなかったと言うエンツォ。
社の立て直しのため、権利を渡して欲しいと言うエンツォに、承諾する条件として50万ドルの小切手が欲しいと言うラウラ。
それを吞むが、交渉成立までは現金化するなと言うエンツォ。
元々嫌っている訳ではない二人は、交渉成立の後愛し合う。

銀行で権利移譲の書類にサインをするラウラ。だが担当から受け取った50万ドルの小切手には、サインがなかった。書類はこのサインをもらってから、と持ち帰るラウラ。
エンツォとラウラの攻防。書類を渡してくれと言うエンツォに、小切手のサインがないと言い見せるラウラ。それにサインをして書類を受け取ったエンツォ。重ねて現金化するなと釘を刺す。

ピエロと話すエンツォ。ピエロがドライバーになりたいと言うのに対し、今はエンジン作りをしていると言うエンツォ。ピエロにエンジンの仕組みを分かり易く説明し、自分が空気やガソリンになったつもりで各部を回るイメージを語る。


スムーズに流れればより速くなる・・・
どんなものであれうまく行く場合、見た目も美しいんだ・・・


社を立て直すため、ミッレミリア(イタリア縦断の公道1000マイルレース)参戦を表明するエンツォ。
ドライバーは5名。
ピエロ・タルッフィ
ピーター・コリンズ
アルフォンソ・デ・ポルターゴ
オリビエ・ジャンドビアン
ヴォルフガング・フォン・トリップス

車を見せて「どうだ?」と訊くエンツォに
「灰皿がない」と文句を言うタルッフィ。

取材記者の一人に、ウチがフォードと水面下の交渉をしていると書けと誘うエンツォ。エンツォ自身がそれを否定したとも。

記者が見返りとして私生活の取材を申し出るとOKを出した。
「ただし私が許可を出すまでは公表しないこと」

ポルターゴと、その愛人リンダとの間に入って写真に納まるエンツォ。リンダの腰に手を回して引き寄せたが、それはフェラーリのエンブレムをハッキリと見せるため。

レース前夜、リンダに手紙を書くポルターゴ。

そしてレース当日。


車体のゼッケンナンバーはスタート時刻を現す。

各車を見送るエンツォ。

街なかを走るレースカー。

 

 

そして郊外。


レース中マセラティ533と競り合うポルターゴの531車。

コースアウトしてリタイアしたマセラティのドライバーを、後続のフェラーリ車が拾って次のチェックポイントまで送る。
それを見て「歩いて戻って来い。敵の車なんかに乗せてもらって」と怒るマセラティの社長。

チェックポイントでの休憩。


キスを交わすポルターゴとリンダ。


左前輪の摩耗を気にするが、時間がなく次のボローニャで交換すると言って出発するポルターゴ。

 


レース最終盤。コース近くの家で食事を摂る家族。
「車が来た!」と外に駆け出す息子二人。父と母も外に出る。
トップのタルッフィ車が轟音を上げて走り去る。路上のアップ。
そして後続のポルターゴ車が来る。左前輪に何かが接触。


車が宙に浮き、街路灯に当たった後、観客をなぎ倒して行った。
駆け付ける救急車。

事故は観客9名、選手2名死亡という悲惨なものだった。
事故のあと、ポルターゴの残した手紙を読むリンダ。

優勝したのはタルッフィ。
フィアット社長のアニェッリから電話を受けるエンツォ。

フォードの事を書いた記事を読んだという。フェラーリをこの国から出したくないと言った。19歳の私が仕事を求めた時に断った、と言うエンツォに「大昔の話だ」

銀行で小切手を現金化したラウラ。
これで会社は破産だと言うエンツォに、これから記者対応等で相当の現金が必要になるから、これを使ってと言うラウラ。
「条件は?」と訊くエンツォに「条件はないわ」
その代わりに、私が死ぬまではピエロを認知しないでと頼んだ。
小さく頷くエンツォ。

徹底した車体残骸の検査。
左前輪のサイドウォールに深い傷が見つかった。

リナが連れて来たのか、墓地のベンチに一人で座るピエロ。
そこに現れたエンツォは、兄さんに会わせてあげる、とピエロの手を引いてディーノの墓所に連れて行った。

その後、エンツォが事故の責任を免れたこと、息子のピエロ・フェラーリが現在副社長として引き継いでいる、とのナレーションが流れる。