すずめの戸締まり 2022年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督・脚本・原作 新海誠
音楽          RADWIMPS
興行収入:149億円

キャスト
岩戸 鈴芽(いわと すずめ)    - 原菜乃華
宗像 草太(むなかた そうた) - 松村北斗
ダイジン、サダイジン          - 山根あん
岩戸 環(いわと たまき)       - 深津絵里
岡部 稔(おかべ みのる)       - 染谷将太
海部 千果(あまべ ちか)       - 花瀬琴音
二ノ宮 ルミ              - 伊藤沙莉
ミキ                        - 愛美
岩戸 椿芽(いわと つばめ)     - 花澤香菜 鈴芽の亡き母
芹澤 朋也(せりざわ ともや)  - 神木隆之介
宗像 羊朗(むなかた ひつじろう)声 - 松本白鸚

 

予告編

 

感想
公開時には観ておらず、先日TV放送されたものを観た。
新海誠作品は案外好きな方だが、これは公開時観逃した。
地震の原因となる大ミミズが後ろ戸から出るのを防ぐ「閉じ師」を巡る話。それに17歳の女子高生が巻き込まれて行く。

「閉じ師」の草太が、序盤からダイジンの呪いでイスにされてしまう設定は「いかがなものか」と思ったが、そのおかげで鈴芽と同じ行動が取れた訳だし(生身の体だったら同じ部屋で寝るわけにもいかない・・・)それなりに評価出来る。

九州を発端に、延々東北まで行くロードムービーとして、長さを感じさせず楽しめた。
ただ、あの「後ろ戸」が時空の扉でもあるというところが、イマイチもやっとした感じが残る(鈴芽が過去の自分にイスを渡すところとか)
ただ「天気の子」よりは上ダナ。
 

オマケ

芹澤の持っている車は、フロントの形からアルファロメオの様だが、実際には存在しないとのこと。

以下考察記事。



あらすじ
宮崎で叔母 岩戸環(たまき)と暮らす17歳の女子高生 岩戸鈴芽(すずめ)が、ある晩夢を見る。母親を探し、廃墟を歩き疲れた少女の自分が若い女性に声を掛けられたが、そこで目覚める。

自転車で登校途中、青年と擦れ違った鈴芽。

青年から、この辺りに廃墟がないか訊かれる。

 

扉を探しているという。とりあえずあっちの山、と教えて別れたが、気になって引き返す鈴芽。廃墟になったリゾート施設を思い出していた。

屋根も抜けたドームの中央にぽつんと立つ、枠だけが付いた扉。


開けるとその向こうに草原と星が見えた。足を踏み入れると全て消えた。扉を通る前にしか景色が見えない。

足元にあった猫の様な石像。

それを抜くと、ふわふわの姿になって逃げて行った。
 

少し遅れてようやく登校した鈴芽だが、昼食時にあのリゾート施設付近から煙が出ているのが見えた。だが他の級友には見えず。
その直後、緊急地震速報の警報が鳴る。警報はすぐ止まったが、煙は赤黒く伸びて行く。リゾート施設へ走る鈴芽。

その扉から巨大な赤黒い煙がでており、先の青年が扉を閉じようとしていた。だが弾き飛ばされる。そして地中から出た金の糸が煙に接すると、それが町に倒れかかり、地震が起きる。
鈴芽を庇って青年が腕を怪我するが、なおも扉を閉じようとする。それを助ける鈴芽。何とか扉は閉じられ、同時に出て来た鍵穴。青年は念仏を唱える。
「かけまくしもかしこき日不見(ひみず)の神よ
遠(とお)つ御祖(みおや)の産土(うぶすな)よ
久しく拝領(はいりょう)つかまつったこの山河(やまかわ)、かしこみかしこみ、謹んで・・・お返し申す!!」

そして胸から下げた鍵を刺して回す青年。

突然の静寂。
要石が封じていた筈だが、と言う青年。

この扉は後ろ戸。ここからはミミズが出て来ると言う。

青年を家まで連れて行き傷の手当てをした鈴芽。あれはミミズだと言う。日本列島の下で蠢く歪み。それを止める仕事をしている。青年は宗像草太と名乗った。その時窓の外に白い猫が現れる。鈴芽が餌を与え「うちの子になる?」と訊くと「うん」と返した。更に「すずめ、やさしい、すき」と言う一方「おまえはじゃま」と言うと、鈴芽が子供の頃から愛用していた小さな椅子に、草太が変えられてしまった。


逃げた白猫を追う、三本足の椅子になった草太。途中で帰宅途中の叔母 環に会うがスルーの鈴芽。そして猫と草太が乗ったフェリーに飛び込んだ鈴芽。白猫は別の漁船に乗って逃げた。

環からの電話に友達の家に泊まると嘘をつく鈴芽。鈴芽が石を抜いたと言うと、あの白猫が要石で、それに呪われたと話す草太。そして自分は閉じ師だと言う草太。日本中を旅している。
フェリーで一泊した鈴芽と草太(椅子の)は愛媛に着き白猫を探すが、猫は各地で注目を集めSNS上で「ダイジン」と呼ばれる。


たまたまバイクからミカンを落した千果を助けた鈴芽。

その最中に再びミミズが現れる。廃校の後ろ戸を締めた鈴芽。
一方職場の漁協から鈴芽に電話する環。だがまた一泊すると言われ怒る。千果が働く民宿に潜り込んだ鈴芽と草太。

詳しく話せない中で、鈴芽を全面的に信じる千果。
千果と別れ、ヒッチハイクを試みるも叶わぬ鈴芽。雨が降り出しバス停にいる所を、立ち寄ったルミが神戸まで乗せてくれた。
ルミが経営するスナックで、店の手伝いをしながら彼女の子供の世話をする鈴芽。子供らは椅子の草太を怪しむ・・・
同僚の稔の助言で、鈴芽のスマホに紐付いている口座を見る環は、神戸まで行っている事に驚く。
 

店にたまたま居たダイジンをダッシュで追いかける鈴芽。草太も追う。そこは廃れた遊園地。草太がダイジンにタックルするが、その拍子に観覧車の電源が入る。動く観覧車に乗る鈴芽だが、その窓の外に夢で見た光景が浮かび気を取られる。鈴芽を引き戻す草太。気を取り直した鈴芽が後ろ戸を締めて鍵をかけた。鈴芽が見たものは「常世(とこよ)」だと言う草太。この世界の裏側、ミミズの棲家。全ての時間が同時に存在し死者しか行けない。
ルミの自宅で将来教師になる夢を話す草太。閉じ師は続けるが、それだけでは生活出来ない。その夜、体が凍り付くイメージを抱く草太。翌朝新幹線で東京に向かった鈴芽と草太。
途中、環から「迎えに行く」とのメールが入る。

東京の草太のアパートで、ミミズに関する文献を読み漁る鈴芽。


要石が西と東、二か所でミミズを封じている。時代によってその場所も変わる。西の要石はダイジンになって移動中。東の要石がどこにあるのか知りたい草太。そこには後ろ戸もあるという。
だがその場所は全て黒塗りされていた。育ててくれた祖父が知っているが、今は入院中とのこと。
そこに草太の友人、芹澤朋也が訪れる。昨日の教員採用二次試験に草太が来なかったという。その時地震速報が流れる。
部屋の外でミミズが動くのを見る鈴芽。草太と共にミミズの根っこに向かうが、その先を走るダイジン。
後ろ戸は地下鉄に入るトンネルにあったが、更に強い揺れが起き、東の要石も抜けたと知る草太。

 

ミミズに飛び乗った草太を追う鈴芽。

二人は東京上空に達し、ミミズは空一面に広がる。


要石を刺すしかないと叫ぶ草太だが、突然体の自由を失う。
ダイジンが「かなめいしはおまえだ」と言った。草太の体がどんどん凍り付いて行く。金の糸も立ち上がって来た。
要石をミミズに刺さないと地震が起きると言うダイジン。
泣きながら凍り付いた椅子の草太を振り上げる鈴芽。

先端がドリル状になった。そして突き刺す。

ミミズは消滅し、落下を始める鈴芽。

それにダイジンが追い付いて水面に落ちる鈴芽を助けた。
夢の中で母親が椅子を手作りしているのを思い出す鈴芽。

それは誕生祝いだった。「お顔は?」と言われ目を彫る母親。
地下の暗渠で目が覚めた鈴芽は、後ろ戸の向こうの丘の上に草太を見つけ、行こうとするが消える。そこは常世だった。
そこにダイジンが来て「やっと二人になれた」と言うが、鈴芽は拒絶する。急激にやつれて去るダイジン。後ろ戸を締めた鈴芽。
 

地上に出て、入院している草太の祖父 宗像羊朗に会う鈴芽。


要石となった孫はそのままに、と言う羊朗だが聞かない鈴芽。
閉じた後ろ戸を開けて入る、と言う鈴芽に驚き咳き込む羊朗。
死者の世界である常世が怖くないかと訊くと「怖くない、人の生き死になんてただの運。でも草太のいない世界が怖い・・・」
幼い時常世を見たという鈴芽に、その時に通った後ろ戸からなら入れると教える羊朗。鈴芽が去った後、病室の窓に姿を見せる大ぶりの猫。「お久しゅうございますな、とうとう抜けてしまわれたか」と呟く羊朗。

草太の部屋で身支度をして出発した鈴芽だが、御茶ノ水駅の前でオープンカーに乗る芹澤に声を掛けられる。嫌がる鈴芽だが、草太のところへ行くんなら連れて行ってやると迫る芹澤。
そこに現れた環。芹澤を鈴芽の彼氏と間違えて揉める。車に乗った鈴芽に続いて環も乗る。いつの間にかダイジンも乗っていた。
故郷の岩手にカーナビをセットし、連れて行ってと言う鈴芽。
途中、雨が降り出すが、ルーフが閉じ切らずドライブインに立ち寄る芹澤。

環が、どうして故郷に行きたいか訊くが、話しても分からないと返す鈴芽。環が本音をブチ撒ける。あんたに尽くし続けてバカみたい・・・私の人生返してよ!「あなた、誰?」
環のうしろにいた大きな黒猫が「サダイジン」と言った。
飛び掛かるダイジンだが簡単に負かされる。倒れる環。車に乗った二匹。気付いた環は取り乱して芹澤に泣きつく。



再びドライブ再開。サダイジンが喋ったことで驚いた芹澤が道を踏み外し、動けなくなる。

 

残り20キロので走って向かう鈴芽にに二匹も続く。そして環は放置自転車であとを追い、鈴芽を拾って走り出す。「12年振りの里帰りだね・・・」


実家の跡地に着いた鈴芽たち。記憶を辿り地面を掘って「すずめのだいじ」と書かれた缶を取り出し開けた鈴芽。そこにあった日記帳は3月11日以降黒く塗り潰されていた(地震、津波の記録)だが最後のページには、常世に導かれた扉が描かれていた。
「夢じゃ、なかった」そこで鈴芽を扉まで導くダイジン。
倒れていた扉を立て、ノブを開く鈴芽。その先に飛び込んだ。


そこはミミズで一面の世界。突出して来たミミズにサダイジンが取り付いた。その彼方に草太が見える。草太に向かう鈴芽。
辿り着いた鈴芽が草太を抜こうとするが、それをすると要石が抜ける。ダイジンが草太の元に取り付いた。鈴芽の心に去来する草太との思い出。それが凍り付いていた草太を蘇らせる。
鈴芽に手を引かれ後ろ戸から出た草太。
気付くと元の姿になった草太。その先に倒れているダイジン。
「すずめのこにはなれなかった。だからすずめのてで、もとにもどして」と言い、要石の姿に戻った。
草太が、ビルに乗った漁船の上に鈴芽を導き呪文を唱える。
人々の想念が渦巻く。そして草太はサダイジン、鈴芽はダイジンの要石を持ち、同時に二匹のミミズの頭に撃ち込んだ。


一瞬にして静寂となり、雨が降り出した。

鈴芽が気付くと傍らにあの椅子。丘を歩く少女に気付いた草太。鈴芽が椅子を持ってその少女に向かって行った。
「そうか、そうだったんだ」お母さんはいる!と言い張る少女。
少女(である自分)を抱き締め椅子を託す鈴芽。


全てを終え、後ろ戸の鍵を締める鈴芽。
「大事なものは、もう全部もらってたんだ・・・」
環、芹澤のところに戻る鈴芽。草太はあちこち戸締りしながら帰ると言って電車に乗った。その前に鈴芽を抱き締め
「俺を救ってくれてありがとう。逢いに行くよ、必ず」
かつて草太と辿った道のりを、環と共にお礼しながら戻って行く鈴芽。

吐く息も白くなる頃、学校に向かって走る鈴芽は、ちょっと驚いて自転車を止める。

「おかえり」
かつて初めて会った場所に立っていた草太。