ハンターキラー 潜航せよ   2019年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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<ネタバレご注意>

 

監督 ドノヴァン・マーシュ
脚本 アーン・シュミット、ジェイミー・モス
原作 ドン・キース

 

キャスト
アーカンソー号
ジョー・グラス艦長         : ジェラルド・バトラー
エドワーズ副長       : カーター・マッキンタイア
参謀本部
チャールズ・ドネガン      : ゲイリー・オールドマン
ジョン・フィスク              : コモン
ジェーン・ノーキスト      : リンダ・カーデリーニ
ドーヴァー米大統領   : キャロライン・グッドール
ロシア側
ザカリン大統領             : アレクサンドル・ディアチェンコ
オレグ(大統領の側近)  : ユーリー・コロコリニコフ
ドゥーロフ国防相       : ミハイル・ゴア
アンドロポフ艦長        : ミカエル・ニクヴィスト
救出部隊
ビル・ビーマン               : トビー・スティーブンス
デヴィン・ホール       : マイケル・トルッコ
マット・ジョンストーン     : ライアン・マクパートリン
マルティネリ(新人)        : ゼイン・ホルツ

 


予告編

 

感想
潜水艦映画は何と言っても「眼下の敵」が一番。
久しぶりに潜水艦の絡む映画である事と、お気に入りのリンダ・カーデリーニが出演という事もあって視聴。

原潜の沈没に端を発して、ロシア大統領救出の話になって行くという「トンデモ」話。
潜水艦映画ではあるが、全編これ海中というのも飽きるので、海中描写の比率としては妥当なところか。

 

ロシア大統領の動向を偵察するためのチームを、救出チームに切り替えるというのはかなりの力技。元々偵察だけだったら、アクアラングの装備なんか要らないし、大体輸送機からパラシュートで運んだケースに、そんなかさばる荷物なんて入ってるわけない。
最初の偵察でも、無人の潜水艇で建物の外側しか映していない状況で、どうして大統領の安否が判るのか、なーんて思っていたら、どういうわけか大統領と側近は海岸まで連れて行かれ、カメラの前で側近が撃たれて、また戻される。わざわざクーデターをやりましたヨというお芝居丸見えで、かなりの興醒め。

 

それから小型潜水艇でロシアの乗員を救う場面だが、何気なくやってるけどこれ、技術ハードル高過ぎ!
ドッキング部を固定する相手とのロックはどうやるのか?磁石でくっつける?  へー、すごいとは思ったが「ホンマかよ」と思ってしまった。

それから最初の交戦でロシア潜水艦からの魚雷攻撃の場面。よける時の急旋回の仕方が、ちょっとリアリティなさすぎてこれまた興醒め。まあ、高性能魚雷をかわすんだから、気持ちは判るが・・・・

 

最初の方のグラス艦長の「出来る男」ぶりはちょっと鼻についたが、ロシア艦からの乗員救助で副長と揉める辺りからは、海の男の矜持が溢れ、ストーリーに同化出来た。

 

クライマックスでの反撃待ての指示にはあせった。なんせ大量のミサイル。結果的にロシアの駆逐艦が全部撃ち落としてくれたが、いくらなんでもあんな至近距離でミサイルが撃ち落とせるわけがない(こういう映画で「わけがない」は禁句なのよね・・・)。
反撃のミサイルを駆逐艦が撃ったところは「イヨっ!日本一 じゃなかったロシア一」とでも言いたくなる場面。
ホントは軍隊の命令体系から行ったらアウトなんだけど、まあいいや。

 

ツッコミどころ満載といった状況ではあったが、見せ場がいろいろあって映画としては楽しかった。
特に潜水艦内部は米海軍の全面的協力で、かなりリアルに再現されており、戦争ヲタクには受けるだろう。急速潜航の場面で皆の体が傾く様は「ああ、そうなんだ」とナットク。セット全体を傾ける仕掛けらしい。

リンダ・カーデリーニは「グリーンブック」では健気な奥さんを好演して、今回は軍人。大統領救出のアイデアを出すキーマンとして、なかなかカッコ良かった。
それからアメリカ大統領が女性なのは、トランプがなるべきではなかったという批判も含んでるのかな?

 

 

 

あらすじ
ロシア近海で米海軍原潜タンパ・ベイが消息不明になる。
統合参謀本部のドネガン大将の指示で、米国防総省のジョン・フィスク少将がその捜索にジョー・グラスを選任する。

使われるのは攻撃型原潜アーカンソー号(ハンターキラー)。

 

一方国家安全保障局(NSA)のノーキストは、ロシアのザカリン大統領がポリャールヌイ海軍基地へ視察に向かっている事との関連を案じて、極秘で偵察部隊を送り込む指示を出した。

 

ネイビーシールズのビーマン隊長ら4名が潜入して、基地の様子を参謀本部に送る。妨害電波を避けるためNSAの専用周波数を使用。

 

アーカンソー号はタンパ・ベイを発見し、魚雷による沈没である事から警戒態勢に入る。氷山の下に隠れていたロシア潜水艦からの魚雷攻撃。それを辛くもかわして返り討ちにするアーカンソー号。


その海域にはタンパ・ベイだけでなく、もう一隻沈没したロシア潜水艦があった。横腹に開いた穴が内部からの破裂である事から、叛乱によるもの。更に、打音が聞こえ生存者の存在が知られた。
救助を指示するグラス艦長に不満のエドワーズ副長だが、命令は絶対。装備された小型艇を発進させ、ハッチ入り口に接続し、アンドロポフ艦長ら三名を救出、捕虜とした。

 

ポリャールヌイ海軍基地を視察するザカリン大統領。応対するドゥーロフ国防相が、国防に関して過激な発言をする。それをたしなめたザカリンを銃で脅し、大統領が急病である事にして、国防の権限を乗っ取るドゥーロフ。側近を含めザハリンを海岸まで連れて行くと、側近は撃たれて海に落とされ、再びザハリンは建物に連れ返された。
その一部始終が、偵察部隊のカメラから参謀本部に送られた。

ロシアで起こったクーデターに騒然となる米軍。

この事態に緊急会議が開かれ、ドーヴァー米大統領は空母艦隊の出動を許可するがフィスク、ノーキストらが提案する、シールズ部隊とアーカンソー号によるロシア大統領救出作戦も許可した。

 

ザカリン救出のためロシアの領海を潜航するアーカンソー号だが、設置されている機雷群は、音に反応する最新式も予想される。グラスは捕虜にしたアンドロポフに事情を説明する。
はっきりした協力の諾否も判らないまま、アンドロポフを指令室に招き入れるグラスに、エドワーズ副長がまた反発。
アンドロポフが、ソナー画面を見て壁ギリギリのコースを指示。それで険悪な空気が収まった。
その先でもアンドロポフは、海図にない秘密のルートを指示して艦の進行を助けた。

 

ザカリン救出に向かうシールズ部隊。

 

だがNSAの通信周波数がロシア側に知られ、警戒に出向いた軍の攻撃で新人のマルティネリが足を負傷し、残される事になった。
海岸から上陸したところで、撃たれて落とされた側近のオレグが見つかる。彼の手引きでザカリンが捕らえられている部屋へ向かうチーム。
部屋に急襲を仕掛けてザカリンを奪取したチームは、窓からロープで脱出。オレグが体を張ってそれを助ける。
ロシア軍の厳しい追撃でザカリンが負傷し、谷で逃げ場を亡くしたリーダーのビーマン。
そこに遠方から敵が狙撃されて次々に倒れる。負傷して作戦には加われなかったマルティネリが、望遠ライフルで援護してくれた。

 

救助に向かっているアーカンソー号は、何とか機雷群を抜けて湾内に入り、小型艇でザカリンらの救出に向かう。そして追跡者たちとの海岸での攻防。
ビーマンだけが最後にザカリンを小型艇まで送り届け、戻って行った。
ザカリンを回収したアーカンソー号に、ロシアの駆逐艦が迫る。

ソナーのスクリュー音から、かつて自分が艦長だった船だ、とアンドロポフが言う。そして「失敗しない」とも。
急速潜航するアーカンソー号に降り注ぐ爆雷。グラスは海底の状況を聞くとアンドロポフは「泥土だ」
海底に接地して沈黙するアーカンソー号。辛くも爆雷攻撃はかわした。

撃沈したとして去って行く駆逐艦。

だがその時艦内では魚雷室で、崩れた魚雷の下敷きになった船員が大声を上げ、それがマイクから外部に漏れた。


その音を聞きつけて駆逐艦が戻る。魚雷室は浸水して反撃は不能。

 

グラスは副長のエドワーズの制止も聞かず、駆逐艦の前にアーカンソー号を浮上させた。
アンドロポフにマイクを渡すグラス。

 

アンドロポフは、その船の乗員の名前を一人ずつ呼んで行った。

驚愕する船員たち。そしてこの潜水艦には自分とザカリン大統領が乗っている事を知らせ、攻撃するなと言った。
現艦長はドゥーロフ国防相の命令を受けて攻撃を命令するが、だれ一人として聞く者はいない。

業を煮やしたドゥーロフ国防相は、基地からアーカンソー号へのミサイル攻撃を指示。
アーカンソー号の方も海軍基地へのミサイル攻撃準備に入る。
基地からのミサイルが発射されたが、こちらの側からの発射はグラスが止めている。じりじりと迫る着弾。
「もう間に合いません!」との叫び。

 

だが攻撃側のミサイルは、アーカンソー号の直前で全て撃墜された。それはロシアの駆逐艦が行った防御。

 

そして駆逐艦から二発のミサイルが発射された。
撃ち込まれるミサイルを茫然と眺めるドゥーロフ。

基地は粉々に爆破された。

 

全ての決着を済ませ、収容されたビーマンを労うグラス。

ビーマンは、取り残されて敵に襲われそうだったマルティネリを助けて連れ帰っていた。
ロシアからの迎えの船に乗り込むアンドロポフを握手で見送るグラス。
アンドロポフの手には、グラスが初めて潜水艦乗りになった時から持ち続けていた「幸運のコイン」が握られていた。