トレイン・ミッション(原題:The Commuter) 2018年 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

監督 ジャウム・コレット=セラ
脚本 バイロン・ウィリンガー
音楽 ロケ・バニョス

 

キャスト
マイケル・マコーリー    - リーアム・ニーソン
ジョアンナ                    - ヴェラ・ファーミガ
アレックス・マーフィー     - パトリック・ウィルソン: マイケルの親友。
ウォルト                       - ジョナサン・バンクス
カレン・マコーリー          - エリザベス・マクガヴァン: マイケルの妻。
ホーソーン警部             - サム・ニール
ダニー・マコーリー         - ディーン=チャールズ・チャップマン
グウェン                       - フローレンス・ピュー
エヴァ                          - クララ・ラゴ
ガルシア特別捜査官      - キングスリー・ベン=アディル
トニー              - アンディ・ナイマン
ヴィンス                       - シャザド・ラティフ
ソフィア                        - エラ・レイ・スミス

 


予告編

 

あらすじ
主人公マイケルは保険会社の社員。毎朝妻カレンの運転で駅まで行き、電車で通勤。今度大学に行く息子は私立を目指し、金がかかる。新しい家を妻が検討しており、そちらもプレッシャー。
そんなある日、上司に呼ばれ、解雇を通告されるマイケル。

企業戦士として尽くして来たと言うマイケルに「戦士も時には負傷する」と冷たい上司。

 

行きつけのバーでビールを飲んでいると、警察の同僚だったアレックスが来て一緒に飲む。クビになった事を話すと、7年間、警察では世話になったから恩返しさせてくれと言う。
そんな時に、TVから都市計画がらみで人が死んだ事を告げるニュースが。少しその話題に触れるアレックス。
そこへ、アレックスと共にマイケルの上司でもあったホーソーン警部が、関係者と共に店に入って来る。マイケルを見つけて声をかけるが、アレックスは気のない対応。
そろそろ電車の時間だ、と言うと共に、奥さんに早く話せと言ったアレックスの言葉を背に、駅へ向かうマイケル。

 

いつも乗る時刻の電車に乗る前に、男とぶつかるマイケル。乗ってから胸ポケットのケータイがない事に気付く。その後顔見知りのウォルトが、君を見ている女が居る、と囁く。だがハイヒールしか見えない。

 

空いた車両まで行って、習慣となっている読書を始めると、向かいに女性が座る。先ほど見たハイヒール。
読んでいた本の内容に関する話をされて、読書を中断するマイケル。

人の心理に関する話をするうち、お互いに名前の紹介。彼女はジョアンナと言った。そして仮定の話として、トイレに封筒が隠されていて、そこに2万5千ドルある。、と言い出した。
興味があるかと言われて頷くマイケルに、これは実験と言って更に話を続けるジョアンナ。コールドスプリング駅に付くまでの間に、常連以外の乗客の中から、プリンという人物を探し出し、その人が持っているバッグにこの部品を入れれば、更に7万5千ドルを渡すと言った。

 

警察での経験から、それがGPSの追跡装置であると直感するマイケル。女はマイケルが元警官だった事を知っていた。まだやるかやらないかの意思表示をする前に、彼女は「この件は途中下車も他言もダメ」と言ってちょうど停車した電車から出て行った。

 

すぐには信じられなかったマイケルだが、一応試しにトイレに入ってみた。普通の確認では封筒など見当たらない。更に注意深く見ると、トイレ下部の換気吹出口からの風が、右側だけ止まっている。
換気口のガラリを開けてみると、そこに封筒がネジ込まれており、札束が入っていた。
それを鞄の中にネジ込みトイレから出る。

 

次の駅で、開いたドアから女が入って来てマイケルに封筒を渡す。そして「見張られている」と言ってすぐドアから出て行った。封筒の中には妻の結婚指輪が。
マイケルは、顔見知りの乗客トニーにスマホを借り、妻に電話をかけるが出ない。続いて警察のアレックスにも掛けるが不在のため、このスマホへの返信を頼む。
最初に声をかけてくれたウォルトの席へ行き、回りに判らないよう、新聞にメモを書いて渡す(警察への通報依頼)。駅で降りたウォルトは目で合図を返した。

 

その直後スマホに電話がかかり、女の声で窓の外を見ろとの指示。駅から出たウォルトが、信号待ちをしている時に、後ろから押され、バスの前に出て撥ねられた。

 

指令をやり遂げるしかないと悟ったマイケルは、切符の取り扱いルールを利用して、コールドスプリングまで行く乗客を絞り込んだ。

NY車掌のルールで、目的地に該当する番号にパンチ穴を開けた券をシート上に挟む事になっており、コールドスプリング行きの客には7の所にパンチ穴が明いている。

そうして絞り込んだ客に一人づつ話しかけて、ヒントを掴もうとするマイケル。ゴールドマン・サックスの銀行マン(ヴィンス)、彼氏に頼まれている偽ID運搬中の女(グウェン)等。

そんな時に逃げる様な態度の男(ディラン)を見つけて追うマイケル。揉み合いになり、相手がプリンの名に反応。殴り合いの最中に鞄へGPSを入れ込む事に成功する。

 

アレックスからの電話で、家に警官を送るよう頼み、女から頼まれた話をするとアレックスは、2日前に都市計画課の職員エンリケが殺害された事件の目撃者がプリンだと告げる。

女は目撃者を捜しているのだと言った。

 

電話を切ると、どこからか電話の着信音。音は床下からであり、フックを引いて点検口を開けると、先の男が殺されて押し込められていた。ポケットを探るとFBIの身分証が出て来る。

鳴っているスマホを開くマイケル。
盗聴器と思われる、家の中の妻と息子の声。だがその時、次の到着駅で警官の姿が見えた。先の乱闘で乗客が通報していた。

 

警官がくまなく探すが、マイケルは見つからず、警官は引き上げて行った。マイケルはとっさに死んだFBI捜査官の横に入って隠れていた。
だが警官が点検口のフックを踏み付けたため、内側からは開かない。床の下はすぐ線路のため、下に降りようとしたが、もたついているうちに電車が動き出す。
動く電車の中でレール間に落ちるが、どうやって外に出るか。横に転がり出るために、数回タイミングを計って何とかレール間から出ると、車両の繋ぎ目に飛び乗るマイケル。だが車速が上がって来て、肩にかけたカバンが手許に引き寄せられない。無理をしているうちに鞄が分解して札束が吹き飛んだ。手許に残ったのは100ドル札一枚。

 

マイケルが電車の冷房装置を壊し、最後尾に客が集まる様に細工。
トニーともう一人(怪しい者の一人)がポーカーをしている所に割り込むマイケル。様々な質問をするマイケルに閉口する男。
マイケルは、今まで自分が受けて来た状況を皆に話す。

そして、どうしてもプリンを探さなくてはならない、と言うと、その男は通勤の定期券を出した。
その時、ギターを持った男が部屋から出たのを見逃さず、マイケルが走った。そして乱闘が始まる。何とか男を倒すが、彼はプリンを暗殺するために雇われた者だった。

 

最後に残ったのは看護師の女性。常に連絡を繰り返していた。銃で脅すマイケルだが、彼女はスマホのLINE履歴を見せた。やり取りは彼氏とのもので、別れ話がこじれていただけ。

 

対象者が一人もいなくなった?
今までの事を思い出し、先に降りた銀行マンが、途中で隣と席を替わっていた事を思い出す。その時に居たのは黒人の少女。
イヤホンで音楽を聞いていた少女に近づくマイケル。「プリンか?」と聞くとソフィアと答える。

彼女が読んでいた本は「緋文字」。主人公の名前がヘスター・プリン。
話を聞くと、従兄であるエンリケが殺された時の目撃者。警察に言えなかったのは犯人が警官だったから。

エンリケを殺す時、犯人は「崇高な事などない」というフレーズを喋っていたという。FBIのガルシア捜査官と連絡を取り合い、証拠物件と共に保護してもらうため、コールドスプリングに向かっていた。

 

ジョアンナからの電話「今すぐプリンを殺しなさい」。

マイケルが拒否すると「全員、死ぬわよ」。

終点で待つ警官たち。

 

マイケルは車掌に停車を指示するが、仕掛けられた爆弾により運転士が倒れ、列車はどんどん速度を上げる。このままでは最終カーブを曲がり切れずに脱線する。
助かるには、最後尾の列車をあと2分以内に切り離して減速するしかないが、切り離しには連結器の上だけでなく下からも外すアクションが必要(走行中にやる操作ではないため)。上は年配の車掌がやるが、下の作業をやるのを若い車掌は拒否。やむなく下に回るマイケル。

 

作業に入るが、なかなか外れない。そのうちに前部車両が脱線を始める。やっとの事で連結が外れた時、脱線車両が宙を舞って後部車両に迫る。ぶつかる寸前に逃れるマイケル。
そのうち後部車両も脱線してレール上を横滑り。

しばらく滑ってようやく止まる。

 

すぐに警察車両が到着。だが先の通報で、この事態を引き起こしたのがマイケルだと誤解されていた。外に出ようとする乗客を引き止め、外からの射撃を避けるために、窓ガラスに新聞紙を貼り付けるよう指示するマイケル。

 

射撃班が構える中、ホーソーン警部の指示で車両に向かうアレックス。アレックスの交渉により、人質と言われている乗客は次々と解放される。乗客は全て出たと言われて中に入るアレックスだが、最後まで疑われていた数名の乗客も残っていた。

投降を促すアレックスは、話の中で「崇高な事などない」という独特な言い回しをした。乗客と共に、アレックスこそが犯人と知ったマイケル。そして自ら正体を明かすアレックス。

 

アレックスはマイケルに銃を向けて「プリンは誰だ?!」と叫ぶと、ソフィアが「私がプリン」と立ち上がる。すると横にいた男が「私がプリンだ」と言い、残った者も次々にプリンだと言い出した。
混乱するアレックスに飛びつくマイケル。外からは狙撃隊が透視カメラで追尾中。射撃指示が出ている中、マイケルがアレックスの追跡装置をむしり取り、彼を押し出した。

 

それをマイケルと判断して狙撃チームが発砲。アレックスは絶命。

車両に突入する警官たち。マイケルの身が危うくなったが、ソフィアがガルシア捜査官に説明して誤解が解ける。

妻子と再会するマイケル。

ホーソーン警部が「君のような警官が懐かしい」と呟く。

 

後日、列車に座っているジョアンナ。向かいに座った男が「通勤客だったとはな」と声をかける。マイケルだった。
平然と「あなたに何が出来るの?」と聞くジョアンナに警察の身分証を見せるマイケル。

 


感想
リーアム・ニーソンの「96時間」三部作は全部観ており「百人の中から一人を探し出す」というシチュエーションにはそれほど魅力を感じなかったものの視聴。
自分はクルマ通勤だからさほど感じないが、電車通勤者はけっこう「あるある」な感じで感情移入した事だろう。

 

亭主が60歳にもなるのに、35万ドルの物件に気持ちが動くなんて、この奥さんも相当ノー天気。
まあ、そんな事にも苦労しているという背景描写としては、いい味出している。
毎度の「巻き込まれ」型の構成は、リーアム・ニーソンに良く似合う。

 


例によってツッコミを・・・
新聞のメッセージを引き受けたウォルトが撥ねられるシーンを、電車内のマイケルに見せるのはほとんど不可能。ウォルトが改札を通って表に出るまでに、電車はとっくに通り過ぎている筈。

プリンという名前の者の荷物に、GPSの追跡装置を仕込むのがタスクだったのに、話が途中でぶっ飛んだのは、結局そんな話はどうでもよくて、最終的にマイケルが一連の事件の犯人として死んでくれればいいと言う事。

そう考えれば途中の不整合に目くじらを立てるべきではないか。

 

それにしてもソフィアの、プリンとの関連がマニアックすぎる。読んでいた小説「緋文字」の主人公の名前がヘスター・プリンだなんて・・・・ 
その上、この小説の作者がナサニエル・ホーソーン(警部の苗字と同じ)。こういうしょーもない小ネタが判ると気力が落ちる・・・


ちょっと気に入らないのは、ここまでの大がかりな揉み消しを画策するにしては、事件の本体がショボ過ぎる事。
都市計画に絡んで職員が死んだぐらいで(一部ネタバレサイトでは市長も死んだとあるが)、その証言をする者を殺すのに列車事故まで計画するとなると、関係者が相当な数になる。そっちの方から秘密を暴露されるリスクの方がよほど大きい。
都市計画の裏にある、もっと大がかりな「何か」を持って来る事が必要だった。映画のアクションばかりに気を取られていると、こういう結果になるのだなぁ。

 

でも、それを裏返して考えると、先日財務省の職員が自殺した話は、裏に一体どれだけ深い闇が潜んでいるのか。この辺り、国民の鈍感さに政府が救われている・・・・誰かに暴いてもらいたい。


音楽は、アクションシーンを除いてはピアノ、ストリングス系が多く、好感が持てた。
その音楽に乗って、エンドロールが電車の路線図になって下って(上って?)行くのが何ともオシャレで良かった。こんなに楽しいエンドロールも珍しい。