NHKスペシャル「人体ミクロの大冒険③」4/6放送 | 私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

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3回目「 あなたを守る!老いと戦う細胞」

 

感想
シリーズ最終回は、お約束というべき「老い」がテーマ。
しかしT細胞が思春期以降増加せず、その機能が老いと共に劣化して行くペースが、筋肉等の衰えに比べてハンパなく激しい事に驚いた。
そらー病気がちになるはず(感染症に弱くなるのも当然)。だからインフルエンザ予防接種も必須なのよね。

でもiPS使ってT細胞増やす話は、すごい魅力的な反面、ゲストの言っていることがやはりまっとうな印象。
この辺り、山中さんの「研究者ゆえの楽天主義」みたいなところがちょっと、ね。

 

 


内容

ナビゲーターはiPS細胞の山中教授と演出家の野田秀樹。
今回のゲストは作家の阿川佐和子。

 

イタリアのサルディーニャ島。

長寿の割合が世界一(100歳以上が5000人以上)。
ルカ・ディアーナ博士。長寿者3000人の血液検査を実施。免疫細胞に特徴がある事が判明(効率的に働いている)。

免疫細胞(好中球)は20代では活発に動いているが、60代ではほとんど動いていない。サルディーニャ島での長寿者調査では動きを保っている。

 

免疫細胞は約2兆個あり、背骨の中の骨髄で1日約1千億個作られている。
T細胞:異物が敵かどうかを判断。
樹状細胞:異物をキャッチしT細胞へ運ぶ。T細胞がこれを判断し、敵とみなせばサイトカインを放出して攻撃命令を出す。
マクロファージ:指令により病原菌を食べる。

 

英国のバーミンガム大学。免疫細胞を増加させる方法。
1日5分の運動で改善。筋肉から分泌したもので活性化し、免疫細胞を若く保つ。免疫細胞が老いの原因になっている。
年齢と共に増える病気には免疫細胞が関わっている。
バイオイメージングで明らかになった。

肝臓内の大量のマクロファージが1ケ所に集中。

肝臓の細胞を攻撃(免疫の暴走)。
血管に貼り付いたマクロファージ。その部分に血小板が集まり、詰まりとなる。
活性化したマクロファージが悪さをする(同じ間違いを繰り返す)。
メタボも免疫細胞の暴走。サイトカインが多量に出て体中が攻撃対象になる。
血管はサイトカインに浸されると血糖の吸収を阻止。暴走を食い止めるのが老いの阻止につながる。

 

カリフォルニアの大学。老いたマウスと若いマウスを人工的に繋ぎ、血液の交換を可能にした(老いたネズミのサイトカインは少ない)。老いたマウスの筋肉量が大幅に増加。老いに対処するためのヒント。
免疫細胞はネットワーク。老いによりT細胞が判断能力を失う。T細胞はなぜ暴走するのか。

 

T細胞には1人前になる道のりがある。子供の心臓の上にある胸腺にはT細胞が詰まっている。骨髄で作られたT細胞がここに集められ選別される。T細胞には小さな突起(異物と嵌合するアンテナ)があり、数百万の病原菌に対応する。作られるT細胞のうち実戦に出せるのは5%。
胸腺は思春期を過ぎると消失する。血中のT細胞の数は20代と70代でさほど変わらないが、70代のT細胞で正常なのは1割程度(T細胞は長生きしなくてはならない)。

T細胞を95%捨てるのは大きなエネルギーの負担になる。種としては子孫さえ残せれば用は足りる→やりくりするしかない(細胞の宿命)。

京都大で大きな成果発表あり。人工T細胞。iPS細胞化による再生。
T細胞を取り出してiPS化しT細胞に戻すことで増殖。アンテナは元のT細胞と同じため、すぐ実戦に使える。

 

ゲストからの意見。余生を人為的にコントロールする事につながらないか?iPS細胞もよそ者であり大丈夫か?
→今のところほぼ大丈夫との感触。
糖尿病治療の限界。免疫異常を叩くことが出来るのが根本治療。
脊髄損傷マウスに神経幹細胞を注射。40日後に歩行を始めた。
更にゲスト:医療はどこまで「人を救うため」と言えるのか。
山中:今まで脊髄損傷患者は一生歩けないのが運命だった。変えられる運命は運命ではない。

 

大阪大の新医療。拡張型心筋症の治療に心臓への細胞シート貼付。施術直後の細胞シートは弱るが、血管が伸びてそれを助け、その後シートが心筋細胞を助ける。

 

細胞の方が悟っている.。iPSも細胞の力を借りたもの。
精子と卵子が結合して受精卵になる事自体が細胞の初期化(巻き戻しの原理)。