世界39の言語に訳された国際的ベストセラー小説の映画化ということで

 

昨年話題になっていた『帰れない山』。

 

原作は『Le Otto Montaghe』(8つの山)、イタリアのパオロ・͡コニェッティの作品です。

 

 

タイミングが合わなくて映画館では観ることができず、先に読みたいと思っていた原作も未だ読んでいないのですが

 

観てみたい気持ちになった時にと思い、まず映画を観てみました。

 

 

 

 

 

 

 

観終わったあとに何とも言えない複雑な気持ちが胸に残りました。

 

嫌な気持ちというわけではなくて、長い旅を終えたあとのような、いい意味での疲労感のようなものというのでしょうか…

 

きっと感情を旅したのだと思います。

 

とてもいい映画でした。

 

 

 

(ネタバレになるほどではないと思いますが、気になる方は先に映画をご覧になってくださいませ)

 

 

 

物語は、北イタリアのモンテ・ローザ山麓からはじまります。

 

都会で暮らす裕福な家の少年ピエトロは、山の好きな両親と休暇の時だけ山麓の村で過ごしていました。

 

そして、その村で牛飼いをしている同い年の少年ブルーノと出会います。

 

生活環境のまったく異なるふたりですが、しだいに仲良くなり、村での短い時間をいっしょに楽しむようになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

けれども、時はさまざまな変化をふたりにもたらします。

 

父親の生き方を嫌い、強い反抗心を抱くようになったピエトロは、両親ともブルーノとも山とも距離を置き、心を閉ざすように離れて暮らすようになります。

 

一方、都会に出る選択肢を父親に奪われたブルーノは村に残り、牛飼いとしての暮らしを続けていきます。

 

 

すっかり大人になるまで離れていたふたりが、再び会い言葉をかわしたのは、ピエトロが父の悲報を受けて村に戻った時でした。

 

そしてピエトロは、ブルーノを通して、会わなかった期間の父のことや思いもよらなかった父の想いを知るのでした。

 

 

 

 

 

 

そのあとのことは書くのを控えますが、とても濃密な時間が流れていきます。

 

 

 

ふたりとも髭をはやすようになってどちらがどちらかわからなくなることも💦

 

 

 

 

都会育ちのピエトロと山育ちのブルーノは、培ってきた力も経験も違うわけですが

 

自分の生き方、自分の居場所を探し求めていることは同じだったのだと思います。

 

 

 

ふたりの生き方の選択は異なり、重なり合うことはありませんが

 

ある時期はブルーノがピエトロの力になり、ある時期はピエトロがブルーノの力になりというように

 

ふたりの関係は補い合うかのように繋がっていきます。

 

けれども、お互いの生き方を理解し尊重しても、最後に決断し選択していくのはそれぞれでしかありえません。

 

 

 

これは、私の勝手な想像ですが

 

ピエトロもブルーノも、心に父親の(あるいは母親の)“欠け”を持っていたのではないかと感じます。

 

(セラピーをやっていた経験から幼少期の心の傷みについ注目してしまいます^^;)

 

それが自分の居場所探しのはじまりだったように感じられました。

 

 

 

ふたりの友情の物語のようでありながら、父親との関係を辿る旅でもあり

 

原作のタイトル『8つの山』が表すように、思想や生き方そのものを考える作品だと思いました。

 

 

 

ネパールを訪れたピエトロからブルーノは「8つの山」の話を聞きます。

 

「8つの山」とは、簡単に言うと、世界は8つの山と8つの海に囲まれていて、その中心には須弥山(スメール)というとても高い山があるという世界観です。(宗教的な意味合いなど詳しくお知りになりたい方はお調べくださいね)

 

ネパールでこの話を聞いてきたピエトロはブルーノに説明したあと尋ねます。

 

「中心の一番高い山スメールに登った人間と、その周りの8つの山々を巡った人間とはどちらの方がより多くのものを学んだことになると思うか?」と。

 

どう答えたのかはここでは書きませんが、

 

このシーンのやりとりに、ふたりの人生観と

 

お互いをどう思っているのか、その心の内にあるものがよくわかるように思います。

 

 

 

鳥葬の話や植え替えた松の木の話も印象的でした。

 

 

 

本には、映画ではあまり描かれていなかった母親のことも書かれているそうなので

 

折りをみて本も読んでみたいと思います。

 

この作品はフィクションですが、作家自身の体験がベースになっているようです。

 

 

山の風景がとても美しかったので、やはり映画館の大きなスクリーンで観てみたかったなあと思いつつ

 

このタイミングで観た意味も感じています。

 

 

雄大な自然の中で人の心の繊細さがより際立つように感じました。

 

 

誰の心の内にもあるものに静かに触れてくるような映画だと思います。

 

 

 

※最初の写真以外画像はすべてお借りしました

 

 

 

お読みくださりありがとうございます。

 

 

皆さまどうぞお元気で。

 

よい一日を🧡