こんにちは。

 

 

『家と庭と犬とねこ』は『ノンちゃん雲に乗る』で知られる児童文学作家であり翻訳家でもあった、かの石井桃子さんのエッセイ集。

 

1948年から2002年の間に、新聞や雑誌などに掲載されたたくさんのエッセイがまとめられた一冊です。

 

明治、大正、昭和、平成を生きられた、そのゆたかな経験が思い出とともに綴られています。

 

 

 

 

 

 

 

50年以上の間に書かれたエッセイなので

 

これはお幾つくらいの時に何に書かれたものなのだろう?と巻末の初出一覧を開くこともしばしば。

 

 

 

戦後の農村での暮らしの話、

 

子ども時代に味わった野菜や果物、お母さんのお料理の話(みずみずしくて美味しそう。また、ひとり暮らしの料理もまた興味深い)

 

クモの巣やメダカや金魚、犬や猫といった生き物の話、

 

「思い出の車掌さん」をはじめとする心に残った人の話など、

 

そのどれもがとても味わい深く、なぜか懐かしい。

 

 

 

 

じぶんの波長を、ほかの人のなかに見いだすことが、人生の幸福の一つなんではないかしらと、私はよく考える。(「波長」より)

 

これは、私自身もよく思うことです。

 

石井桃子さんは、「体質とか、気質とか、物の考えかた、感じかたがぴったり理解しあえる人間」のことを「波長が合う」と表現していらっしゃいます。

 

 

 

「魔法の犬」のちょっと滑稽な感じや

 

犬や猫への甘さのない、ちょっとクールな扱いも面白いです。

 

 

 

作家として翻訳家として、また編集者として、大きな業績を残していらっしゃいますが

 

エッセイにはほとんど、その“仕事”については触れられておらず、

 

ひとりの女性として、現実を生き、社会を見つめ、周りの人たちや生き物を慈しんだ日々のひとコマひとコマが綴られています。

 

 

堅実で地に足のついた生活をしながらも、好奇心にあふれ、ひとり旅にも出かけ(この時代、女性のひとり旅は珍しいことでしょう)、

 

心の静けさと自分らしさを愛した日々。

 

 

生涯独身だった石井桃子さん。2008年に101歳でお亡くなりになりました。

 

 

 

 

 

この本を読むと気持ちが調う感じがします。

 

きちんと生活したくなる(お堅い意味ではなく)、そして愉しく生活していきたい気持ちになります。

 

 

 

退屈せず、独善的にならない生き方は、「ときの日」のなかの「農基法と民主主義」に書かれているような

 

点景人物として見る時は美しく見える光景のうしろにあるもの、表に見えないそのうしろに想いを馳せることのできる心の力のように思います。

 

それは、石井桃子さんの書く作品、訳された作品にも感じられるように思います。

 

 

 

 

そして印象的だった、「ひとり旅」の中に記されている、まわりの風景にとけていくようなあの独特の感覚。

 

それは誰にでもあるというものではないのでしょうか…?

 

とても共感します。

 

 

 

 

 

お読みくださりありがとうございます。

 

 

こちらは、梅雨空です。

 

皆さまのところはいかがでしょうか?

 

 

それでは、どうぞよい一日をお過ごしくださいませ💛