女優 八千草 薫さんの訃報に、

 

去年の夏、母とふたりで観に行った舞台「黄昏」を思い出しました。

 

当時87歳だった八千草さんは、あの猛暑の夏に地方を含めて23公演、

 

8月には連続16日間、主役として舞台に立たれました。

 

柔らかくて強い、チャーミングな女性エセルを演じていらっしゃった八千草さん、

 

とても素敵でした。

 

忘れません。

 

 

 

 

そんな八千草さんが、年齢を重ねられてからのモットーは“いつも楽しく、少しだけ無理をして”。

 

それをタイトルにして去年の9月にブログを書いたのですが、読み返すと感動が蘇ってきます。

 

いつも楽しく、少しだけ無理をして…この言葉も素敵ですね。

 

忘れずにいたいです。

 

 

 

 

 

 

最近、「すごい トシヨリ BOOK」(池内 紀 著)という本を面白く読みました。


ドイツ文学者でありエッセイストでもあった池内 紀(おさむ)さんが、2年ほど前に出された本です。

 

 

 

池内さんは70歳になった時、買ってきた手帳に「すごい トシヨリ BOOK」と書いて

 

自分が老いるという経験を記していこうと思われたのだそうです。

 

 

日々の気づきを書き留める“自分の観察手帳”なわけですが、

 

それは、“老いるという未知の冒険”の記録であり

 

“過去の時間をもう一度生き直す小さな復活劇”とされています。

 

 

 

 

77歳にはこの世にいないという予定を立てて、(悲観的な意味ではなく行動しやすさのために)

 

それまでにこれをしておこう、少し贅沢をしてみようなどと考えて行動し、

 

満期がきたら3年単位で延長することにしたそうです。

 

 

 

そして…池内さんは、この夏78歳で旅立たれました。

 

最初の延長の1年を過ぎたばかりの頃、「風のようにいなくなるといいな」という本の最後の言葉のように、

 

風のように旅立たれました。

 

4~5年前になるでしょうか、ある美術展のトークイベントでお目にかかったのが最後になりました。

 

 

 

 

 

“楽しく老いる”をテーマにした本はたくさんあると思うのですが、

 

女性の書かれたものは、暮らしの細かなところに目が向けられているものが多いように思います。

 

それはそれでとてもよいのですが、

 

この本はユーモアと冷静さをもって世の中や自分を見つめていて

 

男性的なさっぱりとした、時にバッサリとくる感覚が好きです。

 

また趣味の楽しみ方もいいなと思いました。

 

 

 

たとえば、昔読んだ外国の小説をもう一度読んでみたいと思う時、

 

原作が長くて大変ならば、子ども向けのダイジェスト版で十分とあって、なるほどと思いました。

 

昔の小説家は行数計算で原稿料をもらっていたそうで、意識して描写を引き延ばすこともよくあったそうです。

 

そういえば昔の外国の小説で、ストーリーにあまり関係のないところの描写が無駄に長いと感じること、ありますね?

 

 

私はまだ今のところ、原作で読み返したいという願望がありますが

 

もう少し年齢が上がったら子ども向けのダイジェスト版がある!と思うと楽しみが広がります。

 

 

 

ワインやおせんべい、ホテルのコレクションのお話も気軽で楽しいですが、

 

歌舞伎を意識的にゼロからはじめたというのもいいなと思いました。

 

全く知らない世界を、調べたり聞いたり見たりしながら、探索しつつ楽しんでいくって面白そうです。

 

つまり気軽に浅くと、じっくり深くのメリハリがいいなあと感じました。

 

 

 

 

それでも、自分自身の老後を考えるとき、一番参考になるのはやはり両親です。

 

いちばん身近で大きな存在の人生の先輩。

 

父も母も80代になりましたが“いつも楽しく、少しだけ無理をして”を実践しています?( ´艸`)

 

 

ふたりとも趣味が多くて活動的、人との交流も多いので話題が豊富です。

 

実家に行って料理上手な母と一緒に料理をして、お酒の好きな父に付き合いつつ、

 

お喋りしながら食事をする時間が、年を追うごとに贅沢に感じられます。

 

 

よく動き、よく食べ、よく笑う。

 

もちろん年々、老いを感じることは色々な面で増えてきているのですが、

 

よい意味でシンプルになってきて、父らしさ、母らしさが際立ってきたように思います。

 

 

少しずつ余計なものがとれていって、真ん中のその人らしさがより印象的に感じられるようになる…

 

そんな感じがします。

 

 

最終的には、自分らしさしか残らない、残せないものなのかもしれないなあとも感じています。

 

 

喜びも、悲しみも、苦労も、すべては真ん中に向けてひとつになっていくもの。

 

両親をみているとそんなふうに感じます。

 

 

人生の先輩たちに乾杯です🥂

 

 

娘が撮ってくれた母と私。この夏の一枚。

 

 

最後までお読みくださりありがとうございます。

 

皆さまどうぞお元気でお過ごしください。

 

すこやかな毎日でありますように。(*'ω'*)

 

 

長谷寺(鎌倉)から