日常の風景はすっかり見慣れてしまっていて

 

“美しい”と感じることも、そう言葉にすることも少ないものですが、

 

暮らしている町の風景や日常のいつもの光景が何だかとても美しく感じられて

 

“美しい”と言葉にして 言い表したい気持ちがします。

 

 

 

10月1日 葉山

 

 

 

 

「世界はとても美しい」と口にして

 

長田弘さんの詩集、「世界はうつくしいと」を思い出しました。

 

 

 

 

 

いつからだろう。ふと気がつくと

 

うつくしいということばを、ためらわず

 

口にすることを、だれもしなくなった。

 

そしてわたしたちの会話は貧しくなった。

 

うつくしいものをうつくしいと言おう。

 

「世界はうつくしいと」より

 

 

 

 

美しいものを美しいと感じなくなったから 言葉にしなくなったのかもしれません。

 

当たり前に感じられるものよりも、特別に感じられるものの方に価値を求めて私たちは進んできました。

 

この地球を。我が物顔で。

 

 

 

話し言葉ではあまり使われない美しいという言葉は、

 

もともとは肉親への愛情を表す言葉で“いとしい”に近いニュアンスを持つそうです。

 

“美”というイメージに偏らず、いとしいという感覚をふくらませてみると、

 

「美しい」と漢字で書くより、「うつくしい」と平仮名にした方が自然で口にしやすいように感じます。

 

 

 

詩のなかにあるように、特別なものよりも自然や毎日のなかにあるうつくしさを

 

うつくしいと感じ、うつくしいと言葉にしていける、そんな地球の一員でありたいものです。

 

 

 

 

 

日常のうつくしさを大切にする、という繋がりで「カイ・フランク展」のことも書いておきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

神奈川県立近代美術館 葉山

 

 

 

 

カイ・フランク(1911-1989)はフィンランドのデザイナーです。

 

 

今年は日本とフィンランドの国交樹立100年記念の年ということで

 

フィンランドのアーティストの展覧会が多く開かれていますね。

 

ルート・ブリュック展や女性芸術家をとりあげたモダン・ウーマン展もありました。

 

 

 

カイ・フランクは、陶磁器のデザイナーから、イッタラなどでガラス器のデザイナーとして活躍しました。

 

農民の古い文化や工芸品を理想としたシンプルで機能的、実用的でありながら

 

美しさをともなった作品から、「フィンランドデザインの良心」と呼ばれているそうです。

 

 

 

「丸く固いパンの中にバターを入れて畑に赴き、

 

それを食べ終わった後は、すでにバター入れも器もない」

 

そんなフィンランド農夫の習慣や簡潔さを理想としたそうです。

 

 

 

人びとの暮らしのなかに活かされ、暮らしを彩る、

 

そんな作品(製品)の数々にアーティストとしては勿論、人間的な魅力を感じました。

 

 

 

 

 

カイ・フランクは、日本文化に深い関心と愛情をもっていたそうです。

 

展覧会の最後に、彼が日本を訪れた際に彼自身が撮った写真が数十枚展示されていたのですが、

 

その写真を見て、彼が何を大切にしているのかがとてもよくわかりました。

 

 

 

写真には、農村、田畑、漁港での暮らし、自然、子どもたちの遊ぶ姿、市井の職人、

 

日本家屋、土壁、松の木、草花…

 

その土地に根ざして生きる人たちとその暮らし、そこにある自然が

 

温かいまなざしで、愛情をもって写し出されていました。

 

カイ・フランクのものづくりの原点を感じました。

 

 

「カイ・フランク展」は、神奈川県立近代美術館 葉山 にて12月25日まで開催されています。


 

 

この展覧会を訪れたのは、10月1日。

 

父の誕生日に実家を訪ねた際に立ち寄ったのでした。

 

10月に入ったというのに夏日で、夏物のワンピースを着ていたあの日から2週間あまり。

 

その間に、季節ばかりでなく何かが大きく変わった気がするのは私だけなのでしょうか…?

 

 

 

 

 

台風の被害の甚大さに胸が痛みます。

 

地球の痛みのようにも感じます。

 

被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

悲しみや不安、絶望の中にいらっしゃる方々に少しでも平安と慰めがありますように祈ります。

 

週末の雨からもどうか守られますように。

 

 

最後までお読みくださりありがとうございます。

 

皆さまどうぞお元気でお過ごしください(^ω^)