学童保育ビジネス×自然体験 | 『ちょいソト』  たかがアウトドア、されど自然体験

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いきなり、どっぷりとアウトドアでなくても、普段の生活の中でちょっぴり外遊びする『“ちょい外”遊び』ができる仕組みづくりを展開中。身近な自然のこと、子どもキャンプから大人向け情報、行政の動向まで、気になる旬な話題やお薦め情報をお伝えしたいと思ってます。

学童保育への企業進出が数年前から話題になっていますね。この4月から始まる子ども・子育て支援新制度の中で、小学生を放課後に預かる学童保育(放課後児童クラブ)の位置づけが大きく変わることもあってか、年末年始にかけて新聞記事などで目にすることが多かったように思います。

ここには、自然体験との関わりもあるため、今後の動向から目が離せません。


◆学童保育ビジネスの現状

学童保育を事業としてここ数年の間に一気に増えてきました。先駆けとなったのは自分の記憶ではキッズベースキャンプだったように記憶しています。先行企業の成功事例と時勢を読むことができた企業が続々と参入してきました。

栄光ホールディングス「ワイズ」
明光ネットワークジャパン「明光キッズ」
日能研「まなびわらべクラブ」

東京急行電鉄「キッズベースキャンプ」
京王電鉄「京王ジュニアプラッツ」
小田急電鉄「小田急こどもみらいクラブ」
阪急電鉄「アフタースクールKippo(キッポ)」

やる気スイッチ「キッズデュオ」
ティップネス・キッズアフタースクール
オアフクラブ「オアフクラブ学童保育」
ベネッセホールディングス「ベネッセ学童クラブ」

まだまだ他にもたくさん出てきてますね。きっと。

現在の学童保育の待機児童は約1万人。フルタイム勤務の母親を持つ低学年の子ども達は全国で約120万人、学童保育を利用しているのは約80万人。その差分40万人が潜在需要として存在しています。小学生になったとたんに子どもを預ける場所がなくなってしまうという需要は昔からあったのですが、そこに目をつけた民間企業が現れました。

そのうち淘汰されていくのでしょうが、そこには勝ち残っていくための定石はあるのでしょう。どの企業も模索状態だとは思いますが、その定石のひとつにはコンテンツの善し悪しがあります。

既に顧客確保のために様々なコンテンツ争いが始まっています。上記の企業は大きく分類すると2つに分けることができ、それぞれの特徴を活かした取り組みを行っています。

ひとつは、既に子ども向けのコンテンツを持っている企業。塾やフィットネスクラブ、英会話スクール、通信教育を主たる事業を行っている企業です。少子化にともない、次なる顧客層を獲得する意味でも参入する企業が増えています。

ふたつめは、子ども向けのコンテンツを自社ではもっていない企業。ただし、開設するスペースなどの開設に必要な要素を資産として持っているところです。電鉄会社がそれにあたります。こういった企業では、沿線や駅近に空き店舗や駅ビルなどを保持していてそのスペースの有効利用が課題であり、その解決策のひとつとして展開しています。

そういう意味では不動産関連の企業も参入してきてもよいように思いますが、まだ進出しているところはありません。


◆自然体験とのコラボ
同業社が増えてくるに連れて、徐々に課題も現れてきました。
特に次の2つです。
(1)スタート時点ではそれぞれ異なるコンテンツを活用した取り組みでしたが、今では似たり寄ったりの内容になってきました。ほとんどのスクールでは学習塾の要素を取り入れてきてますので、他の要素をどう取り入れるか、がポイントになりそうです。そういう意味では、最初は学習塾系の企業が一歩先を進んでいきそうな様相でしたが、1社を除いてほとんどが苦戦しそうです。

(2)子ども達と直接関わっている人たちを指導員と呼ぶことにすると、その指導員の育成も大きな差別化の要素になってきます。子どもたちと接する指導員の質(クオリティー)がそのままスクールの評判にもつながります。

これらの課題解決のひとつとして、自然体験やアウトドア活動とのコラボが考えられます。
単純なアイデアとして以下の2つがあります。既に実施している企業もあります。
◆夏休みや冬休みなどに子ども達を対象にしたキャンプや宿泊型のイベントを実施。
◆毎週の時間帯の中で自然体験や環境教育プログラムを取り入れる。自然体験プログラムには身近な自然の中や室内でも行えるものもありますので、コンテンツのひとつとして活用できます。

また、指導員の育成についても机上での学習だけではなく体験型の学習環境で長年にわたって培ってきたものがありますので、それらを応用活用することもできます。

コンテンツ競争が今後、激化していく中で、学習塾のまねごとだけではなく、自然体験やスポーツなどの体験型コンテンツも含め、柔軟に取り込んでいくことができる企業が生き残っていくでしょう。自前である程度提供できる日能研やコラボ事業を押し進めているキッズベースキャンプは戦略は異なりますが、今後の動向が楽しみです。
  

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