年末になるとこの1年を振り返る機会が増えるのではないでしょうか?
今年の10大ニュースとか、
今年の流行語とか、
再生回数トップとか、
メディアでもそのような内容が増えてきて、
ますます「年末感」を濃くしていきます。
大人は、
「1年があっという間」と言ったり、
「今年はどんな1年だったかな」と振り返ったりしますが、
子どもたちは、
そんな思考はあまりないのではないでしょうか。
「今、この瞬間を生きる」」のが子どもです。
振り返ってなんていられない。
クリスマスプレゼントとお年玉のことだけで頭がいっぱい。
最近、放課後の活動である「あそびのにわ」にて
振り返りのための「帰りの会」を実施しています。
「今日、こんな出来事あった?」や
「今、どんな気持ち?」を
表情ポスターを使って訊いてみたり、
「今日、夢中になったこと」
「自分の良かったところ」
「友達と協力、仲良くできたところ」
を訊いてみたりしています。
一部は、某大学4年生の某テーマの卒業論文のための設問になっているため、
どうにもキリフリらしくない表現もありますね(笑)。
最初は3分と座って話をする、聞くことができなかった子どもたち。
映画『こどもかいぎ』の保育園児たちと同じです。
ふざけ合ったり、どっかに行ってしまったり。
それが、
やり始めて2週間。
回を重ねるごとに話ができたり、体験と話す内容が一致してきたり、
話の中身に根拠があったりしてきました。
このような「遊びではない場」に慣れてきたのでしょう。
こちらもあの手この手で進め方を考えて工夫しています。
今の自分と向き合うには「メタ認知能力」が必要になります。
自分が体験してきたことを言葉にして表現することも。
慣れるとは、そのような力が
ほんのちょっとついてきたということかもしれません。
キリフリ冒険塾でも、
毎回必ず振り返りを行なっています。
問いがあり、紙に書き、チームごとに共有します。
体験したこととその体験を通じて自分が考えたことを
言葉にして伝えていく作業です。
こちらもやはり慣れていないと”なかなか”です。
高学年と言えどもできないのです。
座ってられない、聞けない、自分の言葉が出ない。
もしくは、それっぽいことを書いてその場を流せてしまう。
それが2回3回と回を重ねるごとに、
ちょっとずつ自分の言葉であったり、
本音に近づいて言葉が出るようになってきました。
これもある意味、慣れですね。
もちろん、体験あってこその振り返り。
体験が全てではあります。
ただ単に時間をとって書かせればいいというものではありません。
「振り返り」はそんな簡単でシンプルなものではない。
体験を共有しているからこそのファシリテーターとしての嗅覚と
エンターテイナーとしての要素が問われる時間です。
そして、それは、評価や分析の時間ではありません。
必ずしも、
「言葉」で表現することがいいことではない。
「言葉」で表現できない何かもあっていい。
むしろ、そっちの方がたくさんだし、本物だと思います。
が、しかし、
あえて言葉にすることで、
今の自分を感じて、
自分自身に気づきが生まれたり、
相手に伝えられたり、相手が気づいてくれたりして、
新しい化学反応が起きることもあります。
さて、年末です。
1年間の振り返りも心地よく、スマートにしたいものです。
そのためにも、
毎日の家庭の時間で、毎日の振り返りをするのはいかがでしょう?
難しいことは抜きにして、
「今日の給食、どうだった?」とか
「仕事でめっちゃおもしろいことあったけど、学校ではあった?」とか
訊いてみる。
できれば、隙間時間に。
スマホとゲームはちょっと横に置いて。
今の子どもたちはこの隙間時間や余白時間が
埋まってしまっているから
きっと自分と向き合うという体験がないのだと思います。
だから、「振り返り」に慣れていない。
戸惑いや恐れすらある。
短いやり取りでも続けていけば慣れてきます。
大人も(親も)子どもも慣れていきます。
それはつまり「メタ認知能力」という筋肉がついていくこと。
これはそのまま「マインドフルネス」につながります。
自分自身に意識を集中すること。
そんな習慣がついたらいいですね。
年末に1年の振り返りができれば、
年明けに新年の抱負ができるようになります。
そんな積み重ね。
でも、まずは、
「子どもに」ではなく「自分で」が先ですかね。