本の備忘録 25 | 熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

モンチッチのようなヨメが、ツキノワグマのようなダンさまとのゆる~りとした日常を綴ります。
果たして熊と猿は仲がいいのか悪いのか…。
今日も中年夫婦はとことんマイペースに暮らします。

今年は、さつまいもが妙に気になります。

愛する友人の名を冠した品種があると知り、街中で目にするとハッとしてしまいます。

いつもは関心がないのに、冬場は人恋しさと比例するように、芋恋しさを覚えていました。

寒さと優しい甘さは、よく似合います。


ぬくもりが幸せだった時期から半年、ほんの少しの生暖かさにさえ、顔をしかめる日々です。

干し芋に心をときめかせていた季節は、遠く過ぎ去りました。

店先で生のさつまいもが並べられていても、何の感情もわきません。

むしろ我が家では、おかず面して夕飯に登場してくることに嫌悪感すら抱いています。

義母からもたらされる、天ぷら・サラダ・煮物等、思い出すだけで鳥肌モノです。


活躍の場は食事ではなく、デザートにあるべきです。

スイートポテト・きんつば・ようかん等々

ほうら、こっち側なら大好きです。

中でも、冷静でいられないのが焼き芋です。

小学3年生、手持ちのお金を全部握りしめ、移動販売車のおじさんから買い求めた涙の物語。

※このお話は機会があればまたいつか…

あの日から、ずっと想いを寄せています。

30年以上経った今でも、憧れと郷愁で、胸がキュッとなります。スーパーで眺めていると、隣にきたおじいちゃんが小さく頷き、迷いなくカゴに入れました。

その姿があまりにも可愛くて、買うつもりはなかったのに、連れて帰ってきてしまいました。

昼ごはんともおやつともつかない午後、お供には水出しハーブ緑茶。
もったりとした歯応えと力強い味わいに、しばし呆然としました。
あぁ、これが現代の焼き芋、至福の時。


ちなみに、友の名はシルクスイートではありません。




本の備忘録
59 京極夏彦/オジいサン 真面目で融通のきかない主人公。自分はおじいさんでもお爺さんでもなくオジいサンなのだとこだわる。もやはただの日記。なのに、じわじわ面白い。
60 川上弘美/大きな鳥にさらわれないように 人間とは?存在意義とは?根本的な定義さえも見直さなくてはならない。遠くない未来、そんな日がくる。これはきっとノンフィクション。
61柏井壽/海近旅館  東京暮らしを経験した女が、こんなにも恋に鈍感でいられるだろうか。当たって砕けろ・来るもの拒まず去るもの追わずの私には無い純粋な心。眩しい。