掃除をすれば、たちまち水浴びをしたかのような汗。
キッチンに立てば、釜茹でされたタコのような赤ら顔。
何度風呂に入っても、あっという間に身体中ベタベタ。
いくら夏好きだと言っても、ここ数年の猛暑には到底敵わない。
暖房に関しては断固として使用NGを通すあたしでも、冷房機器は健康的な暮らしのために必要不可欠。
人工の風にどうにか折り合いをつけようと思うものの、目やら肌やらの乾燥に不快感を隠せない。
その内だんだん、人との会話さえ億劫になってくる。
相手がつきのわさんなら問題ない。
多くは語らずとも、何となく言わんとすることは伝わる。
面倒なのは、適度に気を遣わなくてはいけない、ほんのり距離のある人。
つまりは、大して仲がいいわけでもない知人。
黙りを決め込むわけにもいかず、さりとて盛り上がる話題を提供できるでもなく…
夏には、肌寒い時期と違って、変に人恋しくなったりしない。
人間の温もりはいらないし、わざわざ出かけたくないし、話すことさえダルいんだから。
こんな時には、2割のおしゃべりから8割察してもらえると有り難い。
アラフォー主婦のグチと言ったら、家族の事と相場が決まっている。
旦那・親・子供、はたまた親戚まで…
勢いよくぶちまけて、素早く共感を得たい。
長い付き合いの友人なら、こんなワガママが簡単に叶う。
イチイチ背景を説明する必要がないどころか、何ならそれぞれのキャラさえも把握してくれているから。
本だってそう。
こうも暑いと、難しいのも厄介なのも暗いのもイヤになる。
カタカナだらけの推理小説、謎が謎呼ぶサスペンス、人間模様の複雑な愛憎劇…
無理・ムリ・むり!

時にホロリと、時にズバッと、時にクスッと。
あたしの気持ちに寄り添ってくれると嬉しい。
読んでる間のちょっとだけ、イライラとサヨナラできる。
あぁ、遠くでつきのわさんが呼んでいる。
うるさいなぁ、しつこいなぁ。
せっかく少し、良い気分になってたのに!