女の常套句、好きになった人がタイプです!ってヤツだ。
嫌いなタイプとなると、その想いはすごく個人的で根深い。
一度イヤだと思ってしまうと、プラス方面へ覆すことは難しい。
特に女は、気持ちが離れてからのマイナス加点が止めらない。
出会った頃の美点は、別れ際にはただの汚れにしか見えない。
久しぶりに、読み始めから終わりまで一貫して大嫌いな登場人物に出会った。
きっとあたしだけじゃなく、ほとんどの人間から嫌われるタイプ。
読んでいて、ずーっとイライラが収まらなかった。
相手がノンフィクションの小説だけに、怒りのぶつけ先がなくて、今にも叫んでしまいそうだった。

逆を言えば、何も小説の登場人物相手にそこまでイライラしなくてもって話。
だけど、どうしても穏やかでいられなかった。
他人事とは思えなかった。
あたしをこうもイラつかせた男、伊藤くん。
コイツ、うちの弟にそっくりなんだよ!
正確を期すと、弟は伊藤くんほど酷くない。
それでも似ているところがいくつもあって、ページを繰るたびに手がわなわな…
・強い肩書きのある人物と知り合いなことを自慢して、自分も偉くなった気でいる
・何も成し遂げていないくせに、理想が高くて根拠のない自信を持っている
・雑誌を丸写しにしたような格好をしているくせに、自分はオシャレだと思っている
・上手くいかなかった時には、環境や誰かのせいにして己に傷をつけないようにする
挙げればキリがない。
こうして類似点を箇条書きにしているだけでもムカムカしてくる。
あたしは物語に出てくる女達のように、こういうクソ野郎には引っ掛からない。
あたしが引っ掛かるのは、もっと違うベクトルの愛すべきクソ野郎だ。
つきのわさんのような(放っとけ!)。
間違っても、こんなツマラナイ男とは付き合わない。
友達にすらならない。
だけど、弟となったら関わらないわけにはいかない。
それがツラいところ。
こんなヤツ、小説の中だけの話か、うちの弟だけかと思っていたけど、友達のお兄さんが全く同じタイプらしい。
まさか、厄介なのが他にもいたとは!
世の中って、あたしが考えるよりクダラナイ男が多いんだね。
ホッとするやらガッカリするやら…