それに合わせて、様々な専門家が登場するようになった。
結果、訳のわからない仕事がたくさん出来てきた。
世間には常に一定数、最新情報にアンテナを張りまくってる人がいる。
トレンドってヤツをおさえてないと気が済まないタイプで、いつもやたらと忙しそうにしている。
中には自らブームの火付け役になろうとする輩もいて、そのフットワークの軽さには、尊敬の念と小馬鹿にしたい気持ちを覚える。
流行り廃りの早い分野において、謎の仕事人が出現する率が高い。
例えばファッションの現場。
モデルや俳優等につくスタイリスト、経験を積んだベテランのアドバイザー。
この辺りは、まだ理解できる。
それがトータルコーディネーターとか、パーソナルスタイリストとか、ファッションアテンダントとか言い出して…
自分の格好だよ?
好きにすりゃいいじゃん。
そんな事にお金をかけるなんて信じられない。
でも、気持ちは分からなくもない。
知らないからこそ間違えたくないし、興味があるからこそ失敗したくない。
並々ならぬこだわり故に付けたのであろう、かえって混乱を招くような肩書き。
なんか面倒くさい。
だけどね。
気づけばけっこう頼りにしちゃってる。
バカみたいな名前だろうが、やっぱりそこは食の専門家。
彼らが勧める食べ方や贔屓にしている店は、何だかんだ参考になる。
本来なら自分の力で探さなきゃいけないところを、手早く確実に正解へ辿り着こうとする。
大して忙しいカラダでもないくせに、ラクして答えを得ようとしてる。
だって、どうしても美味しいモノが食べたいんだもの。
食べることだけが楽しみなんだもの。
くぅ~、謎の専門家。
散々馬鹿にしてきたのに…
あたしみたいな横着者が産み出してたのね。
