今週の読書 30th week | 熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

モンチッチのようなヨメが、ツキノワグマのようなダンさまとのゆる~りとした日常を綴ります。
果たして熊と猿は仲がいいのか悪いのか…。
今日も中年夫婦はとことんマイペースに暮らします。

62、夏のくじら
大崎梢

中学生時代に祖母の家で過ごした夏休み。
気乗りのしないままに参加させられた祭り。
思い出したくない記憶。
東京の高校に通ったにも関わらず、高知の大学に戻ってくる。
せっかく上京したのに、なぜ、わざわざ田舎に?
4年前のよさこいで出会った、一人の女性のことが忘れられないから。
彼女との約束を果たせなかったから。
どうしても、もう一度会いたい。
邪な気持ちで、再び参加を決めた祭り。
個性的な仲間を得て、気づけば夢中になっている。
団体行動のできないあたしには、よく分からない世界だけど、読んでるだけで気持ちが昂る。
自分の成長がチームの力を上げるとか、負けたくない相手がいるとか、どうしても届けたい想いがあるとか…
くぅ~、青春だせ。
半引きこもりみたいな生活してた人間には、眩しすぎて夢物語のよう。



63、隠し事
羽田圭介

同棲中の彼女の行動に、ある日突然不信感を抱く。
そういえばコイツ、携帯を離さないな。
俺の知らないところで、浮気してるんじゃないか。
疑い出したらキリがない。
お互いに隠し事をしないと決めていたのに…
そうして、彼女の携帯に手を出してしまう。
入浴中・就寝中、隙を見てはメールを・通話履歴をチェックする。
見れば見るほど、疑惑が膨らむ。
何の疑問もなく暮らしていた日々が、どんどん闇に包まれていく。
聞きたいのに聞けない。
聞けないから、バレないように探る。
誰かの携帯を盗み見るなんて…
考えられない。
そこまで誰かに興味を持てないなぁ。
そんなにまでして知りたいことなんてないもんなぁ。
秘密がまるでない人間なんて、かえってつまんなくない?