垣根涼介
リストラされたところを、リストラの請負をする会社に拾われた男。
人員整理を頼まれた会社で、リストラ対象者の女に好意を持つ。
欲しいものは手に入れる。
仕事にも妥協はしない。
夢に敗れた過去があるから。
でも、負けたわけじゃない。
戦うフィールドが変わっただけ。
対象者の負け惜しみ・逆ギレ・言い訳…
まるで、かつての自分を見るよう。
気持ちは手に取るように分かる。
だから、ある種の愛をもってリストラにあたる。
ゴチャゴチャ言うヒマがあったら、しっかり会社に貢献しろよ。
そうだ、そうだ!
うちの職場の、権利ばっかり主張するバカな女にも聞かせてやりたい。
色川武大
奇妙な同居生活から、何となくの流れで婚姻届を出し、結婚に疲弊して、別々の道を歩むことにした男女。
近くにいれば、存在が鬱陶しくなる。
しかし離れてみると、その存在を求めてしまう。
大して好きでもないのに一緒になった仲だから、別れてからの感情をコントロールしづらくて、モヤモヤを持て余し気味。
はっきりしているのは、時折すごく気にかかって、時折すごく会いたくなること。
訳わかんない。
白黒つけたがるあたしには理解不能。
大の大人が、だらしなくて、ワガママなだけじゃねーか。
でも、ふわふわ・ゆるゆる・ダラダラ・ぬるぬるした世界観は嫌いじゃない。
どことなく憎めない、おバカさん達。

50、美女と野獣
ボーモン夫人
短編集。
善行は報われるという、わかりやすい昔話。
あまりにもベタな展開に、むしろホッとして嬉しくなる。
悪いヤツがのさばっていられる世の中なんて、あまりにも希望がなさすぎるもの。
ちゃんと見てくれている人がいるはず。
頑張った人には幸せになってほしい。
単純な物語の中に、ほんの小さな夢を見る。
ラクばかりしようとするヤツ、他人を平気で貶めようとするヤツ、その場しのぎの適当な嘘ばかりつくヤツ…
どうか、あいつもあいつもあいつも、不幸に見舞われますように。

