今週の読書 15th week | 熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

モンチッチのようなヨメが、ツキノワグマのようなダンさまとのゆる~りとした日常を綴ります。
果たして熊と猿は仲がいいのか悪いのか…。
今日も中年夫婦はとことんマイペースに暮らします。


29、さよならの空
朱川湊人

これまでのツケを払うかの如く、21世紀は自然の脅威にさらされている。
予測不可能な事態が、次々と大きな災害をもたらす。
まるで、地球の逆襲とでもいうように。
何かを得るためには、何かを失わなければならない。
人類は今、暮らしが便利になった分のしっぺ返しをくらってる。
人間の力なんて全く及ばないほど、自然のパワーは大きくて強い。
そうかと思えば、生活に必要不可欠というわけではないけれど、気持ちを豊かにしてくれる自然現象もある。
虹とか雲海とかオーロラとか。
じゃあ、もし夕焼けがなくなるとしたら?
崩れゆく環境を守るために、新薬を研究・開発したおばあちゃん博士。
家族を失ったことで、心のバランスが取れなった少年。
夕焼け最後の日に出会ったふたりの、思いがけない冒険と交流。




30、ぬばたま
あさのあつこ

村の生き字引的な、年齢不詳のおばあちゃんっているでしょう?
そんなおばあちゃんによって語られた、仄暗くてジメッとした田舎の伝承話を読んでいるような感じ。
ひたすら気味が悪い。
物語はモノクロの世界を思わせ、出所の怪しい水墨画を買わされてしまった気分。
とにかく全体的にヌメッとしている。
それなのに、あさのさんの優しい雰囲気が隠しきれない。
ドロドロ・びちゃびちゃ、ふわっ。
じとーっと嫌な気持ちをたっぷり味わっていると、たまにほのかな光が差し込む。
どこか京極夏彦の世界観も味わえて、不思議な後味。