file15、小説 | 熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

モンチッチのようなヨメが、ツキノワグマのようなダンさまとのゆる~りとした日常を綴ります。
果たして熊と猿は仲がいいのか悪いのか…。
今日も中年夫婦はとことんマイペースに暮らします。

作家には、それぞれ得意分野があるものです。

大家と言われる人には、その分野に秀でた才能があり、数多くの名作を世に送り出しているのです。
例えば、アーサー・コナン・ドイルと言えばミステリー、ルイス・キャロルと言えばファンタジーというように。


だからと言って、彼らの書くものが全て同じジャンルだなんてことはなく、色んな作風で我々読者を楽しませてくれるわけです。

コメディ作品の多い先生が、涙ナミダの感動モノを書いたり。
ロマンス作品の多い先生が、天然丸出しのエッセイを書いたり。

いつもの感じで読み始めたら、アレ?なんてことがあったりして、良い意味で期待を裏切られることもしばし。
こんな一面もあるんだと嬉しくなって、ますます好きになっちゃったりします。


ところが、コレがホラー要素たっぷりのモノになると話は変わってくる。

いつもは夢のような物語を書くのに!?
すごく優しい人だと思っていたのに!?

新しい一面と言うよりも、裏の顔を見てしまったようで、とても居心地が悪くなるのです。
これが逆ならいいんです。
フランケンシュタインやビーストのように、見た目恐いけどホントは善人、みたいな。


小学生の時に読んだスタンドバイミー。
溢れんばかりの冒険と友情に、胸をときめかせました。
その後映画で観た"ショーシャンクの空に"や"グリーンマイル"。
勝手にファンタジーの人と思い込んでいたのです。

ところがどっこい、そんな中出合ったのが"痩せゆく男"。
気持ち悪くて、怖かった。
原作を調べてみると、なんとスティーブン・キングではありませんか!
あたしの好きな、あの世界観はどこに!?
急いで本を読んでみると…
映像なんて可愛く思えるほどの、嫌悪感と恐怖。
更に調べてみれば、キャリー、シャイニング、ザ・スタンド、ミザリーetc.
何のことはない、この人は、正真正銘のホラー作家だったではありませんか。
言わずと知れた名作ばかり。



ちょっと出合う順番が違っただけ。
それだけなのに…
キング、素敵な人から、一気に闇の人へ。



でもね、気づいちゃったんです。
あたし、スタンドバイミーより、痩せゆく男の方が好きなんです。

あたしの闇部分が刺激されたのでしょうか。
この件については、無い物ねだり、ということにしておきましょうか。