No.52 山本一力 | 熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

熊猿の仲 ~ゆうえんのなか~

モンチッチのようなヨメが、ツキノワグマのようなダンさまとのゆる~りとした日常を綴ります。
果たして熊と猿は仲がいいのか悪いのか…。
今日も中年夫婦はとことんマイペースに暮らします。



人生には、自分の意思ではどうにもできないことがあるものです。

予期せぬ災難に見舞われたり、思いがけない幸運が舞い降りたり。

それら全てをサダメなどとは言いたくないけれど、何か得体の知れないモノの力を感じることが確かにあります。


運に関して言えば、あたしは人間に恵まれています。
少ないながらも、愛すべき友達に出会いました。

他人の評価を気にするなと、父から英才教育を受けました。
素直なあたしは、その教えをせっせと守りました。
徐々に自己は形成され…
良く言えば、自分をしっかり持っている。
裏を返せば、好かれようという努力をしない。
そんな人間に成長しました。

付き合いやすいタイプとは言えないでしょう。
それでも引き寄せられるようにつながった友人達。
そこには、ナニカがあったのではないかと思うのです。


だいこん
山本一力


長屋に生まれ、皆から慕われるしっかり者のつばき。
不自由なく暮らしていたけれど、博打好きの父のせいで多額の借金に追われるように…
家計を助けるために働くことを決意。
飯炊きの才能を活かして、様々な場所で食事を提供。
評判が評判を呼び、時を経て母と共に自分の店を出すまでになる。

商売敵に嫌がらせをされたり、洪水で一度は店を失ったり。
身分違いの恋に心を痛めたり、ご近所さんに成功を妬まれたり。

決して順風満帆とは言えない人生。
それでも節目節目で、必ず救いの手を差し伸べてくれる仲間がいる。


今も昔も、生きるとは人と関わること。
誰かがいる限り、良いことも悪いこともあるさ。
ずっと変わらない営み。



もちろん、現実の人間関係にだってバランスはつきもの。

仕事においては最悪の上司ばかりを引き当ててきたちゃんこーまい。
その引きの強さは、会社に都市伝説として語り継がれているとか、いないとか。


自分の道を切り開いてきたつもりだったけど…
やっぱりあるのかなぁ、逆らえない運命って。