きみは真昼の星を見たか4 | 山本昭彦のブログ

きみは真昼の星を見たか4

 

 

撃たれて数分後の写真だ。

SPにのしかかられて守られている間の数分に

彼は、このあと自分が何をしなければならないかを考えた。

その答えがこれだ。

 

 

さてこの写真だが、

まさに完全な構図と言っていい。

仰ぎ見るアングル。その背景に星条旗。

絶望的なほどに完璧だ。

どんなレンズをつけていたのかはわからないが、

仮にズームレンズだとしたら、

撮影者はとっさに、ズームリングを望遠側にまわして

星条旗をトランプに近づけたのだろう。

とっさに腰をかがめてカメラを上に振ったのだろう。

 

 

合衆国の国歌「星条旗」は、

南北戦争を戦った者たちを勇者とたたえる歌だ。

そして、

「その旗は今もそこに翻っているか?」

「きみにもその旗が見えているか?」と、

彼らと同じプライドを我々も持っているかと問う、

そういう歌だ。

この写真は、これを見る者の心にその曲を再生させる。

こいつは効くぜ。

撃たれたのがジョーならどうだったろう?

多くの者がそう考えるだろう。

あの老人がこのように吠える姿を誰が想像できるだろう。

テロは時として、冗談すぎるほどの逆効果を生むものだ。

 

 

JFKや弟のロバート、その後にレーガンも撃たれている。

大統領クラスの暗殺が「またか」な国、それが合衆国だ。

そのような、背骨を通る緊張感が

この決定的な一枚を撮らせたのだろうな。

真昼の星は見えない。

しかしそれはそこにある。

夜になってから見えても、それでは遅い星もある。