徴用工問題と請求権と外国判決と国内法の解説-日韓基本条約付随協定及び日本政府の特措置法 | 反新自由主義・反グローバリズム コテヤン基地

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韓国の徴用工訴訟問題における結論

 韓国最高裁、三菱重工にも賠償命令 元徴用工らの訴訟(朝日)などで報じられている通り、韓国では個人が裁判を起こして、「韓国の」裁判所にて判決がくだされ、「日本の」企業に対して賠償命令が出るという事態に発展しております。

 ざっと見た感じ、ブログランキングのブログなどでは問題の核心部分に触れていないようなので、ちょっとしょうがないので論じてみようかと思った次第です。ぶっちゃけ、この問題にはあまり興味がなかったりします。

 

 最初に結論だけ言いますと、韓国の判決は日本の司法ではおそらく棄却されます。興味が無いので端的に行きましょう。バカバカしすぎて論じる気すらないのです。いや、そもそも議論にこれなるのか?という(笑)

 

 まず外国判決の仕組み(重要)から行きましょう。基本的に韓国の判決は、日本の司法を縛るものではありませんが、相互主義によって外国判決は民事訴訟法118条で「承認するか?棄却するか?」が決定します。

 とすると、韓国司法の判決を日本国内で承認するかどうか?は日本の国内法に左右されることになります。

 

 次に日韓基本条約での請求権の破棄ですが、これは日韓基本条約の本体には書いておりません。付随協定の「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(Wiki)」にかかれております。

 面倒くさいので端的に端折りますが、この協定では今回取り沙汰されている「個人の請求権」については厳密には現在も消滅しておりません。1991年8月27日の参議院予算委の柳井俊二 外務省条約局長の国会答弁をご参照ください。

 ただし1966年の日韓基本条約締結後の国内措置法(おそらく国有財産特別措置法?)にて、韓国国民の日本における財産権は、日本の国内法上は消滅していると定めました。

 2003年小泉内閣の参議院での答弁で明らかになりました。Wikiによれば

実際に日本の裁判所で争われた旧日本製鉄大阪訴訟において、大阪高裁2002年11月19日の判決で協定の国内法的措置である財産措置法による財産権消滅を根拠に一審原告の控訴を棄却している。その後最高裁でも上告を棄却され確定した。

 とのことです。(徴用工訴訟問題 Wiki)

 

 ふと文字部分で上述した「外国人判決」の仕組みを思い出してください。民事訴訟法118条で「日本の国内法でも承認できるか?」も審査されることでしょう。したがって2003年の答弁が確かならば、そもそも韓国人の日本国内における財産権(1966年以前)は消滅しているので、棄却されるのは明らかです。

 

 河野外相「断じて受け入れられぬ」 三菱重工へ賠償命令(朝日)などで「対抗措置を考える!毅然として対応する!」とか言ってますが、日本の司法の判決を待てば全て解決なので、そもそも上述の記事の中で「1ヶ月しても対抗措置が出ていない」と書いてますが、出す必要はないんですよ。韓国司法⇔日本司法ないし韓国国内法⇔日本国内法の問題なんですから。

 韓国政府が日本政府に対して何らかのアクションを起こしてきたら、日韓基本条約付随協定の請求権協定第3条の仲裁委員会の開催、およびそれで決定しないなら国際司法裁判所でOKな話です。

 

 以上がざっとした解説と結論になります。

 まとめると、日韓基本条約締結に際して、日本政府は「これ以上の賠償はしたくないので、国内法で条約締結前の韓国国民の財産権を無しにしちゃえ」としたわけです。韓国および日本や日ソ平和宣言、サンフランシスコ講和条約での請求権破棄条項で「個人の請求権は認められる」というのが日本の立場ですが、それは相手国(ソビエトやアメリカ)の法律、もしくは日本の国内法に準拠するというのが政府の立場でしょう。

 当然韓国も。後は司法対司法の話であって、内閣が出てくるような問題ではないんですよ。本来的には。

 

 ただし・・・訴えられた企業が韓国に進出している場合、その部分については韓国司法の判断が優先されます。ざまーみろ、グローバル化だなんだと言っているからそうなるんだ、というのが正直な感想ですが・・・(暗黒面)

 内閣としては相手国の司法に介入なんて当然できませんし、韓国も民主制国家ですから、韓国政府に抗議しても司法への介入は拒否されるでしょう。つまりこの部分に関しては「打つ手なし」が実態です。

 だから「韓国への対抗措置」なんて原則的には「ない」のです。

 企業は賠償金が嫌なら、日本に帰ってくればよくね?と。報道によると、日本の70社が訴訟されることもあり得るそうな。

 

 ちなみにバカバカしい話をもう1つ。政府は日中韓FTAの交渉をしているそうな(笑)

日中韓FTA(外務省)

第12回日中韓自由貿易協定交渉会合の開催(結果)(外務省)

 

 つまり今回の河野外相「断じて受け入れられぬ」 三菱重工へ賠償命令(朝日)という記事は、政府のパフォーマンスなのではないか?1ヶ月しても対抗措置がなに1つ出てこないじゃないですか。「日中韓FTAは交渉しない!!」くらいは言ってほしいものです。

 

 例によってネトウヨ戦士たちが「強制してないニダ!」「韓国に厳罰ニダ!」「日韓断交ニダ!」と騒いでおりますけど、日韓基本条約付随協定および外国判決と民事訴訟法118条の関係を読んでから騒いでほしいものです。どれだけレベルが下がってるんだ?という話です。

 間違いなく私がまだネトウヨだった時代(2008年以前)より下がっていると思います。

 

 という、バカバカしすぎて今までスルーしてた議論ですが、「興味ないけど論じとくか・・というか、結論はもう決まってるやん?論じるまでもないやん?」と思いつつ、端折りながら書きました。

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