「…じゃあ、雅紀はそれで瞳の色が変わったってこと?」
「うん。そう」
「…目の色以外は何も変わらない?」
「…ちょっと…長生きになる…かな?」
「ちょっとってどれくらい?」
「う~ん?…ちょっ…ちょっと…かなぁ?」
俺は雅紀と知り合ってまだ日が浅いけれど、間違いなく雅紀は嘘がつけないタイプ。若しくはすぐに嘘がバレてしまうタイプ。
今だってほら、どもって視線が合わなくなって助けを求めるみたいにリビングに続くドアを見てる。
「…雅紀が産まれたのはいつ?」
「かっ和くんより、少し…前?かなぁ…」
「…だいぶ前だろ…」
「…ちっ…違うよ…少しだよ…たぶん…」
「…かなり前…?」
「…違うってば…あ!潤が呼んでる気がしない?…」
「しない」
逃げるようにリビングに戻った雅紀の背中を見つめる。
soul mateだとか、ヤったら目の色変わるとか、フェロモンだとか、ちょっと長生きだとかワケわかんないし、ちゃんとした説明くらいしてくれないと、納得なんてできるかよ!
なんかだんだん腹が立って来た。
だってそうじゃん?
猫が人間に変身するってだけでビックリなのに、満月になっても新月になっても貞操の危機ってなんだそれ!?
ヤったら、目の色が変わって、長生きのオプション付きってますますなんだそれ!?
でもな…サトシが人間になるってことに最初こそ違和感があったけど、慣れちゃえばなんて事なくて、むしろ人間にならないでいるサトシに違和感があるってのは…
どうなってんだかね…俺…