UTMB 2018 記録。フェレ峠からの後半です。
19:09 101km Ferret峠 発
フェレ峠からのLa Foulyまでの17kmの下りは走れる下りですが、固い地面で痛みは激しくなるばかり。今までならキロ6-7位で気持ちよく下れたところですが、キロ10位をキープするのが精いっぱい。
しかもこの時位から、なぜか胸元が水びだしになります。
チェックすると、なんとハイドレーションの口が破れているようで、ぽたぽたと流れ落ちて水がみるみる減っていく始末。
びちゃびちゃで気持ち悪いので、少し暑いですがずっと雨具を着たままで動きました。
途中のチェックポイントLa Peuleは前回水補給がありましたが、今回はない。少し水不足が心配になりながらも進みます。
すると、途中から今度は両足の外側が痛くなります。
どうも靴擦れが起きている模様。
ストップして靴を外すと、両足とも真っ赤になっています。履き替えた新しい靴がまだなじんでいないようで失敗だった。
実は履き替える時も、それまで履いていた900km位履古した靴が調子よかったので替えるか逡巡したのですが、思わず泥だらけだったので脱いでしまいました。
同じ靴にしておけば、、と後悔しながらも、嫁にまた電話をして、クールマイヨールで脱いだ履き古した靴をシャンペ湖に持ってこれないか依頼します。
中休止をして、テーピングで足指の外側にクッションを作ってまた走り始めます。
20時を過ぎると辺りは暗くなり、ライトを取り出し、とにかくLa Foulyまで耐える長い下り道。
膝はテーピングのおかげか痛みは少なく、その代り右脛の痛みがさらに悪化していきました。
21;04 110km La Fouly 着 (制限 22:30)
予定表とぴったりの時間に着く。フェレ峠で稼いだ余裕は全部下りのスピードロスで使い果たしたことになりますが、やはり登りで稼いでおいて良かったと、戦略的に正しい判断ができていることに少し安心します。
ベルトーネの途中で10分位目をつむっただけだったので、さすがに眠気も出て、スープとレモンティを飲んで内臓を温めます。ユンケル顆粒とサプリ系を飲む。
それからバナナを食べ、壊れたハイドレーションに水も入れますがたぶんすぐこぼれるので、ソフトフラスコにスープと水を入れました。
そして恐る恐る脛を見ると、テーピングが届いていない際のあたりが梅干しのように腫れています。
たぶん固定用のテーピングの貼り際の部分が支点のようになってしまい、酷使されてしまった感覚。
その部分にロキソニンテープを貼って、伸縮性のテーピングで補強します。
あっという間に25分の休憩。
21:30 La Fouly 発 (制限 22:30 - 1時間前)
ここから9kmの下り。すでに外は暗闇。眠気と脛の痛みでフラフラするので、予定よりもすこし遅れるのは覚悟しながらも、ここからシャンペ湖への登りで復活するようにだけ気を付けます。
さらにここからガレガレした地面になるので、一歩一歩を気を付ける必要がでてきます。
実は、ここの辺りでほぼ気をうしなっていました。
少し早歩きしては、痛みがでたらゆっくり歩いて、をとにかく繰り返すうちに、徐々に記憶がうっすらしてきてしまい、なんと
「ハット 気づいたら3km歩いていた」
という状態でした。
とにかく下りきる、という単純な目的と、たぶん痛みとか、そういったものを忘れる脳内の何かが出ていたのかもしれません。
シャンぺ湖の登りに差し掛かるところの街で人の声が身に入り、ようやく脳に血が回り始めます。
いま思い返しても、いつも「ガレガレして走りずらいなー」とかいろいろ考えていた区間なのに、ほとんど思い出せない唯一の時間帯でした。
そして、シャンぺ湖の登り5kmに差し掛かります。
もう3回目ですので覚悟はできています。
とにかく急登でつらい区間。いつまでも近づかないエイドに悩まされる ということを知っています。
登りなら(あまり)痛くないし、記憶のない時間でどれだけ遅れたのかよくわからないので、またフェレ峠の時のように気合をいれて少しスピードアップします。
・・・ しかし、とにかく 長い。眠い。
明かりが見えたかな?エイドの歓声が聞こえるぞ?みたいな気がすると、だいたい間違いで、森の中の先がみえない暗闇の中を延々と進む。
初めてエイドの歓声が幻聴として聞こえました。
01:06 シャンペ湖 着
嫁が靴をもって待っててくれました!
つらい時に家族の顔を見ると元気がでます。
しかし、時計をみると予定からは一気に40分も遅れている。やはり気を失った区間がかなり遅かった模様。
全く余裕はなく、急いで靴を履き替えます。そして右脛を固定したテーピングを全部はがそうとしますが、すね毛が痛くてしょうがない。
レース前に貼るときはいつも剃っていたのですが、今回テーピングする予定があまりなかったので、その辺りの用意不足も響く。
水で冷やして粘着力を落として、さらにカッターで切りながら取り除きました。
そして右脛全体に伸縮性のテープで自己流のテーピングを行います。
5分だけ寝かして、と言って寝たら、ほんと一瞬で起こされました。
味噌汁とリポDを飲み、準備します。
01:30 124km シャンぺ湖 発 (制限2:30 - 1時間前)
当初50分休憩したかったですが、25分で切り上げて出発したので、これで予定より25分遅れ。
関門1時間前です。
さて、ここから12km の登りですが、やはりTrientへの下りのロスを考えると、頑張る区間。
ここで富士登山の練習で活きた登り筋肉が活きました!
眠気との闘いはありますが、登りで疲れる感触はあまりないので、ストックを駆使しながら、
太腿が疲れていないので、力強く登ることで脳に血も送ります。
予定よりハイペースで進めることを喜びます。
この辺りでまたKさんに追いつきました。
5;24 136.5km La Giete峠 着
なんと予定の5:30より6分早くつきました。この区間は30分位予定よりも早く登れた計算。
とはいえ、またまた痛ーい 痛ーい下りが5km始まるので、エイドでは休まずに
ロキソニンを1錠飲んでおきます。これで3錠目。明らかに内臓によくない量ですがしょうがない。
ハイドレーションの漏れは収まらず、下りでびちゃびちゃこぼれます。しかもソフトフラスコを飲もうとしても、なぜか出てきません。
スープの何かが詰まったのか・・?
なんとハイドレーションが2つとも壊れてしまいました。
仕方なくフラスコの蓋を外して飲みながら下りていきます。
とにかく色々な足の置き方を試しますが、痛いものは痛い。泣きそうになります。
6:42 141km Trient 着
予定の6:39とほぼ同じ時刻。やはり下りがロスが起きるので、登りを頑張らないと完走できない、ということがわかります。
トイレ休憩をしようとしたら予想以上に混んでいて10分位待ちました。
そして、嫁がまた待っていてくれました。味噌汁をお飲んで、少しだけ仮眠。
ジェルとサプリを補給して、足の痛みがある程度引くまで休ませていたら、なんと45分も休んでいました。
予定が30分休憩だったので少し誤算。
7:27 Trient 発 (制限時間8:00)
制限時間の30分前に出発。
大きい山はあと2つ。塔ノ岳2回くらい、もしくは蛭ヶ岳1往復くらいか、と考えます。
Vallocineから先が落石でルート変更されており、その地形がどうも巻き道に見えたので、Vallorcineまで行けば大丈夫かな、とか少し甘く考えたりします。(これが後で大変な思い違いだと痛感)
TrientからTseppes峠までは4.5kmで700m位あがる急登
登りの筋肉はまだ残っているので、比較的いいペースで登りますが、さすがに眠気が強い。
食べたくないですが、今回は吐き気まではいかない胃腸に感謝をして、ジェルを3本ぐらい流し込み、エネルギーを補給し、登りをとにかく頑張ります。
8:57 145km Tseppes 峠着
予定よりも数分早く登れたので、想定外の下りのロスをカバーできるくらい登りで稼げる足があって本当に良かった。
水とコーラを配っていたので、ソフトフラスコが壊れているのを思い出し、全部捨ててカップでコーラをもらいます。ここから7kmの下りに備えて、またロキソニン1錠飲みます。
そして、進み始めると、、
右足の痛みがこれまでよりもヤバイレベル
走るどころじゃありません。歩くのも嫌なくらい。
とはいえキロ10位で下りないと、すぐ関門に。
えっちらえっちら ストックでサポートしながら 泣く泣く下りていきます。
途中にヤギが断崖を登っているのをみかけて、思わず足を止めて写真を撮りました。
このとき、またKさんが後ろから来ましたので、サプリのお礼をしつつ、先に行ってもらいます。
また、ハイドレーションのことを思い出して、嫁に電話をして、ペットボトルがないか探しといて、と頼みます。
しかしバロルシーヌへの下りが、どう考えても前回より長い。。とっくに5kmを超えても街の歓声すら聞こえない。
どうも前回とルートが少し変わったようです。
痛みは限界。さすがに足を止めて、呼吸を整えてから進む、の繰り返し。
どんどん抜かれていきます。
どうもこの辺りの時間帯に日本人が多かった気もします。みんなぎりぎり狙いだったとか?
ここまできて完走しない、という選択肢もないが、耐え難い激痛。
バロルシーヌの直前は 急斜面が待っている。
しょうがないので、またロキソニン1錠をかみ砕いて(超苦い)、早めに消化することを期待しました。
10:50 152km Vallorcine 着 (制限11;15)
関門の25分前着。サポートのある最後のエイド。嫁が来てくれて、なんと他のサポーターに相談して、500mlのペットボトルを2本用意してくれていました!
今回は装備の失策が多かったけど、ほんと嫁のサポートに助かりました。
前回はアシスタントなしだったので、それが今回起きていたらダメだったかも。
Kさんとの合流して挨拶。痛みとかはないようだったので、レースを楽しんでていいなぁ、とおもいました。
次のチェックポイントは4km で制限12:15。
とはいえルート変更もあり不安なので、壊れたハイドレーションやライトのバッテリーなどを渡して軽量化して、足早に出ます。
今思うと、足早にでていなかったら、タイムアウトになっていました。
11:02 Vallorcine 発 (制限13分前)
ここからじわじわした登りで、モンテ峠の方に向かいます。
しかし4km走っても、全然チェックポイントがない。ルート変更が直前でされているので、どこにあるのかわからず焦ってきます。
11:55ころ、サポートの人がいたのであとどれくらい?と聞くと あと1kmはあるよ!たぶん大丈夫と言われ一気に焦ります。
どうもバロルシーヌの看板の距離は、ルート変更前の表記で、実際は6kmはあったよう。
途中の小川で足を冷やしながらも、とにかくペースを上げます。
ロードの向こう側にようやくチェックポイントが見えました。
12:05 157km TreChamp着 (制限12:15 - 10分前)
ほんとうにやばかった。。。早く出て本当に良かったと少し安堵。
そしてあとは登りの巻き道だし、次の最終チェックポイント フレーゲの制限は14:45と2:30もある。
余裕があるんじゃないかな、と思いました。
気になったのは、フレーゲまで7kmで700mは上がるという表記でした。
しかし、この時はあまり深く考えず、巻き道なのに、制限時間が変わらないなんてサービスなのかな、と「「大きな勘違い」」をして、ゆっくり進みます。
周りもそう考えている人が多かったのか、みんな少し話したり、座って食べている人とかもいます。
気温はがんがんと上がる。左手にはシャモニーから見た山々が見えてきます。
じわじわとした登りを進みながらも、しかしまったくフレーゲが見えてきません。
そして、なんと下りが始まります。そこにサポートの人がいて
「まだ4kmはあるよ~~」
と言われます。
「やばい、登りだけじゃないんだ。」とここから慌てます。
ペースアップをして進んで、見えてきた表記が
「フレーゲまで1h50m」
というルート上の案内
すでに時計が13:50 !!!! 関門は14:45 !!!
コースタイム1h50mを この足で50mでいかないと間に合わない!
ルート序盤で気を抜いたことを心から後悔しつつ、
「富士登山競争での雪辱を晴らす!!」
と決意し、もうがむしゃらに進みます。とにかく走る。
次の看板が見えてくる。
「フレーゲまで1h30m」
時計をみると7分で来ている。コースタイムの3分の1。 行ける!!
巻き道なので下りもあるけど、もう左足だけで着地という離れ業も駆使。
時計は刻々とすすみ、14:20。下りきったようで、登りがまた始まる。
途中でハイカーが来たので、フレーゲから何分かかった?と聞いたら
「45分!」
下りで45分なのに、登りを25分でいかないといけない!?
とにかく行くしかない。
そして、走っていくと、ついに周りが開けたゲレンデに到達。
なんと200m位上にフレーゲの小屋が見えます。
時計は14;27
ゲレンデ登りダッシュでどうにか行けそうか、どうかわからないながらも、がむしゃらに進みます。
上からは応援の人たちが、早くしないと間に合わないぞ~~~と声がけしながら下りてきます。
そして、どうにか登り切り、小屋の手前でタイムをみると
14;35 !
どうにか間に合いました。
すべてのアドレナリンを使ったかような感覚
後ろを見ると、遠くにまだ登ってくる人が見えます。
幸運を祈りながらも、時間がないのでエイドに入ります。
14:36 163km La Flegere着 (制限14:45 - 9分前)
エイドではコーラをもらって、ペットボトルにも詰めます。
足早でエイドをでて、いつもLa Tet Aux Venで撮るような写真をまったくとっていなかったので、カメラで一枚撮りました。
この辺りでKさんが写真を撮っていました。
しかしここからゲレンデの下りを含めて、シャモニーまで連続した8kmの下り。
ゴールの制限は16:30。
8kmを1:40で行くには、キロ12分。普段なら余裕でも、ここまで痛い足では、気が抜けないスピード。
痛みに備えてロキソニンをまた1錠 かみ砕きました。
そしてつづら折りを降りる所で、痛みがさらに増し、座って余ったロキソニンテープを張り替えたところで、
「テーピング分けてもらえません・・?」
と女性から声がけされます。
聞くと、ほぼ似た症状で、テーピングがなくなったとのこと。
固定用のテープは足首を固定するほどに残っていなかったので、距離も短いからと、一番最初のMedicalでやってもらった通り、前脛骨筋をぐるっと回す形でサポートしてあげます。
少し楽になった、といっていました。キロ13分を下回るスピードでどうにか頑張って!と伝えて先に行きました。
番号を記憶しなかったので、無事に完走されたことを祈っています。
自分自身も余裕はなく、どうにか痛みに耐えながらも下り続けます。
下り途中のレストラン フローリアの前を通ると、大声援。
ここからあと4km !
この辺りから街のにおいがしてきて、ゴールを確信し始めます。
途中の水量の多い谷で、全身を浴びてリフレッシュ。
徐々に、トレイルを登りながら応援してくれる人がきて残りキロを伝えてくれます。
残り2km!
残り1km!
そして、橋を渡り、ゼッケンを配布する会場のあたりの、シャモニー街の端っこに入ります。
タイムを見ると16:05
川沿いには父親が手を振ってくれているのが目に入ります。
涙がでてきました。よくこんな痛みに耐えて走りきれたと。
そして、父と一緒に走ると、ゴール手前の銅像には嫁と子供たちが待っていました!
4年前には急病で倒れて、ゴールを見れなかった母も来ています。
みんなで手をつないで合流。フィニッシュゲートに向かいます。
家族でのゴールに、観客たちはみな同じリズムで
バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
とレースわきの幕をたたいての大声援。
16:10 念願だった、家族全員でフィニッシュゲートをくぐりました。

