私は、時折朝活や朝カフェと言われるイベントに参加します。

参加者の中には会社員の方もいらっしゃいますが、既に独立して自分でビジネスを始めている方もいらっしゃいます。

こうしたイベントに必ずあるのが「自己紹介」です。

常連さんでもない限り、「お初」の人ばかりですから自分のことを知ってもらうことは大切です。

自己紹介の言葉だけを聴いていては分かりませんが、その人全体を見ていると、自分のことを認められていないということが如実に分かってしまう「癖」があります。

その癖とは、「喋りすぎ」と「押し売り」です。

ルールを無視している時点で信頼できない

自己紹介に際して、主催者の人からこんな案内を受けるはずです。

「時間も限られていますので、おひとり1分くらいでお願いします。」

みなさん、1分という時間を「文字数」にするとどのくらいになるか、考えたことはありますか?

おそらく考えたことのない人が多いことでしょう。

1分を文字数に直すと「300文字」と言われています。

あなたが思っていたよりも、多いですか?少ないですか?

おそらく、意外と少ないと思われる方が多いはずです。原稿用紙1枚分もないのですから。

でも、1分という時間だけを聞くと錯覚してしまいます。

「意外と長いんじゃないの?」と

そして、多くの参加者は3分・5分と大幅にオーバーした時間を使ってしまいます。

見知った中であれば時間など気にしなくても済むかもしれません。

しかし、公に参加者を募集して、初めての参加者も一定数いるにもかかわらず、自分の話に酔ってしまい時間を無視して話し続ける人のことを、一体誰が信頼するのでしょうか?

強調するほど怪しまれる事がわからない

ある朝活では、こんなことを話す方がいらっしゃいました。

「私は、このツールと出会ってからタイプ別の役割を通して人間関係を見られるようになって助かっています。」

そこまでは良かったのですが、こちらがお願いしても居ないのに、勝手にタイプ別の特徴の話をし始めます。

「△△タイプの人の真反対は◯◯なので・・・」

こうした「タイプ別診断」の元をたどると、例外なくユングやフロイトの精神分析に行き着くことを私は知っていたので

「始まったか・・・」

と思いながら話を聞いていました。

かいつまんで言うと、どんなタイプ別診断であれ、もともとすべてのタイプの要素を人は持っています。

ただ、程度が違うだけであって、大雑把に言えばどのタイプにも当てはまることがあって当然です。

ですから、タイプ別診断というものにはほとんど意味はありません。

人は「どこかに帰属していたい」という帰属欲求があるため、どこかのタイプに属していますというのがわかれば「安心」する、その程度のものでしかありません。

自分を認めないと周りも見えない

「喋りすぎ」

「押し売り」

これらは、すべて自分のことしか見えていない(自己中心的ではありません)、視野が狭くなっている人の癖です。

裏を返せば、「自分のことをもっと認めてほしい」と思っているからこそ、自分のことを喋りすぎたり、求められても居ないのに自分の好きなものを押し売りしてしまうのです。

こうした癖は、多くの場合、人間関係の障害になりやすい癖でもあります。

言葉は、聞いてくれる人、読んでくれる人がいるからこそ、コミュニケーションとして成り立ちます。

それを理解せずに、キャッチボールができないひとは、仕事でもプライベートでも信頼を得ることは難しいでしょう。

「類友の法則」って聞いたことありませんか?

端的に言えば「自分の周りには、自分と似ている人が友達・知り合いとなっている」ということです。

「類友の法則」を語るとき、こんなことを言う人はたくさんいます。

「環境を、人生を変えたければ、付き合う人を変えましょう」

しかし、これははっきり言って誤りです。なぜなら

「自分自身と向き合い変わろうとしない人が、いくら付き合う人を変えようとしても無駄だから」です。

そうです。

まず変えなければならないのは、あなた自身です。

錯覚に陥ってしまったら抜けるのは大変

例えば、既に数千万、数億円稼いでいる人たちと知り合いになったとしましょう。

その人たちの話を聞いていると、目から鱗の話ばかりで聴いているだけでためになります。

「今日はいい話を聞くことが出来て充実した時間を過ごせた」

そんな気分になったことだけで満足してしまいます。話を聞いただけで自分があたかも稼いでいる人になった気がしています。

でも、現実はどうでしょうか?

あなたは、自分のビジネスのためにできることを何もしていません。

そのうち、自分のビジネスのために何もしていないことに気づかないように、まるで麻薬を求めるかのようにその集まりやイベントに参加し続けます。

こうなってしまっては、抜け出すのは難しくなってしまいます。

成功者と知り合うことと自分の成長とは全く違う

私が心理学を学び活動をしていく過程で、カウンセラー・セラピストなどに限らず、多くの「起業志望者」と会いました。

ときに、既に独立して、個人として数千万円・数億円を稼いでる方にも出会ったことがあります。

彼らは、その「先輩」の話を聴くためにウェビナー(インターネット上で行われるセミナー)を視聴したり、主催するイベントに参加していたようです。

「先輩」の話を聞くと、確かに参考になることもありました。

しかし、よく話を聞いてみると、その話の多くは抽象的なノウハウにとどまり、最後には決って「商品・サービス」の案内につながっています。

その「先輩」のファンになってしまった彼らは、数万円、数十万円するその講座を喜んで購入します。

彼らは勘違いしているのです。

「先輩の講座を聞けば成功できるようになる」と。

本当は、自分自身で実践を繰り返さなければいけない時間を、講座を聴くことに充てていてはいつまでも成長できません。

必要なのは実践・行動

私たちが自分でビジネスをするとき、まずしなければならないのは

「私は、有料の商品・サービスを売っている人です」

と周囲に認識してもらうことです。

商品・サービスが固まっていなくてもいいのです。表の「パッケージ」さえ整っていれば、人は「商品・サービス」と認識してくれます。

あなたが有料で売っている人と認識されるようになってはじめて、真にあなたのビジネスの手助けをしてくれる「友」が表れるようになります。

「友」といっても、プライベートでいう友達のことではありません。

あなたの志を形にするために、スキルを提供してくれる「同志」に出会うことができるようになります。

あなたが実践・行動を続けて自分自身を変えていくことを受け入れているから、可能となるのです。

ご相談を受ける中で、「起業をしたいけど・・・」というお話もよく伺います。

「現状を変えたい」

「自分にできることで人の役に立ちたい」

「自分でビジネスをしてお金を稼ぎたい」

抱える思いはそれぞれであり、置かれている状況も様々です。

プライベートの時間を使って、起業に関するセミナーや勉強会・朝活などに参加してみると、自分と同じような考え方を持っている人たちと出会い、思いを共感できたことで満足できる。

その満足感を得たいために、様々なセミナーや勉強会に出ている方が多くいらっしゃいます。

結論からもう上げると、そんなことではいつまでたっても起業などできません。

確証を求めている完璧主義者は何もできない

あなたにとって「リスク」とは一体何ですか?

もしかしたら、「リスクと取るなんてことは恐ろしくてできない」という「0(ゼロ)」か「100」かという考えしか持っていないのではありませんか?

リスクとは、本来「0」か「100」ではありません。

状況や段階に合わせて取るべき「リスク」があり、リスクは選んで取っていくものです。

例えば、起業をする準備をする段階でそれなりにお金がかかります。

情報発信のためにサーバーを借りてホームページ(ブログ)を開設する。

事務所として使える場所(シェアオフィス・バーチャルオフィス)に登録をする。

商品・サービスを提供するために必要な備品をそろえる。

これ以外にもビジネスを始めるためには、大なり小なりお金がかかるものです。

ところが、何事も完璧に準備したくなると、すべての経費という「リスク」を計算することができないと安心できなくなります。

完璧を期するがために、行動が遅くなってしまいます。

行動だけ起こしても行き詰るのは見えている

反対に、起業をするために一念発起して高額な「起業塾」なるものに通う人がいます。

「自分の好きなことを仕事にしよう」

「行動しなければ何も始まらない」

そう煽られて、まだ何をビジネスにするのかも見えいないのに

「会社を辞めて背水の陣を敷けば、絶対に何か見つかるはずだ」

と会社を辞めてしまう人がいます。

会社員として15年20年と働いて、それなりの地位や職責を任されていたのに、収入もちゃんと確保できていたのに、煽られるに任せてそれまで築き上げてきたものを捨ててしまう。

「辞めて追い込まれれば、やりたいことが見つかってビジネスが始められるはずだ」

「考えに考えて仕組み化はできているから、あとは現実にしていくだけ」

そう現実は甘くありません。

追い込まれても決してやりたいことは見つけられませんし、頭の中で考えただけの「理想」は時が経つにつれて変節してしまい、綻びが目立ってしまうと人は離れていきます。

失敗しても行動し続けられる者が生き残る

最初は何も決まっていなくてもいいのです。

「これかもしれない」と商品やサービスを作り、売れなかったら新たな方法、新たな商品・サービスを考えていけばいいのです。

最初からビジネスが順調にいく人などいません。

会社員であるならば、今の安定した地位や収入を捨てる必要などありません。

実名を使えなかったら、ビジネスネームを使うこともできますし、ビジネスネームを使っている人は大勢います。

最初から学ぶ必要はありません。

実践して失敗することに中にこそ、ビジネスを成功させるために必要な「学び」があります。

高額な起業塾の中に成功への「学び」はありません。

そのことにいち早く気づき、失敗しながらも行動し続ける者だけが起業の世界で生き残ることができるのです。