【映画感想】


副題:「個人的ノーラン論」
『オデュッセイア』
('26/172分/米)…9/12(MOVIXあまがさき)


クリストファー・ノーラン監督のギリシャ神話の超大作であり、全世界でも高評価である本作を、(IMAXではなく)通常の劇場で鑑賞しました。
そして、世界と同調しない日本でも、珍しく同様に高評価だったのでちょっと意外でした。
しかし相変わらず、映画サイトの一般評では、絶賛評の割には、何が面白かったのか?何に満足したのか?が、よく分からないレビューが多くて、あまり参考にもならなさそうだったので読むのを止めました(苦笑)
私は少し前に予習で観た『ユリシーズ』と、その後のAI雑談で、ギリシャ神話の世界観を大まかに掴んでいたので、楽しく観ることは出来ました。

で、本作を観ることにより、ノーラン監督の特徴も色々と整理できたのが、一番の収穫だった様に感じます。
そこで感じたのは、基本的にノーラン監督って徹底した職人監督でありエンタメ監督であって、どちらかと言うとスピルバーグの系譜であり、キューブリックの系譜では無いという事ですね。
なので、テーマ(メッセージ)より物語(展開の面白さ)重視の監督であり、あまり作品に深みを求めたら評価しにくくなる人だと思いました。
更に言うと、ハード(技術)の人というイメージも強く、最新技術でこの題材を如何に映像化出来るかへの関心が異常に高い人の様な気がしました。
そして、彼の今までの作品を思い返してみると、正義や悪についての自己主張はなく、大半はその点についても曖昧なままな作品が多く見受けられ、本作もその点を追求すると粗が出て来そうな感じの作品ではありました。

それでも『ユリシーズ』の単純な英雄譚よりも複雑には描かれていましたが、どちらにしても大元のギリシャ神話そのものがカオスなので、ノーラン的な解釈を無理矢理こじつけた感じはしましたね。
そもそも主人公のオデュッセウスという人そのものが、非常に怪しい人物ですからね。
『ユリシーズ』では全く善人としては描かれていなかったし、元々知略に長けた人物なので、トロイの木馬の発案者でもあり、帰路の苦難も結局最後は彼だけが生き残っているし、そもそも作品で描かれていない部分の方が気になる人物です。
ひょっとすると、今回描かれた回想シーンでさえ、全てが彼の妄想、あるいは自分に都合よく作った嘘なのかも知れない、と考えてしまう余地すらあります。
なので、今回のラストも一見大団円と解釈した人もいるかも知れませんが、私には感情移入するには程遠い人物だったので、「ノーラン作品の主人公っていつもこんな感じだなぁ~」と、ここでもノーランの特徴を感じてしまいました。

と、なんだかんだと言いながらも、いつも楽しませてくれる監督ではあります。
でも、今の映画ファンの間では、彼は結構神格化されてるように感じられるので、今回の感想でその辺りの違和感が出てしまったのだと思います。