カレー探偵、やみちゃんです。
◆◆ カレー遠征 2017 中秋
信州編(松本・駒ヶ根・伊那)
https://ameblo.jp/yamikomon/entry-12324329749.html
■ 初夏の信州編もくじ一覧 ■ ※前回の旅の記録(2017年6月末)
http://ameblo.jp/yamikomon/entry-12286514742.html
「アンシャンテ」
(長野県駒ヶ根市赤穂11192-1)
予約した時間(17:00)になったので知る人ぞ知る、「アンシャンテ」へ。
この店のことは以前、アジアハンター小林さんから伺っていて、前から行きたいと思っていた。
カレー探偵事務所の筆頭執事をしていなければ一生知ることもなかったし来ることもなかったかもしれないような山奥にある、カフェ然とした外観の店だった。
この店のオーナー、小笠原 一博 氏(61歳)は28歳の頃にJICA(独立行政法人国際協力機構)が実施する海外ボランティア派遣制度、『青年海外協力隊』の隊員としてバングラデッシュに派遣され、現地で農機具の修理技術などを教えたという。
帰国後、現在の奥様(由里子さん)と結婚。
由里子さんの経営していた喫茶店をそのままカレー屋にしてしまったらしい。
・店内風景
スリッパに履き替えて入店。
台風の関係で雨がひどく、また17時と早い時間だったので客は無し。
西洋アンティークな店内は由里子さんの趣味だろう。
実は事前に予約の電話をしていたのだが、その時点で店主の小笠原氏は不在であると聞いていた。
なんでも、いまでもバングラデシュとの関わりが続いていて、2015年にはバングラデシュに小学校を開かれたそうだ。
そのため、小笠原氏は頻繁に現地に行く必要があり、アンシャンテにいることは稀なのだという。
たまに帰国しては『ベンガルカレー』を一度に作り置きし、留守中は由里子さんがそれを小出しにして提供するのが精一杯とのことだった。
そんな事情もあり、ご主人が不在の間は基本的に”ランチ営業”のみで、食事は【ランチプレート】の一択らしい。
夜は予約があれば対応してくれるそうだが、できれば複数人で予約したい。
(※私は1人だったので申し訳ない心境になった)
店内の一角に雑誌の切り抜きを発見。
20年前の『dancyu』もあった。
中をめくると、藤原新也(※)氏の写真&寄稿文があり、数ページに渡って「アンシャンテ」のことを”日本で一番うまいカレー店”と絶賛していた。
(※作家・写真家。1972年の処女作『印度放浪』は青年のインド放浪記として、当時の青年層に大きな影響を与えた。)
20年前はまだ日本にカレー専門店がそこまで多くなかったように思うけれども、それを差し引いても熱のこもった筆致で「日本一」と謳われれば、こちらの期待も高まるというものだ。
奥様の由里子さんは明るく上品な美人。
【御食茶】をサルビスしてもらう。
”みけ”とは変わった名称だが、これは近隣にある『大御食神社(おおみけじんじゃ)』にちなんで名づけたそう。
由里子さんの解説によれば、その神社はヤマトタケルが東征の際に立ち寄ったパワースポットなのだとか。
アップルティーにクワとシナモンをブレンドした美味しい紅茶だった。
ところで、由里子さんによればこの日は近隣でJICAの国際交流イベントがあり、JICAのOB・OGや、ゆかりのある店がブースを設けて出店したりするお祭りがあったらしい。
あいにくの台風で野外出店がなくなり、規模が大幅に縮小されたとのことだったが、、
スケジュールが合えばそちらにも顔を出してみたかったものだ。
さすがにJICAの「駒ヶ根訓練所」(※)があるだけのことはある。
(※青年海外協力隊の採用試験に合格すると隊員たちは70日間の訓練に入る。ほかには福島県二本松市に「二本松訓練所」がある)
由里子さんのワンオペなので、客は私一人ではあったが提供までに45分を要した。
(※その間、20年前のdancyuを熟読)
女性が喜びそうな かわいらしい盛り付け。
小笠原氏がいない間は由里子さんのセンスが前面に出るようだ。
サラダがやたらうまい。
それもそのはず、自家栽培の摘みたて。
このサラダだけでも満足度は高い。
由里子さんが言うには、伊那谷にはゼロ磁場(※)のパワスポ『分杭峠』(ぶんぐいとうげ)があり、「気場」を生み出しているので野菜が異常においしくなるのだそう。
(※地球は北極がS極、南極がN極の巨大な磁石であり、地表近くで+と-の力が押し合い、互いの力を打ち消し合っている地点に生じるのが、「ゼロ磁場」と言われている)
さくさくとしたクロワッサン風のパラタ。
本物のギー(ピュア・ギー)(※)の甘い香りが素晴らしい。
(※ピュア・ギーはミルク成分のみで作られるが、市販の安物にはパーム油などを固めたマーガリン風のものもある。当然、風味はまったく異なる)
そしてアンシャンテ・小笠原氏の渾身の力作、【チングリー・ブナ】である。
20年前、この飴色タマネギ、いや黒光りタマネギをつくるのに「タマネギを10時間以上炒める」というので話題になった。
「頭がおかしい」、「商売が下手」といわれながらも、現地の味に近づけるため何度も失敗しながら10時間、馬鹿になってタマネギを炒めたと。
「ちょっと気を緩めたら臨界を突破してしまい、焦げ付く。
そうすると全部無駄になる。10時間の努力がパーです」
多忙な現在でも、そのスタイルを守り通しておられるのだろうか?
私は、おそれ多くて由里子さんに訊くことができなかった。
本来は単品のカレーを、お手軽にプレートに盛った廉価なメニューなので、量はかなり少なめ。
海老はバナメイが1匹。
これは米に合う料理だ。
米は柔らかめで、もしかしたら蒸らしが足りなかったのかも。
豚肉をていねいに。
誰もが美味しくいただける味。
カレーの量は少なめだが、味は濃いめなので、こんもりしたライスとの比率は絶妙。
どちらもピッタリ食べきった。
甘口ラッシー。
雨がひどくなり、また私一人のためにわざわざ店を開いてくださった感じだったので、食べ終わると早急においとました。
また機会があれば小笠原氏がいるときに複数人でお邪魔したいものだ。
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※富山県のカレー界について22ページも取り上げられています。
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やみ「次のカレー活動は、あなたの街のあの店です」
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