開成と灘の国語の授業

テーマ:
 8月29日の読売新聞の「よみうりGENKI中学受験特集」の教育座談会は大変中身が濃かったのです。このシリーズは広告なのですが、中学受験を考えている方には毎回貴重な情報を提供しています。一読をお勧めします。

 今回は、「開成×灘の先生に聞く 教育座談会 あらゆる学びの基礎 国語力はどう高める? 」という特集です。
 英語教育について自慢できる学校は多いのですが、国語教育について語れる学校が何校あるでしょうか。

 どちらもすばらしい実践です。行なっていることは奇抜ではありませんが、自校の生徒の実態をつかんで、大学受験を超えた生徒の将来に資する言語能力を養っている点でさすがだと感じました。アクティブ・ラーニングという実態不明な授業改革への自信のある対応も共通しています。



 ロジカルライティングや話し合いの授業をしている学校はホンマ・ノオトでもわかるようにかなりあります(ホンマ・ノオトを否定するものではありません。「ホンマ・ノオト」考も合わせてお読みください)。それすらできず、未だに「国語の授業は道徳だから」と自ら責任を放棄して、小説を好み「優しい心の通い合い」などと片付けている国語教員も何人も知っています。

 小説はどう読んでも自由だという国語教員もいます。どういう感想を持つかは人によって異なっていいと考えていますが、教えないなら
「仕事が楽でいいですね」と言いたくなります。

 そのような国語教育の現状を考えると文学鑑賞を行ない、行間を読むことを指導していると自負できる学校は少ないでしょう。

 文学の鑑賞の授業は、論理的な文章の読解の授業よりも難しいものです。両校とも、文庫本1冊を使った授業実践をしています(桜蔭なども同様です)。当たり前のようですが、年度途中からは、教材を追加購入しない学校もあるのが現状です。心当たりはありませんか。

 「銀の匙」のスローリーディングで灘中の授業が有名になりました。NHKの特集番組を見ました。
 灘中の合格者にはすでに説明的文章を読む力があります。当時の生徒の実態との的確な距離をはかりつつ「銀の匙」をテキストとすることで、彼らが入学するまでそれほど身につけていなかったと思われる文学の鑑賞と生活体験をじっくりと積むように配慮されている卓越した実践です。教師自身が楽しみながら意欲的に授業している姿からも生徒は多くのことを学んだことでしょう。



 教員も生徒も優秀で、経営陣が教員に信頼をおき、授業を重視しているから可能なのです。が、生徒の実態をつかみ弱点を補強するという面では、どこの学校にも大事な示唆があるように感じました。


 高校でなく中学での実践ということにも注目すべきでしょう。中高一貫の良さを生かせています。灘でも高校3年では受験向きの授業をしています。
 しかし、「中高一貫だから先取り学習で前倒しで学習し、高2までに、高校の課程を終えて、3年では大学受験対策をします」と宣伝する学校との違いは歴然としています。

 かつての開成の国語の授業は教師の関心ある内容に焦点が絞られているイメージがありました。放っておいても、高3になれば、生徒は予備校に行って大学受験には対応できるし……というところで、担当者が思い思いに授業をしているものと勝手に考えていました。申し訳ありません。

読売の広告は以下のHPで読めます。
http://will-navi.jp/yomiuri_genki
AD