2023年2月16〜3月13日 <抗がん剤治療8クール目> 手術から12ヶ月
中学校を卒業する娘。
夫がお父さんとして何かできることはないかな、と考えて、
そうだ、リハビリにもなるし文字を書かせてみよう!と思い立った
文字を書く練習は以前1回だけしたことがあって、右目の一部しか見えていない夫は、
用紙の右側の端に小さく自分の名前を書くことができたので、
少しのメッセージなら書けるのでは?と思った。
週に2回ほど車椅子に乗れた日には、車椅子の足の部分にサイドテーブルを持ってきて
夫の見やすい位置に紙を置いて、夫にペンを握らせて
「名前だけでもいいよ。おめでとうだけでもいいからね」
と声をかけて促して、ちょっとずつ、ちょっとずつ、書いていった。
夫はまず「中学校卒業おめでとう」と書いた
「校」が「様」になっていて、「卒」の字も間違っている。
「お」を漢字で書こうとして?悩んで時間がかかっているよう。
夫が「め、は漢字?」と聞いてきたので「おめでとう、はひらがなでいいよ」と答えた。
そのあと、ところどころ漢字が間違っていたり薄くふにゃふにゃで読みづらい字になっていたが、
「これからは高校生として」と書いた!!
それに続く文章を書くのに、5日くらいかかった
途中で機嫌が悪くなったり、書くのをやめてしまったり、、、
そして最終的に
「これからは高校生として 勉強や世界史かな 一番は気長いに」
と書いた。
「世界史」と「気長い」が少し意味不明ではあったけど、
こんなに長い文章が書けると思わなかったのでびっくりした
最後に封筒の表に、娘の名前を2日かけて書いた。
最初は書けなくて、他の紙に何度も一緒に練習した。
封筒に書いた文字も間違っていて修正ペンで2回ほど消して書き直した。
そして、出来上がった。
もう、感無量。。。
ちゃんと娘に手紙が書けた!!!
卒業式のだいぶあとになってしまったが、娘に渡した。
書いている様子を動画で撮っていたので、それと一緒に。
「これパパが書いたん?!」
と驚いて、目に涙を溜めながら夫に何度も「ありがとう、パパ」と言っていた
娘「世界史、勉強しないとじゃん?笑」って
夫は、手紙を書いたことはもう覚えていないのでキョトンとしていたけど
同じように息子にも手紙を書かせたいけど、まだうまくいっていない。
夫の異世界語録
「しゃもじにおれをぶんなぐらせる」
(何の言葉がしゃもじに入れ替わったんだろう?)
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重度認知症の夫が発する言葉は、いつも謎解き。それを私は「夫の異世界語」と心の中で呼んで、和ませてもらっています夫の一言一言が愛おしく大切です。
いつか夫がいなくなって、涙が止まらなくなった時、これを見て笑顔になるきっかけにしようと思っています。
続きは5月3日(金)19時30ごろ更新します!
「はじめてのお出かけ。家族みんなで介護タクシーに乗り込む」