近年、イノベーションの国際競争がますます激化する中、研究開発拠点としての立地競争力を強化し、民間による無形資産への投資を後押しする必要が出てきました。こうした背景から、特許権等の譲渡等による所得の課税の特例として、イノベーションボックス税制が創設されました。

 

 本制度は、諸外国ではパテントボックス制度などとも呼ばれ、フランスで2001年に導入されたのを最初に、ハンガリー、ベルギー、イギリスなどの欧州諸国や、香港でも導入されています。日本においても、知的財産権の流出防止の観点などから、本制度が導入されたことは時代の潮流ともマッチしており、国として無形固定資産を保護しようという意思の表れとなります。

 

 本件制度は、青色申告書を提出する法人であることが必要となります。また、令和7年4月1日から、令和14年3月31日までの間に開始する各事業年度の対象所得について適用となるため、その点に注意が必要です。

 具体的な内容としては、法人が国内で研究開発を行った著作権等に対して、その知的財産権の譲渡または貸付を行った場合に、その知的財産の国内への譲渡所得または国内外へのライセンス所得金額の30%相当額を損金算入することができます。この範囲には、いわゆる特許の他に人工知能(AI)ソフトウェアに係るものを含みます。本件制度により、実行法人税率ベースでおよそ20%相当まで対象所得引下げ効果が期待できます。

 

 これまでの税制優遇措置は、研究開発投資に対する優遇措置であり、インプット側からのアプローチでした。これに対して、イノベーションボックス税制の創設は、成果物としての無形固定資産に対する税制優遇措置となります。このため、休眠特許などを活用するインセンティブにつながると思われます。

 

 これまでに特許ライセンスなどから収入を得ていた法人の方々には、本件制度でタックスメリットを享受していただければと良いと思います。

 

 

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