相続税対策の一つとして、タワマン節税という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
相続税の財産を評価する際に、現預金、株式は時価のままですが、家やマンションの評価額は時価に比べてかなり低くなります。特に高層マンションは戸建てに比べて評価額が低くなるので、それを利用した相続対策を「タワーマンション節税」と言います。

【タワマン節税の仕組み】
 戸建てもマンションも建物(固定資産税評価額×1.0)+土地の評価(路線価または倍率表による評価)になりますが、マンションにおける土地の評価額は敷地全体の評価に敷地権割合を掛けるため、同じ土地の広さでも総戸数の多いタワーマンションは土地の評価額が低くなります。また、市場価格の高い高層階を購入することで、相続税評価額と市場価格との乖離はさらに大きくなり、購入により相続財産の評価を下げる効果が大きいということです。

 以下の表より平成30年のマンションの相続税評価額と市場価格の乖離率は2.34倍で、戸建ての乖離率1.66倍よりも大きくなっています。この乖離が大きいことから、行き過ぎた節税対策として問題視されてきました。

 

 

令和5年度与党税制改正大網(令和4年12月16日決定)に、「相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実情を踏まえ、適格化を検討する。」旨が記載されました。これを受けて、マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議が設置され、令和5年6月30日に見直し案が報道発表されました。
相続税評価額が市場価格と乖離する要因となっている築年数、総階数、所在階数、敷地持分狭小度の4つの指数を用いて、市場価格との乖離率を予測し、その結果、評価額が市場価格の60%(一戸建ての乖離率の現状を踏まえたもの)に評価を補正する方針が発表されました。今後、通達の改正が行われる見込みであり、国税庁の発表に注目したいと思います。

不動産の評価については、様々な特例や、評価方法があるので、相続税の申告は税理士への相談をお勧めいたします。

(平野 朋子)

 

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