地方創生を応援する税制として、2008年から始まったふるさと納税制度。自分のふるさとや応援したい地域に寄付をすることで、その寄付金額が所得税や住民税などから控除されるという仕組みです。
近年急速に普及しており、2022年度のふるさと納税の寄付総額が9654億円で、前年度より1351億円(16.3%)増加し、3年連続で過去最高を更新したそうです。しかし、返礼品が豪華すぎて税金を払っているつもりがむしろお得になっている、自治体が寄付金で赤字になる、などの問題も指摘されています。

これらの問題を解決するために、総務省は、2023年10月からふるさと納税のルールを変更することを明らかにしました。変更点は以下のとおりです。

①    返礼品に地場産品基準を導入する。
②    返礼品の経費率を5割以下に引き下げる。
③    寄付の上限額を変更する。

 
地場産品基準とは、返礼品に使用される原材料が、寄付先の自治体が属する都道府県で生産されたものであるかどうかを定めた基準です。
この基準が導入されると、返礼品として全国的に流通しているような「熟成肉」や「精米」などの加工品は、ふるさと納税の返礼品として提供できなくなります。例えば、熟成肉の場合、ほかの都道府県や海外で生産された肉を購入して、地元で熟成させたというケースでもいままでは「地場産品」として返礼品にできましたが、生産地が異なるものを「地場産品」と呼んでいいのかなど、あいまいな返礼品が増えたため、10月以降は熟成前から一貫して同じ都道府県でつくられたものを返礼品の対象とすることに変更されるそうです。
 
また返礼品の経費のルールについても見直しが行われます。
10月からは経費に含まれる費用が増えるようです。具体的には、寄付金の受領証の発行費用などが経費に計上できるようになります。ルール上、経費は寄付金の5割以下にしなければなりませんが、2021年度のふるさと納税額上位20自治体の使われ方では、現在の経費総額は48.7%とギリギリで5割に収まっている状況です。新たに経費に加わる費用は3.9%ほどと見込まれ、足すと5割を超えてしまうことになります。つまり、各自治体は今後、経費や返礼品の中身、総額を見直すことになります。経費を圧縮できなければ同じ返礼品を受け取るのに必要な寄付額が増える可能性もあります。
 
そうなると、今まで返礼品とされていたものがラインナップからなくなる可能性も。
毎年12月に駆け込みでやっている方は、9月中にお手続きすることをお勧めします。

ふるさと納税をしたことがないという方もまだいらっしゃるかもしれません。簡単に始められますので、ぜひ挑戦してみてくださいね。

1. ふるさと納税ポータルサイトなどで、自身の控除額を確認 
2. 寄付する自治体を決めて、手続きを進める 
3. 返礼品と寄付金受領証明書が届く 
4. 確定申告またはワンストップ制度の手続きをする  

また、節約のためにふるさと納税を始めたいと思っている方は、ご自身がよく利用するクレジットカードやQRコードでの決済を利用したり、ポータルサイトごとに行われているキャンペーンなどを利用したりすると、ポイント二重取りなどができる場合もあります。取り逃がしのないようにしたいですね! 
いずれにしても、ふるさと納税を上手に使うことで家計の足しにしたり、プチ贅沢な気分になったりすることも。
上手に利用して、楽しみたいものです。

 

(山田 直緒子)

 

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