タイトルの「毒ヘビ」と「サイエンス」と「やさしい」の組み合わせが面白い!
毒蛇はそんなに優しそうじゃないのに、「やさしいサイエンス」というのがなんか矛盾している感じで興味を惹かれます。
読んでみると確かにサイエンスだけどやさしい。
各毒蛇の種類や毒の違い、ほかの毒生物との違いなどいろいろ知ることができます。
毒ヘビは700種いて、実際に人に被害を及ぼすのが380種、致命的な毒を持つのが200種。
ちなみに、日本のような中緯度地域では蛇咬傷は少ないが、熱帯地域では公衆衛生上の問題になる程被害が多いそうですね。
◆蛇の移動法。
蛇の移動法は基本的な蛇行運動のほかに、砂漠のへびの横ばい運動や、イモムシのようなアコーディオン運動式のへびなどいろいろあるそうです。
横ばい運動…サイドワインダーとも呼ばれる。ガラガラヘビなど
アコーディオン式運動…縮んで伸びる
蛇行運動…普通のくねくね移動
◆ハブについて。
夜行性で直射日光に弱く昼は活動できない。木に登れるし水中も泳げる。主にネズミを食べる。ハブのリーチは体長の2/3ほど。
◆毒蛇が派手な警戒色でいる意味
警戒色は捕食者に毒があることを知らせ、身を守るとともに余計な争いを避けて毒を節約する効果がある。
…毒を節約という概念は新しい発想でした。
ガラガラヘビは人が近づくと尾を振動させて音を出し警告するなど、ヘビは意外と平和主義者なのかもしれませんね。
◆毒の強さ
毒の危険性は毒の強さ×注入量。
ウミヘビなどで小さくて毒が強いものもいるが、注入量が少なく意外と助かる。キングコブラやタイガースネークは体長が大きく毒も強いので危険な蛇。
◆アメリカの危険な盗難対策
アメリカでは盗難防止のために、無人になった店の中にガラガラヘビを放しておき、朝に回収するという方式を採用するところもあったという。
実際どうかはわからないけど噂だけでも流せば効果はありそう。
毒ヘビ同士の争いで死ぬことも
毒ヘビの毒は毒嚢に入っており血液とは混ざらない。一応血液中にも中和酵素があるが、他のヘビから毒を大量に注入すると毒を中和しきれないことも。とはいえ大きい蛇が小さい蛇に負けることはあまりなく、キングスネークはガラガラヘビを好んで食べるそうです。
◆マングースとの関係
マングースはネズミの駆除目的で1910年にバングラデシュから持ち込まれた。マングースは昼行性で夜行性のハブとは戦闘にならない。
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まとめ
本書を読むと、毒ヘビにかなり詳しくなれます。
基本的にヘビはおとなしいものが多いので、気を付けていればそんなに危険はないそうですね。また、毒ヘビを展示している施設では、その抗毒素を常備する義務があるそうです。
フグ毒やウミヘビの毒は、動けないが意識ははっきりしているそうで。ゾラの『オリヴィエベカイユの死』を再現できてしまうなーと思いました。
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