ドラマ『半沢直樹』で主演を務めたことで有名な堺雅人氏のエッセイ集

『文・堺雅人』。

 

俳優として演じてきた役の話のほかに、演劇部のころの話や、少年時代の野球チームの話などもいろいろあります。

 

役作りの仕方や、演劇部あるあるなどは普段あまり触れる機会のないところでとても興味深かったです。

 

あと、堺雅人の文章力の高さに驚きました。俳優じゃないんか!?と思うようなうまさで以下のような文章が普通に出てきます。

 

「まるでたくさんの残火がもう一度盛大に燃え上がるのを待っているような、不思議な雰囲気だった。お祭りの後の余熱のような一年。」

 

堺雅人ファンは読んでおきたい一冊。

 

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◆役づくり

著者は、同じ作家の別の作品を読む、言葉の意味を調べる、セリフをつぶやいてみるみたいな「いかにも」なものから、共演する人の顔を思い浮かべる、台本を開いてぼーっとしているとかもすべて役づくりの一環として考えているそうです。

 

…この考え方なら、どうしてもやる気でないときにもとりあえず向きだけあっていればよいので、サボってしまって自己嫌悪というようなことになりにくいので良い方法だなと思いました。


◆運、鈍、根。

演劇でうまくいくタイプは、運がとく、鈍感で、根性があるタイプだといわれているそうです。初めのうちは人の目を気にしない鈍感さが大切とのこと。

 

◆即興(インプロ)

お客からお題をもらいそれを元に1時間くらいの劇をアドリブで演じることを即興(インプロ)といいます。

 

準備がなくて楽だとおもっていたら、これがかなり大変なのだそうで、

うまくいかなかった場合には、恐ろしくひどいものができるし、役者全員で作るので思い通りの展開にならない。

なかなか修行になるものだそうです。

 

この即興の入門書が「トゥルースインコメディ」には以下の心得が述べられているそうです。

 

「自分に素直になりなさい。それだけで立派なみせものになるのです」

「周りの俳優を天才詩人のように扱え」

 

自分をよく見せるには、周りの俳優をよく見せるのが一番だということが書かれており、実際詰まった時にはこの本の原則に助けられることも多かったという。

 

『俳優修業』は一部の役者にとってバイブル。演技について書かれており、演技クラスの様子が小説風に書かれており面白い。

 

◆少年野球の話

少年野球では補欠で敗色濃厚になったときのみ著者の出番が来たそうです。

 

「打席に入ると相手チームとアンパイヤ、球場全体に深々と一礼し、隙のないフォームでバットを構える。あとは素振りできたえた、無駄のない、シャープなスイングを3回すればいい。よほどのことがない限り、それでゲームセットだ。」

 

この表現力がすごい。バーテンダーの役の素振りから少年時代の思い出に飛ぶというのも面白かったです。

 

◆30過ぎたら運命の出会いはない。

著者の演じた『運命じゃない人』というドラマでの格言。

 

「いいか、はっきり言っとくぞ。30過ぎたら、運命の出会いとか、自然な出会いとか、友達から始まって徐々に惹かれあってラブラブとか、一切ないからな。もうクラス替えとか、文化祭とかないんだよ。」

 

確かに社会人になって入社とか部署移動とかもひと通り終わったら、転職でもしない限り新たな出会いはなさそうだなと思いました。

 

 

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◆終わりに

堺雅人は半沢直樹のイメージが強かったので、ストイックなビジネスマンのイメージが強かったのですが、本書を読むとかなり多彩な思考回路を持っている人であることが分かります。

 

文章もうまくて読みやすく、内容も深いので堺雅人ファン以外が読んでも普通に面白いと思います。

 

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ちなみに、続編も出ているみたいです。今度読んでみたい。

 


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