はじめに

 さて今日は、大国主が根の国にやってきた所から始まります。原文と現解釈は、相変わらず物語として、童話のように解説します。しかし、次回の宇摩説では、大国主の史実として解明してます。

 大国主は、スサノオと近畿の大主、刺国大神の女(むすめ)、刺国若比売との間の子です。近畿圏の大神と、スサノオの子ですから、大物の血筋です。しかし、古代の日本は血筋と共に、能力主義でした。

 大物の子でも能力が無いと、実力者に追われたり、力を削がれたり、自分の任務を守れません。また、高天原の仲介による格下げもありました。こうして、人々の意見を参考にして、古代日本は実力主義社会を作っていたのです。

 その試練の状況を書き残したのが、出雲神話、大国主の物語です。
では、本題に入りましょう。

  根の国訪問3(原文2)

 故、随詔命而、参到須佐之男命之御所者、其女須勢理毘売出見、為目合而、相婚、還入、白其父言、其麗神来。

 爾、其大神出見而、告、此者謂、之葦原色許男、即喚入而、令寝其蛇室。
於是、其妻須勢理毘売命、以蛇比礼(ひれ)授其夫、云、其蛇将咋、以此比礼三挙打払。故如教者、蛇自静。故、平寝出之。

 亦来日夜者、入呉公與蜂室、且授呉公蜂之比礼、教如先。故、平出之。
亦、鳴鏑射入大野之中、令採其矢。故、入其野時、即以火廻焼其野。於是不知所出之間、鼠来云、内者富良富良(ほらほら)、外者須夫須夫(すぶすぶ)如此言、故踏其処者、落隠入之間、火者焼過。
爾、其鼠、咋持其鳴鏑出来而、奉也。其矢羽者、其鼠子等皆喫也。

  根の国訪問(現解釈2)

 故(かれ)、詔(の)りたまひし命(みこと)の随(まにま)に、須佐之男の命の御所(みもと)に参向(まいいた)れば、其の女(むすめ)須勢理毘売(すせりびめ)、出で見て、目合(まぐはひ)なして、相婚(あ)ひたまいひて、還り入りて、其の父に白(まを)ししく、「其(いと)麗しき神来(き)ましつ。」と、もおしき。

 ここに、其の大神出で見て、「こは、葦原色許男と言うぞ」と告(の)りたまひて、すなはち喚入(よびい)れて、その蛇(へみ)の室(むろや)に寝したまひき。

 ここに、其の妻、須勢理毘売命、蛇比礼(ひれ)を其の夫に授けて、云(の)りたまひしく、「其の蛇の咋(く)はむとせば、此の比礼を三(み)たび挙(ふり)て打ち払(はら)ひたまへ。」とのりたまひき。
 故、教えの如(ごと)せば、蛇自ら静まりき。故、平(やす)く寝て出でたまひき。

 また来る日の夜は、呉公(むかで)と蜂との室に入れたまひき、また呉公・蜂の比礼を授けて、先の如(ごと)教へたまひき。故、平(やす)く出でたまひき。

 また、鳴鏑(なりかぶら)を、大野の中に射入れて、其の矢を採らしめたまひき。
故、其の野に入りし時、すなはち、火をもちて、その野を廻(もとほ)し焼きき。

 ここに、出でむ所を知らざる間に、鼠来て云ひけらく、「内者富良富良(うちは、ほらほら)、外者須夫須夫(そとは、すぶすぶ」といひき。
 かく言へる故に、其処(そこ)を踏みしかば、落ちて隠(かく)り入りし間に、火は焼け過ぎき。

 、其の鼠、其の鳴鏑を咋ひ持ちて出で来て奉りき。其の矢羽は、其の鼠の子等(こども)、皆喫(くひ)つ。

  現在の語義
目合(まぐはひ) 互いに目配せして。心を通じる意。
室(むろや) 建築はムロ型(穴に屋根を乗せる)と、ス型(床を作る)。
蛇比礼(ひれ) 蛇を操る呪力のある領布(ひれ)。女子は首に巻く(まふらー)。
鳴鏑(なりかぶら) 鏑形に穴を付けた鳴り物を付けた矢。
内者富良富良(うちは、ほらほら)、外者須夫須夫(そとは、すぶすぶ) くうちはウツロで、外は窄んでいる。外はスボンでいるが、中は広い。鼠の棲家。

現在の概要(著者まとめ)

 大国主はスサノオの御所に着たら、娘のスセリビメが出てきた。二人は一目惚れで直ぐに夫婦になった。帰って、スサノオに美男が来たと言った。出てみたスサノオは、「アシハラシコオだ」といった後、室に呼び入れた。

 蛇の室に寝るように言われたが、妻のスセリビメニ、蛇を払うフレをもらって無事に過ごした。また、ある日は、ムカデと蜂の室に塗るように言われたが、この時も、ムカデと蜂のひれをもらって無事だった。

 また、鳴りカブラの付いた矢を野原に放って、取って来るように言われた。大国主が探しに良くと廻りに火をつけた。そこに鼠が来て、「内はホラホラ、外はスブスブ」と教えたので、そこを踏むと穴に落ちて、火が通り過ぎた。

 鼠が鳴りカブラの矢を加えてきた。その矢羽は子鼠が食い破っていたという。

 以上の通りだが、まったく童話の通りの解釈である。私は小さな鼠とは思ってない。また、この宇摩説の解明は、童話に多い(鼠の花嫁など)鼠の物語の解明につながります。前に、牛は大人・主だと解いた様に、迷彩で動物にしています。

では、また、宇摩説は数日後に、書く予定です。


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