いま発売中の『古代天皇たちの真実』(ワニブックスPLUS新書)で提唱した新しい紀年復元法ですが、少し複雑な手法だと感じている方もいらっしゃると思います。
それは、本書内で「継体天皇朝と仁賢・武烈天皇朝の並立」について考察を重ねたからかもしれません。
そこで、本ブログで復元手法をできるだけ分かりやすく説明してみます。
※新復元法の名称は「『原日本紀』仮説による無事績年削除短縮法」(略称:無事績年削除法)です。
1)天武天皇の国史編纂の詔によって、天武天皇朝で『原日本紀』が編纂された。『原日本紀』は初代天皇の即位から天武天皇即位までの歴史を、実年代に沿って一年の欠落もなく記した編年体史書であった。
2)『原日本紀』はほぼ完成したが、天武天皇崩御により進上されることはなかった。
3)持統天皇朝に入ると、国史編纂方針が見直され大幅な紀年延長が決定した。中国の歴史(『春秋』『史記』など)に比肩しうる日本の歴史が求められたからである。それは、初期天皇の治世を3倍、4倍するような手法や、欠史八代を創出・挿入するような手法で行われた。その結果、大量の無事績年(歴代天皇紀において事績や出来事の記されない年)が生じた。
4)最終的に天皇の世は、初代神武天皇即位の紀元前660年に始まったと決められ、『日本書紀』として完成した。
5)だから、『日本書紀』から無事績年を削除して紀年を短縮していくと、天武天皇の求めた実年代に沿った歴史編年が復元できる。
いくつか説明が必要な部分もありますが、それを端折ると以上のようにまとめることができます。
『原日本紀』の紀年復元については、このように非常にシンプルなものです。
無事績年を削除短縮していく作業自体も単純かつ機械的に行うことができます。
そこに恣意的な操作の入り込む余地はほぼなく、再現性も高い客観的な手法といえます。
「紀年論」史上最もシンプルな紀年復元法であると断言してよいと思っています。
『日本書紀』の紀年復元にご関心のある方は、ぜひ一度試していただければと思います。
ただし、『原日本紀』には天武天皇の意向が強く反映されています。
大きな改変は、倭の五王の遣使朝貢の隠蔽や、王朝並立の直列化と考えています。ですから、『原日本紀』からさらに復元を進めないといけないということになるのです。そして、その一環として『古代天皇たちの真実』では王朝並立を復元しました。
ですが、これは次段階の復元ということで、『原日本紀』が最もシンプルな紀年復元法であることには変わりないのです。
さて、うれしいことに『古代天皇たちの真実』はみなさまのおかげで重版となり、重版の見本誌が手元に届きました。
重版の奥付を見るのは、このうえない喜びです。ありがとうございます!
『古代天皇たちの真実』早くも重版出来!!
『古代天皇たちの真実』目次
第一章 「紀年論」のこれまで
第二章 『原日本紀』仮説による無事績年削除短縮法
第三章 『日本書紀』の編纂過程を考える
第四章 『原日本紀』編纂の論拠
第五章 『原日本紀』の年代観
第六章 天武天皇の意向と謎の第二期無事績年
第七章 継体天皇朝と仁賢・武烈天皇朝並立の根拠と歴史の真実
第八章 二王朝並立を復元するとみえてくるもの
◎真の「武烈天皇陵」◎「磐井の乱」新解釈 ◎「仏教公伝年」新説
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