長い時間の流れの中で【86】 1・17 失い続ける時 | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン

ピンクのポンポン★80(80-86)



※阪神・淡路大震災を源とする物語(フィクション)です

 尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏の代々木体育館で止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。


§☆§★§☆ V⌒⊥⌒V ☆§ ★§☆§

  妹が走り去った後、母に、
 「食べないの?」と訊かれたので、素直に、おばあちゃんや、両親と食べたいことや、赤ちゃんと一緒に居るお母さんにも分けてあげたい本音を口にしてから、母のジャンパーのお腹の中へクッキーの箱を隠すと、
 「じゃあ、一度、おばあちゃんの家へ皆で行くのも良いかもしれないわね」と言い、私の頭を撫でてくれたのだった。
 母と共に、ゆっくりとベンチから立ち上がり、体育館の入り口へと向かった。途中、女の子の泣き声が聞こえていたけれど、
 「早う、寮へ入れたらええなあ。パパ、早う、帰ってこおへんかな?」と、私は母に話しかけていたし、母も、
 「本当、入れたら良いわね」と笑顔で言葉を返してくれていた。
 「寮へ入ったら、東京、行かへんの?」と、更に訊くと、
 「それは、どうかな…… 寮の部屋の広さ次第かも」と、母は考え込む様な口調で返事をしていたけれど、久しぶりに明るい表情をしていたのだった。


 体育館の中へ入ると、妹がステージに近い所に立って、一人で大泣きをしていた。
 「先に、戻っていて」と言い置くと、母は妹の元へと急いだ。

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{ 今年は歌舞伎コーナーの
台詞が増えて、
とても嬉しいです
Jr.皆さん、勉強したのね

梯子移動(滝沢の夏祭り)、
お気をつけて
 ]