埼玉県川越市の自宅で、再婚相手の次女に乱暴しようとしたなどとして、強姦未遂と強制わいせつの罪に問われた警視庁小金井署の元巡査長(60)の判決公判が30日、さいたま地裁(若園敦雄裁判長)で開かれる。これまでの公判で、涙ながらに反省を口にする被告に、若園裁判長が「反省が表面的では」と問い詰める場面もあった。

 起訴状によると、被告は平成20年5月5日、自宅で次女の体を触るなどしたほか、同年12月19日、自宅で寝ていた次女を寝室に連れ込み、体を触り乱暴しようとしたが、次女が恐怖で過呼吸になったためあきらめたなどとしている。

 なぜ、警察官が2度にわたって犯行を重ねたのか。15日の公判の被告人質問で、3人の裁判官が厳しく問いつめた。

 裁判官「5月の事件の動機は結局なに」

 被告「私に同情してくれて、うれしい、かわいいなという気持ち」

 裁判官「抱きつくのはわかる。押し倒し、尻をなで、キスをした。『かわいいな』でそこまでする」

 被告「行き過ぎた」

 裁判官「行き過ぎじゃなくて、どうしてそういうことを」

 被告「ちょっとくらいなら、さわってもいいかなという気持ち」

 裁判官「やめたきっかけは」

 被告「やっぱり、良心でしょうね」

 被害者の気持ちを軽視した被告に、若園裁判長が質問を続ける。

 裁判長「相手がどんな気持ちか考えられない」

 被告「僕の中で『悪いことをしたな』という気持ちはあったはず」

 裁判長「そうではなくて、被害者の気持ちを考えられなかったのは」

 被告「…」

 裁判長「あなたは表面的なことだけ反省していて、被害者のことを真剣に考えた」

 被告「考えたと思う」

 裁判長「その気持ち、どっか行っちゃったの。悪いことをしたという気持ちがあれば2回目は起きないんじゃ。結局、押し倒し、触った程度じゃショックがないと思っていたからこうなったんじゃ」

 被告「そういう気持ち少しはあった」

 その後、次女の「親のように接してきた全てが気持ち悪い。私を何だと思っている。刑務所に入って出てこないでほしい」との意見書が読み上げられ、検察側は懲役4年6月を求刑。弁護側は執行猶予付きの判決を求めた。

 最終陳述で被告は、「償いの気持ちを一生忘れず持ち続けていきたい」と述べていた。


<産経新聞>