ショパンのエチュードOp.10-2の楽譜。あまりの難易度の高さに、この曲を弾こうとするときは後退りする。

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筆者はジャズ・ピアニストのくせして、ショパンのエチュードを用いてクラシックピアノを練習する。ショパンのエチュードは、ジャズピアノに応用できる技能が多いからと、以前のブログで書いた。では、具体的にどこが応用できるのか、今日はその辺りをお話したい。

先ずは、ショパンのエチュードの中から、ジャズピアノに応用できそうな曲を挙げよう。ここではOp.10-2を採り上げる。ショパンのエチュードの中でもとりわけ、難易度の高い曲だ。先ずはどんな曲か、聴いてみよう。

(Uchida)Chopin Etude Op.10,No.2


聴いてお判りのとおりAmの練習曲で、基本的に左手はストライドっぽい奏法、右手は速いパッセージわ伴う練習曲だ。因みに筆者は、動画のような速いテンポでは、とても弾けない。

この練習曲で、ジャズピアノにも応用できる技巧は二つある。

1. 左手のストライド奏法

ストライド奏法の場合、一拍目と三拍目に左手でベース音を弾く。Op.10-2では、ベース音をどのように弾いているだろうか?楽譜を読むと、単音とオクターブの両方がある。ジャズピアノでストライド奏法を演る場合でもベース音は単音、オクターブいずれもグルーヴが出るし、その意味でOp.10-2はジャズピアノにおける充分な練習材料になる。

ストライド奏法では、ニ拍目と四拍目に左手で和音を弾く。ショパンもそうであるが、クラシックで登場する和音はせいぜい7度までで、9度などはあまり登場しない。なのでジャズピアノの場合、ニ拍目と四拍目の左手での和音は、Op.10-2はあまり参考にならないかも。

それでも、ジャズでもソロピアノ、ベーシストが居ないデュオ演奏などの現場で、ベースとリズムをソリストに提示するために必要な時があり、Op.10-2に登場する左手のストライド奏法がある程度は役に立つ。ただ、ジャズではより「らしく」するために、ニ拍目と四拍目に左手の和音にジャズ特有のテンション・ノートを入れる必要がある。

2. 右手の運指

添付した動画では、頭越しに鍵盤を上から映した映像があるので、是非右手の運指に注目していただきたい。ほぼ中指・薬指・小指を使う運指である。一見ムリに思える運指ではあるが、ジャズピアノにおいては凄く応用が利く運指なのだ。

ジャズピアノでは、即興(瞬間作曲と言い換えても良い)を主体に演奏が行われる。右手では速いフレーズを瞬間的に組み立てるが、右手小指を使い切ってなお、高い音域にフレーズを展開させたいことがある。このときにOp.10-2の右手の運指を知っていれば、薬指や中指を小指から指くぐりさせて、高い音域に行フレーズを展開させることができるのだ。

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この他にも、ショパンのエチュードがジャズピアノに役立つ理由は幾つかある。機会を見つけて、紹介できればと思う。