債権者代位によって権利能力なき社団であるマンション管理組合が代位者として行う代位登記 | 愛媛県松山市の司法書士事務所、山岡信己のブログ

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今回は少し難しい登記です。
債権者代位によって権利能力なき社団であるマンション管理組合が代位者として行う代位登記について。

マンション管理費等請求訴訟により取得した債務名義に基づいて、
不動産強制執行申立を行う前提として、
相続登記が未了である債務者に債権者代位し、
代位登記により登記を申請しました。

しかし、困ったことに、コレ、決まった申請のパターンがあるとは言えないのです。
まず、代位原因どうするか。




債務名義の請求原因事実からみてみます。

*訴状と大体同じです。


請求原因事実
1.原告は、別紙物件目録記載のマンション@@@(以下本件マンションという)の管理組合である。本件マンションの区分所有者全員で構成される団体(建物の区分所有者等に関する法律第3条)であって、権利能力なき社団である。
  被告は、平成年月日、本件マンション所有者@@@@から、本件マンションを相続により取得した。

2.被告は、管理規約第@@条及び第@@条に基づき管理費及び修繕積立金(以下管理費等という)の支払義務があるが、以下のとおり支払わない。

3.管理費等 月額 金@@@@円
      管理費 月額金@@@@円
      修繕積立金 月額金@@@@円

4.管理費等の未払期間
  平成年月日分から平成年月日分
  また、管理規約第@@条には、当月分を前月末までに支払う支払期日の定めがある。
  管理規約第@@条には、管理費等の遅延損害金年@@%の定めがある。
  各支払期日は経過した。
  
5.よって、原告は被告に対して、管理費等請求権に基づく管理費等金@@@@円及び各支払期日の翌日から支払い済みまで年@@%の割合による遅延損害金の支払を求める。






で、代位原因をどうするかですが、悩んだ末、

「(確定判決年月日)管理費等の強制執行」

としました。
年月日から年月日の管理費及び修繕積立金の
とするのは助長ですし、判決なのだから、被保全債権をおおまかに特定できる
程度で十分なんじゃないかと。



次に、代位者の表示をどうするか。

訴状では、

  住所表記 
  原告 @@@管理組合
  同代表者理事長 @@@
  同訴訟代理人司法書士 山岡信己

となるのですが、

不動産登記の場合は、権利能力無き社団は登記権利者にはなりえません。

では、代位者だったらなれるのか。という疑問。
仮処分権利者・仮差押権利者が権利能力なき社団名義はだめで、
債務者の表示なら、権利能力なき社団名義はOKと。

ということは、おおむね予想つくかとおもいますが、
代位者も権利能力なき社団名義は駄目と判断。


ってことで、
マンション管理組合の代表者個人名義か
マンション管理組合の共有者全員名義。



最後に、代位者の資格証明書の内訳はなににするか。

訴訟の時なら、規約次第ではあるけれども、
1.マンション管理規約
2.理事長を選任した最新のマンション総会議事録
3.理事長の任期を証明する書面

となるわけですが、
不動産登記の資格証明書としては多少疑義があるので、
1.マンション管理規約
2.理事長を選任した最新のマンション総会議事録
の書面に、
現在の代表者理事長が原本証明し、マンション組合実印を押印。
3.は、そのまま。


これでよいかと思ったのですが、理事長個人名義で代位者として代位登記するので、
1-3のセットの中に、理事長の住所が表示されていなければなりません。
今回の事案では、1にも2にも理事長住所が無いじゃありませんか・・・・。

理事長の住民票を資格証明書としてつけるのも変な話ですし
そもそも代位者の住民票は不要。

そこで、東京地裁に掲載されているマンション理事長の任期を証明した、
理事が署名押印するマンション管理組合発行の資格証明書のひながた。

これの文章をアレンジし、

「年月日開催の総会において、理事長住所 理事長氏名 が当管理組合の理事長に
選任され、現在も同氏が理事長であることを証明します。」
という記載の資格証明書を作成しました。


あ、ちなみに
今回は、普通の強制執行です。
区分所有法7条に基づく先取特権の担保権実行としての競売や、
区分所有法59条に基づく競売ではありません。

なお、
区分所有法7条に基づく特別の先取特権の担保権実行としての競売については、
管轄の執行裁判所や、その担当者によって、多少取り扱いが異なり、
添付書類を事前確認しておく必要があるわけですが、
松山地方裁判所では、「動産執行が功を奏さないことを証する書面」が必要との回答。
平成26年の話ですが、今でもこの取り扱いなんですかね・・・・・・・・




今回の、
債権者代位によって権利能力なき社団であるマンション管理組合が代位者として行う代位登記
についてですが、
管轄法務局とその担当者で、取り扱いがことなる可能性がありますので、
司法書士や弁護士の方は、あくまで参考程度になさってください。









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