三方よしとは、『売り手よし・買い手よし・世間よし』の三つの「よし」を基にした近江商人が商売をする上で大切にした精神を表す言葉です。


『売り手(企業)は自分の利益だけを追求するのではなく、買い手(お客様)の喜ぶいいものを売り、信用を得なければなりません。
さらに、売り手(企業)は、得た利益で世間(社会)によい影響を与え、無償の社会貢献をするという現代の経営哲学にも通じる考え方です。』

とあり、過去のブログでも取り上げたことがあります。


この言葉はビジネス系のウェブページなどによく、堅実な日本企業の代名詞のように出てきます。なんか安く使われてるなぁという気がして改めてじっくり考え、色々思うところが出てきました。
まずこの三方よしの「よし」は誰発信なんだろう、、、ということです。答えは自分(自社)ですよね?

我が社の経営理念は「三方よし」ですからみなさん頑張ってください、、、

当社は社内で一丸となって三方よしの精神でお客様ファーストでサービスいたしています。

なんかとても主観的だなぁと思うのです。

社長さんがどこぞのセミナーに参加後、突然企業理念となり、その言葉を唱えただけでさも以前から三方よしの精神を達成していて、現在継続中であるかのようになってしまう魔法の言葉の危険をはらんでいます(笑)


それはさておき、
パワハラだ、働き方改革だと話題になっている今風に言うと、
売り手よしは企業ではなくて売りに関わる従業員(販売員、経理、事務とにかく実務労働者)
買い手よしは購入いただいたお客様だけでなくSNSに広がる不特定多数のお客様候補

この2つを他者から客観的に「よし」とされたらやっと世間よし、売り手を抱える企業幹部、そして社会全体が満たされる、と考えた方がよいのではないでしょうか?
つまり主観的な「うっとこは三方よしでやってます」ではなく客観的に「あのお店は三方よしでよくやってはるね」と褒められないとダメだと思います。

なんにせよ三方よしの精神を大切にしてきた近江商人が発祥となり現代でも堅実な商売で売上を維持する大企業はたくさんありますがその反面、戦前、満州あたりまで派手に拡大して派手に崩壊した近江商人もいるんですから、三方よしの精神をそのまま美化するのは危険だと思うようになりました。はい。