ピンクの口紅大流行。マックス ファクターの「ローマン・ピンク」 | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆キャッチコピーは「銅像さえもよみがえる」

 

こんにちは、山村です!

 

今回は、今から約50年前から本格化した、
化粧品会社のシーズンキャンペーンについての話です。

 

現在、口紅やアイシャドウ、チークなど、色物のメイク品の発売時期は、

春、夏、秋の3つのシーズンに集中しています。


なかでも、発売される商品数が多いのは、春と秋

 

一般的に、春は鮮やかなピンクなど、

明るめの色がメインカラーになり、

秋は春より少し落ち着いたシックな色が多い傾向にあります口紅

 

そして、化粧品会社は、これらの新製品を売り出すにあたって、

広告をはじめ、マーケティング戦略に基づいたプロモーションを展開して、

女性たちの購買意欲を刺激するのです。


このマーケティングの概念を、

日本に持ち込んで、大々的なキャンペーンをおこなったのが、

外資系ブランドのマックス ファクターでした。

 

キャンペーンが展開されたのは、

昭和34年(1959)3月ビックリマーク


マックス ファクターが発売した

カラーファスト口紅のキャンペーンで、
テーマカラーはローマン・ピンクドキドキ

 

マスメディアを活用し、

異業種の繊維メーカーやデパートともタイアップしたところが、

当時としては、かなり斬新で話題になったのです。

 

新聞は、読売・朝日・毎日などに全面広告を展開ビックリマーク
雑誌では、『婦人画報』が、

4月号に「ローマン・ピンク」の特集記事を載せました。

 

拙著『化粧の日本史』でも、
『婦人画報』4月号の特集から、

最初のページを、モノクロで紹介していますが、

今回は、記事中にある旭化成の広告を、カラーでご紹介します。

 

 

この企画の協賛企業は、

旭化成、東洋レーヨン、ナイガイ、吉忠などの繊維メーカーや、

アパレル関係の会社が連なっています。

 

タイアップ広告として、各社の広告の中に、

必ず、マックスファクターのリップが登場する仕掛けですラブ

 

キャッチコピーは、
銅像さえもよみがえるローマン・ピンク爆  笑
広告自体は、ピンク色をベースにしたイタリアン・ファッションのPR広告です。

 

左側にあるマックス ファクターの口紅の広告を、
アップにしてみましょう下矢印

 

 

この口紅の色が、ローマンピンクラブラブ

 

ローマン・ピンクだけあって、

背景に、ローマのコロシアムの写真と、アウグストゥス帝の銅像が…。

 

でも、私の感想を言わせてもらえば、この銅像はかなり怖いあせる

目が怖い目 

 

それに「銅像さえもよみがえる」のキャッチコピーも、すごいビックリマーク

いや、銅像はよみがえらないと思うよ爆  笑、と笑ってしまいますが…。

 

女性たちにとっては、強烈なインパクトだったのでしょう。

このキャンペーンは大成功をおさめますキラキラ

 

ローマンピンクの口紅は、4都市合計で、

売上個数が100万本を超える大ヒットになったそうです。

 

戦後の口紅は赤い色が中心でした。

昭和30年代に入ると、ピンク色も使われるようになったのですが、

大流行するのは、このキャンペーン後だったといえるでしょう。

 

次回も、もう少し昭和30年代のキャンペーンについて書く予定。

8月1日更新予定。