横綱相撲という表現がピッタリなほど、1号車は完璧なレースをした。

ポールトゥウィンは、開幕戦の37号車も一緒だが、内容が違う。

公式練習から予選、フリー走行とすべてのセッションで1位を取り、スタートから一度もトップの座を明け渡すことなく、500kmのレースを走りきった姿は圧巻であった。
GT-R/Michelinのコンビは岡山で1位を走りながらトラブルにより逃した優勝を必ずここでは取り返すという王者の気合が練習走行から感じられた。

ポールポジションからスタートを決めた後は、2位以下を引き離すかと思ったが、、GT-R/Bridgestone12号車とのマッチレースとなった。セーフティーカーが入ったこともあるが、周回遅れを交えながら12号車との差が1秒ぐらいでキープしたまま3rdスティントまで進んでいくレースはとても緊迫した状況で、この上ないレースの見ごたえがあった。
ポジションの具体的な変化や、オーバーテイクシーンなど分かり易いシーンがあったわけではないが、周回遅れのパスの仕方によって1秒、2秒は簡単に変わるレースの中、ドライバーとしては一瞬たりともミスできないというプレッシャーにさらされた極限の中でのレースであったと想像できる。
ドライバー交代した後もずっと同じギャップでレースをし、通常のレース距離300kmの時点で約3~5秒のギャップであった。

また両チームともピットワークが素晴らしかった。1号車が43,6秒という驚異的なタイムでピットを終えた後1周後、12号車のメカニックはプレッシャーのかかる中、負けじと43.8秒というタイムで応戦した。もしここでどちらかがミスをし、2, 3秒を失ってしまったら、レースはまた全く違う展開になっていたであろう。
モータースポーツはチーム一丸となって0.1秒、いや0.001秒を戦うものだと、改めてレースの魅力を引き出してくれた両ピットクルーには敬意を表したい。

レーススタート時には39度あった路面温度も終盤は26度まで下がっていた。これだけ路面温度が変化するレースの中でも、1号車、12号車の2台のペースは1’30~31秒のハイペースで安定したラップタイムを刻んでいた。
ただしレース終盤、1号者は29秒台を連発するが12号車は30秒前半がやっと。後続を引き離し最大で16秒のギャップを作った。

ギャップを広げてからも最終ラップまで手を抜くことなく、素晴らしいドライビングでチェッカーフラッグを受けた1号車にはチャンピオンとしての威厳を感じさせられた。


またチャンピオンシップを見れば、予選で15台中14位と、低調に終わった前回の勝者37号車が6位までポジションを上げた。
40kgというウエイトハンデは、長いストレートを持つ富士では非常に厳しい戦いだっただろう。しかし、ここできちんとポイントを重ねてくるあたり、侮れない。シーズン後半戦、チャンピオンシップを戦う上でとても重要な5ポイントと思い返すことになるにちがいない。

これからのSuper GTのチャンピオンシップの行方がますます興味深くなってきた。



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